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木下黄太氏の講演

松阪市長の東日本大震災被災地の「がれき受け入れ」に関する発言があったことで原発と放射能汚染の問題への市民の関心が高まっている中、福島原発事故による全国の放射能汚染の現状把握に取り組んでいるジャーナリスト、木下黄太氏を講師に招いた講演会が、市内で開催された。原発汚染への関心は特に若い人に高く、満席となった会場の大半はインターネット世代と見られる。松阪市内ばかりか、県内各地からの参加があったようだ。

三重県内20~30地点で土壌調査を実施したという木下氏は、「検出された放射能は、1㎏あたり数ベクレルから、高いところで20ベクレルのレベル。40~50ベクレルを想定していたが、それより低かった。三重県では普通に生活していて健康被害は出ない」と独自の分析結果を述べた。

こうした単位で示さなければならないことが放射能の問題がわかりにくい原因の一つだが、木下氏は放射能とは「花粉や砂粒のようなもの」であるとたとえた。だから風に吹かれて飛ぶし、山があれば山すそに落ち、風のたまりやすいところにたまる。花粉にたとえれば、雨どいや軒下にたまりよいというイメージも理解しやすい。三重県でもっと高いレベルの放射能が検出されるのではないかとの想定は、三重県は東側が海に面し、西に鈴鹿山脈や、紀伊半島の芯の部分となる台高山系が控えている地形によるものだろう。

木下氏によると、1980年代のチェルノブイリ事故以降のヨーロッパの放射能値は、フランスで30ベクレル、旧・西ドイツで90ベクレル、イタリアで100ベクレルという数値で、「3・11」以前の日本で最も高いところで東海村の60ベクレルだったという。こうした数値から見ても三重は低いレベルだという指摘だ。

こうした数値を押さえたうえで木下氏は、首都圏の汚染レベルに言及した。

東京・新宿でのセシウム137の検出値は、もともと2ベクレルであったのに、現状では790ベクレル。チェルノブイリに近いキエフが460~470であるのに対し、きわめて高い値を示している。霞が関の経済産業省前の植え込みでは10,000ベクレル、世田谷区では550ベクレル、大田区では1,300ベクレルで、23区の平均は600~800ベクレルという。都内56か所で実施した調査では460ベクレルが平均だという。

「東京はキエフ並みか、キエフより少し上」と、木下氏。

23区における調査と都内全体での数値に差があるように、江東区など東部で高く、23区外が多い西部で低いためだろう。

木下氏は千葉県の柏市や我孫子市、松戸市、神奈川県の東部、群馬県や栃木県の山際でも高い数値が出ているという。

こうした数値をもとに放射能汚染の状況をみると、関東から西へは伊豆半島などが障壁となるなど、日本列島の地形で影響が左右されるようだ。

木下氏が結論的に述べたのは、「がれきを受け入れることはそれほど重要なことではない。安全なエリアに住む人にできることは、市民を受け入れることだ。そして、安全な農作物を提供することだ。本当に支援するとはどういうことかを考えるべき」ということだった。

木下氏の講演の内容についてはどこまで信用したらよいのかと思いつつ、過ごしていますが、たまたま、講演の翌日、時事通信が配信したニュースにこんなのがありました。
2011年12月13日(火) 時事通信
芝生養生シートから9万ベクレル=セシウム、基準10倍超ー東京・杉並

東京都杉並区は13日、区立堀之内小学校で、校庭に敷いていた芝生の養生シートから、1キロ当たり9万600ベクレルの放射性セシウムを検出したことを明らかにした。

国が焼却灰の埋め立て基準として定めている「1キロ当たり8000ベクレル以下」を10倍以上上回っている。区が環境省に問い合わせたところ、同省は「シート1キロに対し他の廃棄物1トンを混ぜれば希釈され、埋め立て基準を下回ることは可能」と回答。区は焼却処分する方向で検討する。

堀之内小では今年1月から、校庭の芝生を霜から守るため夜間にシートをかけていたが、3月18日から4月6日までは1日中敷いたままだった。その後は体育館の脇にシートを積み、現在は区の施設内で保管している。

区は「シートを広げた状態の空間放射線量は地上1センチで0.10マイクロシーベルトで、区内の他の地域での測定値と同じ水準にあり、児童の健康への影響はない」(危機管理対策課)としている。

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