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サンデー・モーニング特集「揺らぐ世界」への共感と違和感

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1月7日のサンデーモーニング(TBS)で、特集「揺らぐ世界 ~この時代の変わり目に~」が放映された。世界中に広がる人々の不安の様々を伝えようとするもので、実直な取り組みに好感を抱いた。だが、途中から違和感を感じざるを得なかった。

歴史的な観点から「仮説」をつくる野心的な試み

特集は、科学技術の進歩に始まり、北朝鮮問題、環境問題、イスラムとテロ、トランプ現象、そして、ドイツの右傾化、ネオナチ現象、さらにインドでヒトラーが評価されているという映像で始まった。

続いて、コメンテーターが、意見を述べ始める。おそらく、事前打ち合わせで、番組が取り上げたキイワード、すなわち、「分断」「対立」「格差」のいずれかを取り上げて、おのおの意見を述べるように言われていたのだろう。

本題に入る。なぜ、先のキイワードのような現象が生じているのか、その理由を探るという。そこで、映像に登場したのが、富の偏りであり、世界的な富豪8名の名前を挙げ、彼らが世界の50%の総資産にあたる資産を有していると述べる。そして、富の偏りの原因を探るために、歴史を俯瞰すべく、一挙に産業革命の時代まで遡った。そして、産業革命から、富の拡大を狙った植民地争奪戦、第一次大戦、1929年の世界大恐慌、そして第二次世界大戦から、東西冷戦時代、資本主義主導の現代社会へと駆け足で説明していった。そして、資本主義主導の現在、世界大で需要が伸び悩み、大きな格差や富の偏在が生じていると述べた上で、本特集で掲げる仮説とは「世界は行き詰まっている」だった。

その後、コメンテーターの意見や社会学者、哲学者の意見を示し、先の「行き詰まり」は「時代の変わり目」の予兆であると結論づける。最後に、司会者が「これからどうしたら良いのか」と尋ね、各コメンテーターがこれに答えて終わった。

単線すぎないか ~ヒトラーを現代に重ねることの意味~

不安、行き詰まり感が世界の国々に漂っているという点は、よく伝わってきた。それに同意する視聴者は少なくないだろう。

しかし、仮説のくだりから、ひっかかるものを感じ始めた。ここでは、歴史的な視点から仮説をつくるべく、資本主義にフォーカスして、産業革命まで遡った。冒頭の映像で、ヒトラーの再評価、ネオナチの登場をドイツとインドの映像で取り上げているので、今、ナチスと類似した現象が生じていると言いたかったのだろう。

だが、歴史を用いたこの仮説は、単線すぎる印象を否めなかった。テレビ番組であるから、時間の制限があることは十分理解できる。だが、時代の変わり目を示す出来事は、世界大戦や東西冷戦の終結以外にもあるはずだ。

それにも増して、気になったのは、ヒトラーの時代を現代に重ねて論ずることだった。確かに、ナチス時期と現代が類似するという意見はあちらこちらで聞かれる。だが、歴史的な視点から「仮説」というのであれば、番組で掲げた“時代の変わり目”が、ヒトラーの時代ほどの大きなマグニチュードの変化に匹敵するものなのかが問われることになる。時代は常に変わるので、「変わり目」は頻繁に訪れるが、パラダムを大きく変るような転換期となると、そう訪れるものではない。

そうした視点で、番組を観ていると、フリップの文字が気になってきた。「資本主義と民主主義」が併記されていたからだ。確かに資本主義と民主主義には親和性がある。だが、同じ次元のものなのだろうか。資本主義が社会に及ぶ影響は甚大である。だが、資本主義の上位概念、あるいはそれを包含する社会システムが存在するのではないか。

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