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- 2011年12月15日 22:58
寄付者が政治資金収支報告書の監査をすることの問題
(1)政治資金規正法が改正され、いわゆる「国会議員関係政治団体」という概念が生まれ、その支出の透明度を高め、かつ当該団体につき専門家(いわゆる登録政治資金監査人で、公認会計士、弁護士、税理士でなければならない)による監査が行われなければならくなった、昨年分の政治資金収支報告書が、先月末に公開された。
監査人が当該政治団体に寄付していたケースについて、マスコミはその問題点を報じた。
(2)以下は、私のコメントが記事で紹介された報道である。
ましてや、公認会計士、弁護士、税理士という専門家でなければ、登録政治資金監査人となり監査することはできないので、その人物が寄附者であっても、何ら問題はないという評価もありうるだろう。
(4)ただ、政党交付金という税金の交付を受けていう政党の国会議員の政治団体には、直接であれば、間接であれ、その政党交付金が流れているのが、一般である。
それゆえ、その支出については、すでに述べたように厳しく評価されることになる。
つまり、たとえ法的には問題にはならなくても、政治的には問題になりうるのである。
登録政治資金監査人による監査制度は、その趣旨から判断すれば、「専門家による監査」という意味だけではなく、「第三者による専門的監査」という意味もある。
それゆえ、「真に第三者」といえる人物による専門的監査であるかどうかが、この制度の存在意義になる。
また、政治家は国民の信頼を得ていなければならない。
それゆえ、国民による信頼を得るためにも、「真に第三者」といえる人物による専門的監査であるかどうかが、重要になる。
以上の点で判断すれば、寄付者がたとえ専門家であれ「真に第三者」と言えるのか、国民の信頼を得られるのか、疑問である。
(5)これには、政党の会計状況を知られてしまうため、真に秘密を厳守できる支持者にお願いせざるをえないとの反論もあるだろう。
また、登録政治資金監査人による監査は、収入は除かれ支出しか審査できず、それも、形式的な審査しかできない(実質的な審査はできない)のであるから、そう厳しく考える必要はないとの反論も予想される。
しかし、前述したように、当該政治団体には実質的に政党交付金という税金が流れているのだから、やはり監査は厳しくなされるべきであるし、この監査制度は、収入を含め、かつ実質的な審査がなされるよう改善されるべきであるから、やはり「真に第三者」といえる専門家に依頼するのが望ましいだろう。
政治家の姿勢が問われている!
監査人が当該政治団体に寄付していたケースについて、マスコミはその問題点を報じた。
(2)以下は、私のコメントが記事で紹介された報道である。
神奈川新聞2011年11月30日
政治資金収支報告書の監査人からの寄付3件、専門家指摘「適正さに疑念も」/神奈川
政治資金収支報告書の監査人が、自身の監査した政治団体に寄付したケースが3件あった。政治資金規正法には、監査人の寄付を禁止する規定はなく、国会議員側は「寄付と監査は別」などと強調。一方、専門家は「適正に監査が行われたか疑念が生じかねない」と指摘している。
監査人から寄付があったのは、田中慶秋氏(民主・衆院5区)、浅尾慶一郎氏(みんな・衆院比例南関東)の政治団体。小泉進次郎氏(自民・衆院11区)の場合は、党支部に寄付した政治団体の代表が監査人だった。寄付金額は5万~20万円。
田中氏は「普段から応援してもらっており、監査報酬分を寄付してくれた。誤解を招くなら今後は寄付を受けない」と説明。小泉氏の事務所は「職業と個人の政治活動を分けて厳格にチェックしてくれる人で、最善の選択だった」と話す。
浅尾氏は「寄付するぐらい応援してくれるので、厳しくチェックしてくれる」と依頼した理由を説明。同氏の監査人の公認会計士は「寄付と監査は別で、甘くなることは全くない。甘くして法律違反の疑いがあったら、監査人の責任が問われてしまう」と主張する。
「政治資金オンブズマン」共同代表の上脇博之神戸学院大学法科大学院教授は「支援者は『第三者』と言えず、チェックが適正か疑念が生じるのは当然。政治的立場が異なる監査人に依頼するなど、自ら襟を正すべき」と話している。
毎日新聞 2011年12月2日 地方版
政治資金収支報告書:県選出国会議員、監査を支持者に依頼 中立性疑問指摘も /山梨
国会議員関係の政治団体に義務づけられている政治資金監査を巡り、県選出国会議員5人のうち少なくとも3人が、支持者の公認会計士や税理士に監査を依頼していたことが、10年分の政治資金収支報告書を基にした取材で分かった。同収支報告書は先月30日に県選管が公表し、監査人が当該団体に献金しているケースもあった。違法ではないが「監査の中立性を疑わしめる行為は慎むべきだ」と指摘する法律専門家もいる。【曹美河、山口香織】
この監査制度は、政治資金の不適切経理処理が相次いだことを受け、09年分から導入。総務省政治資金適正化委員会の研修を修了した登録政治資金監査人(公認会計士、弁護士、税理士)が監査すると定められた。
収支報告書によると、民主党県連代表の後藤斎衆院議員が代表を務める「民主党山梨県第3区総支部」と「後藤ひとし後援会」を監査した公認会計士は、両団体に計10万円を寄付していた。後藤氏の事務所は取材に「監査人の会計士事務所の共同経営者が古くからの支援者で、その方を通じて依頼した。厳しく監査してもらっており、問題ない」と話す。
同委員会の監査マニュアルは「(監査は)外部性を有する第三者が行う」と定めている。ただ、政治資金規正法が禁じるのは当該団体の役員やその配偶者による監査で、それ以外の関係者は違法にはならない。
米長晴信参院議員と坂口岳洋衆院議員が関係する複数の政治団体を監査した税理士は、収支報告書には当該団体への献金は記載されていなかったものの、米長氏を支援する別の政治団体の代表者を務めていた。
この税理士は取材に、米長氏の政治資金パーティーで個人的にパーティー券を購入していると明かし、「マニュアルに従って監査するので支持者だから甘くなるという余地は一切ない」と話す。監査人の業務は、帳簿の数字が合っているかなど外形的なチェックにとどまり、収入や支出の妥当性については監査の対象外だ。一方で、「依頼された際は『支持者なのが後で問題になったら困る』と思いちゅうちょした。法律上問題ないと知り引き受けた」とも話した。
小沢鋭仁元環境相が代表を務める「民主党山梨県第1区総支部」を監査した税理士については、小沢氏の事務所が「古くからの後援会関係者」と説明。「有資格者の中から適正に監査していただける方を選んでいるだけ」とした。
一方、同党の輿石東幹事長の事務所は、監査人の人選について「公正な監査をしてもらうため、後援会などとは全く関係ない方を県税理士会から紹介してもらい依頼した」と話している。
市民団体「政治資金オンブズマン」共同代表の上脇博之・神戸学院大法科大学院教授は「監査は第三者がチェックするもの。法的に問題がなくても、政治団体などと金銭的関係がない人が行うことが望ましい」と指摘している。
毎日新聞 2011年12月7日 大阪朝刊(3)国会関係政治団体に寄付した者が当該政治団体の監査をすることは、違法ではない。
前原・民主政調会長:政治団体、後援会関係者が監査
民主党の前原誠司政調会長の資金管理団体など4政治団体を監査した税理士が、地区後援会会長の長男だったことが分かった。会長も税理士で、長男は会長の事務所に勤務。会長は09年と10年、4団体のうち2団体に個人献金している。法律上は問題ないが、専門家は「政治的な信頼に関わってくる」と疑問を呈している。
4団体は、資金管理団体「新緑会」▽前原氏が代表を務める「民主党京都府第2区総支部」▽政治団体「まえはら誠司後援会連合会」▽同「誠友会」。07年の政治資金規正法改正に伴い、09年に導入された国会議員関係政治団体に対する監査制度の対象だ。
監査した税理士の父親は、京都市左京区の支持者らで作る「まえはら誠司左京後援会」会長で、09年と10年の政治資金収支報告書によると「新緑会」と「後援会連合会」に計31万円を献金している。
総務省の政治資金適正化委員会の研修を修了した「登録政治資金監査人」(公認会計士、弁護士、税理士)が監査する制度で、委員会のマニュアルでは「外部性を有する第三者が行う」と規定。ただ同法は、当該団体の役員やその配偶者による監査を禁じ、それ以外は違法とはならない。
税理士は毎日新聞の取材に「法に抵触しない。きちんと支出を確認しており、問題ない」とし、前原氏の地元事務所も「登録を受けた監査人で、問題ない」とコメントした。
上脇博之(ひろし)神戸学院大法科大学院教授(憲法学)は「監査人が後援会会長と親子関係があり、事務所も同一であれば、第三者としてのチェックができるのだろうか。法的に問題はなくても政治的な信頼に関わってくる」と指摘している。【入江直樹、古屋敷尚子】
ましてや、公認会計士、弁護士、税理士という専門家でなければ、登録政治資金監査人となり監査することはできないので、その人物が寄附者であっても、何ら問題はないという評価もありうるだろう。
(4)ただ、政党交付金という税金の交付を受けていう政党の国会議員の政治団体には、直接であれば、間接であれ、その政党交付金が流れているのが、一般である。
それゆえ、その支出については、すでに述べたように厳しく評価されることになる。
つまり、たとえ法的には問題にはならなくても、政治的には問題になりうるのである。
登録政治資金監査人による監査制度は、その趣旨から判断すれば、「専門家による監査」という意味だけではなく、「第三者による専門的監査」という意味もある。
それゆえ、「真に第三者」といえる人物による専門的監査であるかどうかが、この制度の存在意義になる。
また、政治家は国民の信頼を得ていなければならない。
それゆえ、国民による信頼を得るためにも、「真に第三者」といえる人物による専門的監査であるかどうかが、重要になる。
以上の点で判断すれば、寄付者がたとえ専門家であれ「真に第三者」と言えるのか、国民の信頼を得られるのか、疑問である。
(5)これには、政党の会計状況を知られてしまうため、真に秘密を厳守できる支持者にお願いせざるをえないとの反論もあるだろう。
また、登録政治資金監査人による監査は、収入は除かれ支出しか審査できず、それも、形式的な審査しかできない(実質的な審査はできない)のであるから、そう厳しく考える必要はないとの反論も予想される。
しかし、前述したように、当該政治団体には実質的に政党交付金という税金が流れているのだから、やはり監査は厳しくなされるべきであるし、この監査制度は、収入を含め、かつ実質的な審査がなされるよう改善されるべきであるから、やはり「真に第三者」といえる専門家に依頼するのが望ましいだろう。
政治家の姿勢が問われている!



