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  • ヒロ
  • 2018年01月10日 12:54

自動車が進化する先

私は小学校低学年の時から学校が長期の休みのたびに一人で飛行機に乗って祖父母のところと往復していました。YS11というメードインジャパンの飛行機で羽田から四国まで行くのですが、時たま大阪で乗り換えがあると「この飛行機、本当に四国に行くのか」心配で隣に座っている人に聞いたこともあります。今考えればばかばかしい質問なのですが、それぐらい心細いものなのです。

YS11は飛行高度が低いので街並みがよく見えて、今でもその頃観た飛行機の窓からの景色ははっきり記憶があります。機内誌についている地図を片手に今この辺を飛んでいるんだ、という空からの眺めは少年には十分すぎるぐらいの刺激でありました。

今、カナダと日本を行き来する飛行機に乗るときはまず中3列(機種によって4列)の通路側と決めています。理由は窓側にいても何も見えないからであります。むしろ、通路への出やすさや窓際の温度(寒い時があります)を考えると景色はあきらめ、機内では本を読むことに専念しています。

車を運転すると何が楽しいかといえば加速感やワインディングロードをぐいぐい攻めるときでしょうか?あるいは移り変わる景色に「おっ、ちょっと止まってみようか」という自由度もあります。あそこの土産物屋に入ってみようとか、あの食堂で飯食っていくか、というのもある意味、運転者と同乗者の目線が同じところにあることで会話が展開するというものです。

アメリカ、ラスベガスで家電見本市(CES)が始まりました。かつては本当に家電見本市だったのですが、最近は自動車が席巻しています。そして今年も未来の自動車が各社から発表されるようです。

自動化された運転は運転者や同乗者の目線が当然ながら車窓を流れる景色から会話や手元の作業、オンラインの画像鑑賞などに変わっていくのでしょう。そこにはぐいとアクセルを踏み込み、Gがかかるような加速感を感じることもないし、素晴らしいハンドルさばきも必要ありません。

私が想像する20年後の街中の車。どの車も法定速度で車線からはみ出ることもなく、粛々と自動車というハコがベルトコンベアの如く流れている世界であります。これを面白いと思うかどうかは古い時代を知っている者しかわからない感傷の世界かもしれません。

ずいぶん昔、ドラマで中居正広さんが主演した「砂の器」という番組がありました。そのドラマでは中居さんの運転するソアラが大変味のある「演技」をしているのです。波止場に止めたソアラにたたずむ中居さんは高級レザー張りの白いシート、スピーカーシステムからクラシック音楽、そして自分だけの世界にはいりこみ、自分が絡む事件の記事を必死で探すシーンなどはカローラでは絶対に演出できないクルマの名演技だったと思います。

我々の世代にとって乗り物はワクワクドキドキさせるものでした。新宿から夜行列車で山に向かう人たちとむさくるしい車内の空気を共有したのも懐かしく思います。大学生の時に電動サンルーフ付きの自動車でキャリアに自転車を乗せて走れば否が応でも注目された時代です。サザンをボリュームいっぱいでかけながら第三京浜をぶっ飛んで湘南に向かったのも自らハンドルを握っているが故のときめきだったと思います。

これから車を運転する人には私のこんなつぶやきはまず理解できないでしょう。私が経営するレンタカー屋もあと10年もするとどうなるのでしょうか?「自動運転は楽ですよ、道を知らない人でも安心ですよ。」と客を口説いているのでしょうか?

時代の流れ、といえばそれまでですが妙に感傷的になるのも乗り物が我々の世代には常に付きまとっていたドラマだったからかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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