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中東出張その3

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2017.12.31

外相就任以来3回目となる中東出張でした。

クリスマスイブに日本を経ち、クリスマスはエルサレム及びラマッラで一連の日程を行いました。

トランプ大統領の米国大使館のエルサレム移転表明以来、主要国の外相として初めてイスラエル及びパレスチナを訪問することになりました。

アラブ各国がイランとの対立を深める中で、また、一部のアラブ諸国とカタールの対立が続く中で、イスラエルはアラブ各国がイスラエルとの関係を裏では深めてくると自信を持っていて、パレスチナとの和平に積極的でない面もあるかもしれません。

パレスチナ自治政府にとっては、トランプ大統領の声明を受けてアメリカを仲介者とすることは難しくなりました。

イスラエルに対して、パレスチナとの和平がアラブ諸国全体との表での和平をもたらし、それがイスラエルの安全保障や経済に大きなプラスになるということを認識させる、そしてパレスチナ、特に自治政府にはアメリカを再び、和平に関与させる必要があるとの認識をもたらす必要があります。

そんな中で日本が10年間にわたり、腰を据えてじっくりやってきたJAIPと呼ばれるジェリコでの農産加工団地のプロジェクトは、日本とパレスチナだけでなく、近隣のイスラエルとヨルダンの協力も得ながら実施されているパレスチナでは非常に珍しい長期プロジェクトであり、しかも、第1フェーズですでに製薬原料やパレスチナで初めての国内産ジュース、ウェットティッシュなど8社が製造を開始したという成果を上げています。

JAIPで製造された製品は、パレスチナ領内からアレンビー橋の国境を越えてヨルダンに持ち込まれ、ヨルダンから湾岸諸国、アラブ各国、欧米、そして世界に輸出されるというのが、究極の狙いです。

JAIPの第2フェーズを立ち上げる式典にパレスチナ自治政府の首相と一緒に出席し、除幕式を行いました。

第2フェーズでは、物流を強化するとともにICT企業の立ち上げ支援や人材の育成に取り組みます。

日本の取り組みがパレスチナの若者に夢と希望を与えられるように、息長く支援を続けていきます。そしてそれがこの地域でのISILや過激派の吸引力を低下させることになり、地域の安定につながっていきます。

原油や天然ガスの多くを中東に依存する日本としては、中東の平和と安定は死活問題といってもいいでしょう。中東にしっかりと関与する外交を続けていきます。

第2フェーズを実施するために必要なアクセス道路や国境の施設の強化などに関して、今回、イスラエル側とパレスチナ側での合意に道筋をつけることができました。

こうした日本の取り組みを通じて両者の信頼醸成に努めていきます。

また、2002年に日本がODAで様々な機材を供与した、東エルサレムにあるアル・クドゥス大学医学部を訪問し、機材が本当に丁寧に使われているのを見て感激しました。しかし、残念ながら、機材に使われているインクやスペアパーツの中には製造中止となっているものもあり、当時供与した機材の多くが使えなくなっていました。

ODAとして約1億円の範囲で優先順位をつけて機材の更新を行います。

さらに、アンマンのイスラエル大使館での事件を受けて悪化したイスラエルとヨルダンの関係改善に向けても、今回、両者の間のメッセージを取り持つことなどで、一歩を踏み出せたと思います。

中東各国の指導者は、トランプ政権の声明そのものよりも、それが過激派などに暴動やテロを起こす口実を与えることになりかねないのを恐れています。

各地で衝突が起きていますが、各国政府は抑制的な対応を取ろうとしています。

日本は、国連安保理や総会での投票態度を通じて明確なメッセージを送り続けています。そして今回の日本の対応について、中東各国の指導者、政府から非常に高い評価をいただいています。

ヨルダンやトルコは、シリアからの難民を多く受け入れています。日本としては、その負担を軽減するために、また、シリア難民が国家再建に向けて速やかに帰国できるような支援を続けていきます。

ヨルダンは、イスラエルとも協力し、アカバ湾の海水を淡水化し、淡水を取った残りの塩分の濃い海水を水位が下がり続けている死海に送り込み、環境を維持すると同時に発電も行うという一石三鳥のプロジェクトを検討しています。

オマーンを日本の外務大臣が訪問するのは実に27年ぶりです。

最後にオマーンを訪問したのは、湾岸危機の時の中山太郎外相です。

また、トルコを日本の外相が訪問するのも6年ぶりになります。

国会対応や専用機などの問題がありますが、日本の外相は、もう少し、主要国にはしっかり足を運ぶ必要があります。

さらに加えれば、韓国のインチョン・金浦両空港から直行便が飛んでいる国、都市と羽田・成田両空港から直行便が飛んでいる国、都市を比べると圧倒的に日本が負けているのが現状です。

かつてのようにODA世界一を誇ることはできません。例えば中国がアフリカや中東に落とすお金と日本のODAや投資を比べると、今や比較になりません。

そんな中で日本の国益を考えれば、日本外交の足腰を鍛えていく必要を痛切に感じています。

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