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サッカー決勝の交替マジックは監督と選手達の合作

 サッカーアジア杯決勝をテレビ観戦していて、後半の選手交替で一度出されたザッケローニ監督からの交替指示に選手側が「×」を出し、5分後にやり直す不思議なシーンがありました。この交替は試合の流れを大きく日本に引き寄せるマジックになったのに、当日の実況中継では判らなかった真相がようやく伝えられました。《今野が出した×マーク ザック監督第2案と選手の提案が一致し決勝点に》(スポニチ)や《流れ変えた「5分後」の交代 サッカーアジア杯優勝》(朝日新聞)です。

 「それは珍しい光景だった。後半の立ち上がりを見極めて、ベンチは動きの悪いMF藤本を外してDF岩政を入れようとした。ところが、ピッチの中で盛んにやり取りをした選手たちがタッチライン際に立った岩政をベンチへと押し返す」

 「それを見た指揮官は岩政をいったんベンチに呼び戻し、コーチ陣と協議。同時に選手も試合を進めながら話し合いを持ち、遠藤が選手の総意として代替案をベンチに伝えた」

 「これを了承した指揮官は後半11分、右MFの藤本に代わって岩政をセンターバックに入れ、今野を左サイドバックにスライド。さらに左サイドバックの長友を左MFに上げるフォーメーションに切り替えた。結果的にこのシステム変更が、長友→李と渡っての決勝点につながった」

 最終ラインで頑張りながらオーストラリアの長身フォワードに苦しんでいた今野を中盤に上げるのが最初のプランだったのですが、前半に負傷し、最近は中盤でプレーしていない今野が拒否してしまいました。長身の岩政を入れつつも今野をサイドに移し、サイドの長友を中盤に上げるのが選手側提案だったのです。イタリアで活躍する長友は守備の負担から放たれて左サイドをずたずたに切り裂いていきます。

 「選手の意向を受け入れた指揮官は『今野は前半に左足を負傷していたし、中盤でプレーする状態にないということだった。もともと、4―2―3―1のシステムも替えずに長友を左MFに入れる解決策もあった』と振り返った。指揮官の持っていた第2案を選手が自主的に提案してきたことが、ザック流が浸透していることの証だった」

 ブログにこんな評価があります。「健全な組織の日本代表。」(BloNg SPORT)は「基本的にサッカーでは監督が全責任を負う代わりに、選手選考・作戦などの決定権を持ちます。だから意思決定は監督が行い、トップダウンで選手に伝えるのが普通です」としながらも「でも、個人的には『基本はトップダウンでも現場からの積極的な意見は大歓迎』という組織が好きです。トップダウンだけには限界があるし、現場だけの判断だけでも限界がある。サッカーのみならずマネージャーとメンバーが相互に情報交換をおこない、相互に助け合ってこそよい仕事ができると思っています」と歓迎します。

 「原博実の勝利」(武藤文雄のサッカー講釈)が「ザッケローニ氏の手腕恐るべしである。大会の3ヶ月前の親善試合を2試合生観戦し、2ヶ月前に2試合親善試合を戦い、約2ヶ月間Jリーグを視察しただけで、ザッケローニ氏はこのチームを作り上げた。しかも、大会前にまともに集中トレーニングする時間すらなかったのだ。にもかかわらず、試合ごとに深まる連動、次々と活躍する控え選手。そして、決勝戦での見事な采配勝ち」と称えるチーム作りに、こうした風通しの良さ、選手側の自主性も含まれていたのです。

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