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市場経済と保守主義の親和性(?)

市場が発展し、社会が豊かになるためには何が必要だろうか?

当然ながら、市場取引を行うためのルールが必要だ。いや、嘘をつかない・取引をきっちり履行する・時間を守る・約束を守るなどの少なくとも現代の先進国といわれる国では当たり前のこととして一定程度守られていることが、当然の道徳・常識として成り立っていない国や場所では取引はなかなか成立しなかったり余計なコストがかかることで市場の発達が阻害されるだろう。(※情報の非対称性から発生するコストを減少させるともいえるだろう)

これは言うまでもないことである。

もちろん、勤勉に長時間働く労働者が必要なことも言うまでもない。勤勉さが存在しない場所ではなかなか経済は発展しない。

節約というのも大切である。稼いだお金を湯水のように使い、せっかく作った製造設備その他を大切に扱わない、あるいは若干意味がづれるが、せっかく育成した従業員をないがしろに扱うような社会では資本の蓄積が進まない。その結果として経済は発展しない。

ドイツにしろ北欧の国々にしろ、イギリスにしても、アメリカは勿論、そしてに日本もだが、節約や貯蓄というのが美徳とされる国家である。また、日本人ならば道具を(ある意味でやりすぎじゃないかと思うくらい)丁寧に扱う。あるいは従業員を家族同然のように大切に扱う。これらは単にそれが意味のない文化に根ざした美徳であるからではなく、そうすることが経済的にプラスであるからだ。(あるいはたまたまそういったカルチャーを持った日本に資本主義が根付き発展の大いなる原動力となったと考えることも不可能ではない。卵が先か鶏が先かの議論かもしれない)

いずれにしても、市場経済が発展してきた国には多かれ少なかれ倹約や貯蓄という美徳があるのはいうまでもない。

そして、規範意識と同様に(あるいはこれも両面であろうが)重要なのは法整備である。私有財産制度がきっちりと確立されないと人々はまじめに働いたり投資をしない。稼いだお金や所得がある日突然、盗まれたり、あるいは政府による制度変更によって大幅に減価を強いられるのであれば、人々の投資意欲や勤労意欲が大きくそがれることは間違いない。

こういったものが市場を発展させ我々の社会を豊かにしてきた。

以前も書いたがこれらの要素があればおそらく市場は発展しやすい。しかし、これらは政府によって押し付けられるものではないだろう。人の価値観を変えるのは容易ではないし時間がかかる行動なのだ。だから、後進国では、いくら援助しても容易に経済が発展してこなかった。最近になってようやく少しずつ状況が変化してきているように思える。

明治政府が保守的な価値観を押し付けたから成功したのではなく、日本国民自体がそういった価値観や文化をそもそも持っていたから日本は市場経済にフィットしあれだけの発展を遂げたといえるだろう。また、豊かになれば勤勉さなどが失われていくのは仕方がないことかもしれない。

文化や価値観を政府の力で変化させるのは容易ではないだろう。また、何が正しいかなど誰にもわからない。昔からの・・・、伝統的な・・・・と言ってもそれが本当に人々の幸せや国家の発展に寄与したかはわからない。万が一、今までは寄与していてもこれからは違うかもしれない。あるいは、その「昔」というのはいつのものかすらわからないことも多いだろう。明治以降の○○にすぎないかもしれないし、遥かにさかのぼって平安時代からの○○もあるだろう。要はそうやって言う人はなんとなく自分にとって都合がいい価値観を「保守」や「伝統」の美名のもとに押し付けようとしているだけかもしれない。

また、一部の人々はそういった価値観が一足飛びに日本を発展させたと勘違いしているようだが、それはどう考えてもおかしいだろう。そういった価値観が市場経済とフィットし、市場が急激に発展したことで日本は急激に発展したにすぎない。だから、一方で保守的な価値観の重要性を唱えながら市場経済を否定する行為にはまったくもって整合性がない。

いずれにしても、政府に価値観を変化させたり押し付けることには意味はないし国家を発展させる力などないように思える。最低限の犯罪行為を取り締まるだけで十分だ。後は、人々の自由な選択に任せるしかない。そして、その国の国民性・国民のレベルに合わせた国家ができ、経済力があるだけなのだ。

経済が発展するためには保守的な価値観は非常に重要と思われる。しかし、それは容易に与えられるものでは決してない。


参考文献
Do markets need social conservatism? (stumbling and mumblingより)

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