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立憲民主党の基本政策「公務員人件費削減」は官製ワーキングプア増大で更なる貧困・自己責任社会まねく

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 立憲民主党が「基本政策」を発表しました。その「基本政策」の最初に「国のかたち」の項目があり、8番目に「■公務員の労働基本権を回復し、労働条件を交渉で決める仕組みを構築するとともに、職員団体などとの協議・合意を前提として、人件費削減を目指します。」とあります。

 「公務員の労働基本権」の問題については、私が熊沢誠甲南大学名誉教授にインタビューした記事で詳しく展開していますので、ぜひ下記リンク先を読んでください。

 ★タックスペイヤーたる中産階級とワーキングプアの絶望的な怨嗟が合流する公務員バッシング、政財界スローガンは「官民横断のユニオニズムは許さない」、公務員の労働基本権剥奪こそ欧米にない日本の強み、予防としての行政改革

 ここでは「公務員の人件費削減を目指す」とする立憲民主党の「基本政策」について考えてみたいと思います。

 公務員の人件費を削減するには、賃下げと公務員数の削減が必要です。実際にこの間、公務員削減と同時に正規の賃金抑制、非正規化(官製ワーキングプア化)による大幅な人件費削減が行われてきました。

 まず、公務員数の削減です。下のグラフは人事院による公務員数です。2000年度(平成12年度)には約435万人いた公務員が2017年度(平成29年度)には約 332.3万人とこの17年間で102万人も減っています。



 下のグラフにあるように自治体ではこの11年間で正規公務員が30万人減り、非正規(官製ワーキングプア)が23万人増えています。(総務省のデータから作成したものです)



 国家公務員(行政職のみ)は自治体より規模は小さいですが同様の傾向で、下のグラフにあるように5年間で非正規率が1.9ポイント上げっています。



 また、省庁別に見ると下のグラフにあるように、厚生労働省は民間企業より多い非正規率になっています。



 以上のように、公務員の人件費削減は、非正規化を進め官製ワーキングプアを増やし日本社会を貧困化させてきた一因となっています。

 立憲民主党の「基本政策」の「暮らしの安心」の項目には、「■ワーキングプアをなくし、安心して働き暮らすことのできる賃金を確保します。全国どこでも誰でも時給1,000円以上になるように最低賃金を引き上げます。」「■望めば正社員になることのできる社会を目指します。」とあります。公務員の人件費削減は、非正規化を進めワーキングプアを増やすのですから矛盾する「基本政策」です。

 それと、「公務員の人件費削減を目指す」という「基本政策」を作る背景には、「公務員が多過ぎる」という現状認識があるということになります。日本の公務員は本当に多過ぎるのでしょうか?

 下のグラフは、OECDが毎年発行している「Govermment at a Glance」の最近版(2017年版)のデータをグラフにしたものです。各国2015年の被雇用者数に占める公務員数の割合で日本はOECDで最低です。しかもノルウェーの5分の1以下、OECD平均の3分の1以下と日本の公務員は異常に少ないのです。



 下のグラフは内閣人事局による「人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較」です。上記のOECDのデータと違って「公的部門」と範囲が広くなっても日本はフランスの半分以下です。中央政府職員にいたってはフランスの9分の1以下です。



 全体の公務員が異常に少ないのですから、個別分野ごとに見ても当然、公務員は少なくなります。

 下のグラフは国家公務員である労働基準監督官の雇用者1万人辺りの人数です。日本はドイツの3分の1以下です(実質は4分の1以下)。立憲民主党は「基本政策」で「■長時間労働を規制し、過労死ゼロを目指します。誰もが「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」が可能な社会を実現します。」としていますが、公務員である労働基準監督官を削減してはそのような社会を実現することはできません。



 次に、公務員の人件費そのものです。立憲民主党は公務員の人件費が高過ぎると認識しているから人件費削減を目指すとしているのでしょうが、日本の公務員の人件費は本当に高過ぎるのでしょうか?

 下のグラフは、OECDが2年に1度程度の頻度で発表している各国の公務員人件費(対GDP比)です。日本は2004年から直近の2014年まで11年連続の最下位です。逆に財政赤字は最悪です。



 下のグラフは、国家公務員の人件費と国の財政赤字(長期債務残高)の推移を見たものです。人件費は半減し財政赤字は倍増しています。上の国際比較のグラフを見てもわかるように、デンマークなど北欧諸国は公務員人件費が他国より高いのに財政赤字は少なく、日本は公務員人件費が11年連続最低なのに財政赤字は最悪です。加えて、日本の国家公務員人件費は半減しているのに国の財政赤字は倍増しているのを見ても、公務員人件費が財政赤字の原因でないことは明白です。



 それから、公務員の個別の賃金が高過ぎるというデマもありますが、これについては以前、「世界最高年収で日本は公務員天国?→日本の公務員の個別賃金はアメリカの6割、総人件費はずっと世界最低です」で、一般の公務員も上級管理職公務員も中間管理職公務員も個別賃金は世界最高ではないことを紹介しています。

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