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"貧乏人は死ね"という社会はおかしい!

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雇用を自由化すると・・・



小口:次は雇用です。外国から沢山の労働者が入ってくるのでは、と言われていますが。

森永:日本はある意味一番厳しい制限をしてきました。単純労働者については、日本に労働力として受け入れないと決めてずっとやってきました。それが自由になると何が起こるか、安い労働力が入ってきて、日本人の給料が下がっていく。

彩佳:でも、賃金の安い労働者が入ってきても、日本で生活するためには、高い賃金を払わないといけないんじゃないですか?

森永:いやだから、普通の生活ができなくて、ヨーロッパでの外国人労働者の歴史を見ていると大都市近郊に「ゲットー」という集落を作って、貧しい人たちが社会を形成してしまうんです。

彩佳:スラムですか?

森永:そうです。その中で生まれた子どもは、ずっと上にあがれないんです。

彩佳:今の日本でさえ、階級社会なのに。

森永:超がつくほどの階級社会です。3K(キツい、汚い、危険)労働は外国人労働者に押し付けるというのが、ヨーロッパでは起こっているわけですよ。だけど、それでヨーロッパの人が幸せになったかというと、そうではないと思うんですよ。私が経済企画庁という役所にいた時に、日本も外国人労働者に門戸を開こうとしていた動きがあったんですよ。そこで欧米の労働力担当の人と話す機会があって、その時に、「お前たちバカじゃないのか? 俺たちがこんなに外国人労働者で苦労しているのに、なんで同じ苦労を味わおうとするんだ」と言われたんです。例えばドイツは高度成長期にトルコからどんどん労働者を入れて、建設労働などにあてたんですよ。で、低成長になって、トルコ人を国に返そうという事になったんですが、生まれた子供はドイツ語しかしゃべれない。で、どうしたかというと、ドイツ人の先生が子供にトルコ語を教えるわけですよ。何をやってんだか良く分からない。一時はドイツ人の税金でトルコに帰って家を建てる資金まで提供するってこともやった。

小口:それは手厚いですね。

森永:そうしないと、コストがかかりすぎるんです。外国人労働者は失業率が高くなります。でも、労働法は国籍による差別を禁止しているので、失業対策、住宅対策をしなければいけない。そして教育です。母国語が違うと、教えるのが大変なんです。日本なら、全員日本語で行けますが、私あの、スイスと、アフリカと、オーストリアに住んでいたので、自分で足を引っ張ったという経験があります。

小口:外国に住んでいたんですか? 帰国子女!?

森永:あれ、知りませんでした?昔は英語もドイツ語も喋れたんです。フランス語もフランス人並みに。今ぜんぜん話せないんですけど(笑)
私は公立小学校に入っていたので、先生は大変なんです。わけのわかんない日本人に教えるの、フランスの歴史とか。

そういうのが日本でも起こっていて、群馬県の大泉とか、外国人労働者の多いところの先生に聞くと少なくとも2~3倍、多くて5倍~8倍の手間がかかるそうです。
さらに、大量に外国人労働者が入ってくると、治安のコストも上がるわけです。

小口:でも、現実問題労働力が足りなくて、日本でこれだけ子供が減っていて、日本の企業が海外に出て行って、日本に働くところがなくなってもいいんですか?

森永:余っているところでは余っているんですよ

彩佳:就職難とか聞きますよね。

森永:そうそう、就職出来てない人たくさんいますからね。そちらを使うのが先ですから。中高年で仕事の無い人いっぱいいるんです。失業者だけで300万人いるわけですから。

最も恐ろしいのはISD条項



森永:実はTPPにおける一番大きな問題は、アメリカのルールに合わせろ!ってことなんです。恐ろしいのはISD条項というのが入っていて。

小口:出た!ISD条項!

森永:アメリカから日本に参入しようという企業があって、いろんな障壁がある。それをけしからんと言って、国際審判所みたいなのがあって、そこに訴え出ることが出来るんですよ。非公開審理で控訴もできない。そこで日本が不公正だ!となると日本は国内法を直さないといけなくなるんです。

小口:だって、裁判官がどこの国の人なのか、どんな意向なのかもあるじゃないですか。

森永:これを言うとまた袋叩きに合うかもしれないんですけど、世界銀行の下にあるんですよ。で、世界銀行は事実上アメリカの傘下にあるので、アウェーで笛を吹かれるって感じですよね。これは長い歴史があって、日米構造協議っていうのから、アメリカは日本は障壁が多すぎるって言ってきたわけですよ。

私は「訳」が間違っていたと思っていて、役所では「SII」って呼んでいたんですよ。Structural Impediments Initiativeは「日米構造協議」ではなく、「構造的障壁の協議」だったんです。構造的障壁って何かというと、アメリカから見て入りにくいものは全て障壁なんです。ひどい人はなんて言ったと思います?「日本語自体が参入障壁」だって。ふざけんじゃないよって話なんです。

笑い事じゃないのは、メディアはあまり報じないんですけど、終戦直後、日本は講和条約を結びますよね。その直後に、GHQは円を禁止してB円に、公用語を英語にしろという条件を飲めと言って来て(三布告)、それを外務官僚(岡崎勝男)が乗り込んでなんとか止めたんです。そのとき止めていなければ、この番組も英語でお送りしていたかもしれないんですよ。

小口:oh! my god!


■本放送のアーカイブ








■ 出演者プロフィール


画像を見る森永卓郎
1957年東京生まれ。東京大学経済学部経済学科卒業。日本専売公社、日本経済研究センター、三井情報開発株式会社総合研究所、UFJ総合研究所を経て、現在 獨協大学経済学部教授。 専門はマクロ経済・計量経済・労働経済

■ 森永卓郎オフィシャルWEBサイト ■







画像を見る小口絵理子

アナウンサー。1998年、ニッポン放送入社。翌年から、朝のニュース・情報番組「高嶋ひでたけのおはよう!中年探偵団」昼のバラエティ「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」のアシスタントを担当。退社後は長野県庁の派遣研修員として中国・河北大学へ1年間留学。






画像を見る第2回ゲスト:大石彩佳

1991年宮城県生まれ。東京大学教養学部2年。身長159.5cm。秋葉原のメイドカフェ・ミアカフェ、メイドリフレ・ミアリラクゼーションなどでアルバイト中の現役東大生の現役メイドさん。趣味は犬の散歩、旅行、料理。

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