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【中証視点】中国不動産相場が総崩れ、12年前半に底打ちか

  「11月に入り商業不動産市場も低迷してきた。1000万元クラスの資金を保有する投資家がみな手を出さなくなった。来年第1四半期は北京、上海などの大都市の中心部の不動産価格が大きな程度で下がるという見方が業界内では支配的だ」……。長期にわたって商業不動産の投融資業に関わってきた高和投資の蘇〓(森の形に金が3つ)董事長はこのほど開催された座談会でこう述べた。

  住宅都市農村建設部政策研究センターの秦虹主任は、11月の不動産市場にみられたターニングポイントの意義は非常に大きいとの見方を示す。11月以前は、不動産取引量の減少は大都市に集中していたが、11月以降は2、3線都市と言われる地方の大中都市から、その直轄にある県級都市まで、住宅取引量がみな縮小しているという。

  これに連動し、全国展開する不動産開発大手の間では11月、販売価格を一気に引き下げる現象がみられた。売上高上位20社の大手の多くは11月の不動産販売額が前年同月比で減少しており、中海地産、保利地産などは減少幅が20%を超えた。業界専門家は、不動産業界全体が下振れするターニングポイントを既に経過したとの認識を示した。

◆商業不動産も「避難港」の役目果たさず

  数億元の資金を保有する山西省の投資家、曹氏は不動産投資に対してまだ様子見ムード。「9月に自動車事故を起こしたことが幸いした」と語る。曹さんは9月、商業不動産への投資を考えて北京に物件を見学しに出かけた際、保険未加入の車で事故を起こし、半年間入院し、結局投資計画を諦めた。「今思えば、事故がなかったら、あの商業不動産に投資していた。そうなれば今は受け入れがたい状況に陥っていただろう」と振り返った。

  業界内で避難港とみられていた商業不動産も11月、不動産市場の寒流に飲み込まれ始めた。北京、上海、深セン、広州などの1線都市では商業不動産の取引量が20%超減少した。深センでは新築店舗不動産の取引面積が前年同月比で23%減少し、北京ではオフィスビルや店舗などの商業不動産の取引面積が11万6500平方メートルとなって、前月比で9万平方メートル減少した。

  市場の低迷を受けて不動産投資も下火になった。国家統計局の最新統計によると、今年1―11月の全国の不動産開発投資額は前年同月比29.9%増の5兆5483億元となり、増加率は10月に比べて1.2ポイント低下した。11月単月では前年同月比20.1%増と、伸び率は10月を4.9ポイント下回って、2カ月連続で年内最低となった。業界関係者は、不動産開発投資の伸びは12月に一段と鈍化するとの予想を示している。
 
  中国証券報がまとめた統計によると、01年11月以降、10年間の中国の不動産開発投資額の月ごとの前年同月比増加率は、世界的金融危機が最も深刻だった2009年2月から12月までの期間に20%を下回っただけだった。

  投資の低迷から、不動産業界は「不景気」ゾーンに足を踏み入れ始めた。11月の不動産開発景気指数は99.87と、10月から0.40ポイント低下し、今年6月以降、6カ月連続で落ち込んだ。業界の景気判断の分かれ目となる100を下回るのは、2009年7月以来となる。前回は2008年10月以降、9カ月間、100を下回った。

◆不動産企業は見通しに慎重

  10月中旬から、竜湖地産などの不動産開発大手が年末決済に向け販促に乗り出した。在庫物件を早期に消化し、資金を回収するため、少しの利益しか出ない価格や、さらには原価で新築物件を売りさばいた。竜湖地産は11月中旬、北京市の六環路外に建設した「時代天街」を、周辺相場よりはるかに安い1平方メートルあたり1万元で売りだした。同物件は初回に販売した約200戸を完売した。同社関係者は同物件の発売時期を今の業界低迷期にしたことについて、「来年の不動産市場の一段の低迷を見越したため」と説明した。

  また事情筋によると、華南エリアの五大不動産大手のうちの1社は、予約販売を開始していない住宅物件の建設を全面的にストップした。

  値下げ戦略によって販売をテコ入れしているものの、多くの不動産企業は11月の販売実績が惨憺たる内容だった。11月は全国規模で事業展開する不動産開発企業16社の物件販売収入が軒並み減少した。そのうち15社の販売収入は前年同月比、前月比ともに大きく落ち込んだ。中海地産、保利地産などの11月の物件販売収入は前年同月比20%超減少した。また世茂集団、雅居楽、富力地産なども販売は思わしくなく、値下げ戦略は功を奏していない。

  業界最大手、万科企業の11月の販売面積は73万8000平方メートル、販売収入は82億9000万元だった。販売面積は前月比で27%、前年同月比で24%ずつ減少、販売収入は同20%、36%ずつ減少した。同社の売上高は8月以降、前年同月比での減少が続いており、減少幅は8月が12.6%、9月が12.6%、10月が12%、11月が33%だった。販売面積は9月に前年同月比で4.9%、10月に同23%減少した。9月以降は、面積、額がともに減少する状態が続いた。

  保利地産の11月の販売面積は契約ベースで前年同月比35.79%減の42万1000平方メートル、契約額は同27.86%減の49億2600万元だった。1―11月は販売面積が前年同期比4.45%減の598万3200平方メートルとなり、契約額は同18.33%増の676億2200万元と、伸びが大きく鈍化した。

  大都市での販売比率が大きい中海地産は11月の販売の落ち込みが最も厳しく、売上高は前年同月比49%減少した。

  現在は、中海地産、保利地産、万科企業、富力地産など開発大手7社が大規模な値下げ販促に乗り出している。保利地産、緑城集団、万科企業、中海地産の11月の平均販売価格は前月比で10―20%低下した。

◆市場の均衡を模索

  業界関係者によると、今年の不動産業界の各指標はいずれもプラス成長を維持し、中でも住宅購入制限が実施されていない都市の不動産販売量は前年比で20%の伸びを保っている。だが来年は、不動産販売額、新規着工面積、土地購入面積、開発投資額といった一連の指標がマイナス成長となる可能性がある。不動産市場は新たな需給関係の下で均衡を探すことになる。

  専門家は、不動産需要を反発させるための条件は、購入制限策の緩和と金融政策の緩和の2つだと指摘する。政府のスタンスをみると、来年に購入制限策が緩和される可能性は小さいが、穏健な金融政策の下で不動産市場の資金状況が今年より改善される可能性はある。

  引き締め策を受けて、不動産需要は明らかに縮小した。今年1―11月の不動産販売面積は前年同期比8.5%増の8億9500万平方メートルだった。そのうち11月の販売面積は9900万平方メートルで、前年同月から1.98%減少した。1―11月の平均販売価格は1平方メートル当たり5474元で、絶対値は1―10月の同5502元から0.5%下落した。

  同時に、不動産供給の先行指標となる新規着工面積の伸びも減速し始めた。1―11月の新規着工面積は前年同期比20.5%の増加となり、増加率は1―10月に比べて1.2ポイント低下した。また11月の新規着工面積は前年同月比9.1%増の1億4600万平方メートルで、伸び率は4カ月連続で10%を割った。

  専門家は、「保障性住宅の着工が第4四半期に大きく増えたことを考慮すれば、11月は一般住宅の新規着工量の減少が明らかだ」と指摘した。

  中金公司は12月12日に発表した研究報告で、今後数カ月は不動産供給が増加し、価格の下落傾向がよりはっきり表れるとして、底打ちは2012年第1四半期か第2四半期になるとの予測を示した。(編集担当:浅野和孝)

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