記事

落語にハマるチャンス!NHK「超入門!落語THE MOVIE」元日に一挙放送

1/2
NHK「超入門!落語 THE MOVIE」HPより

「落語」というジャンルに、まあまあ興味はあるけれど、今ひとつハマる機会を失している、どこからどう入ればいいのやら、と二の足踏んだままでいる落語ビギナーに、新年ここに集うべしという落語オアシスがやってくる。それが、1月1日の23時35分から午前4時までNHKで夜通し放送される「超入門!落語THE MOVIE 一挙放送スペシャル2018」だ。

落語の「映像化」でわかりやすさに特化した番組

同番組は2016年にスタートした落語初心者の為の企画で、案内人に俳優の濱田岳を据え、マイナーチェンジしつつ現在は毎週木曜夜に25分番組で放送されている。落語へ超のつく入門とは、いかなるものか、公式サイトの番組紹介は以下だ。

<「超入門!落語THE MOVIE」(NHK)公式サイトより>

落語・・・たったひとりの噺家が座ったまま物語を語り、多彩な登場人物や情景、笑いと人情の機微を伝える・・・観客は想像力をフルに働かせて楽しむ、すぐれた「脳内エンターテインメント」です。

しかし、それゆえに、初心者にはハードルが高いこともあります。

この番組は、落語をあえて映像化。噺家の語りに合わせて再現役者の口が動く、いわゆる「リップシンク」に徹底的にこだわり、あたかも落語の登場人物たちが実際に話しているかのような臨場感を演出、見ている人をリアルな落語の世界へと導きます。

新しいエンターテインメント、「見る落語」の世界をお楽しみください。

つまり、落語家が語る音声はそのままで、この音声に合わせて役者が口パクでアテブリ芝居をして、落語をビジュアル化し、わかりやすく伝えようというのがこの番組である。方向性は、松浦亜弥のオリジナル音声に合わせて、はるな愛が「イェーイ、めっちゃ、ホーリデーー!」とアテブリをする「エアあやや」と同じ構造・・・とかいうとむしろ遠回りか。

そもそも落語はとてもミニマルな芸だ。それを楽しむために観客は「演者の語りを耳で聴き、その言葉から頭の中で、背景や人物の画像を想像しながら味わう」のが基本前提となる。観客の目に見える演者の表情や仕草は、観客の頭の中の想像を喚起させる一助に過ぎない。

そんな基本前提に立ちはだかり、「たぶんですね、今の若い人たちには、落語で語られる言葉を聞いただけでは、ほとんど画がわかりづらいんじゃないかと思うんですよね。そこでいっそのこと・・・」と、前提ちゃぶ台返しによって実現した企画が「超入門!落語THE MOVIE」だ。

これは旧来の落語ファンからすれば掟破りであり、賛否で言えば「否」であり、落語ファンが三人寄れば「否否否」であり、番組開始以降「あれ見た? なんなのあれ? 落語に画つけちゃったらそれって落語じゃないでしょ」と落語ファンがざわついた問題含みであり、顔をしかめながら見始めた番組だった。

しかし、どんなジャンルも新規参入者が減少すれば先細る。例えば、新規参入者を促すためにある子ども向けの落語絵本には目くじら立てない落語ファンが、大人向けの「落語THE MOVIE」に異を唱えるのは、なんだかオトナげないじゃないか、という空気が次第に否定派をクールダウンし、事態は沈静化していった。

むしろこの番組をキッカケに落語ファンになった初心者を見つけたら、先達として上から目線でうんちくつぶやくポジションにマウントして、尊敬されてしまおうという下心も手伝い、「落語THE MOVIE」と「七面倒なオールド落語ファン」との関係は次第に和平へと至ったのだった。という経緯のモデルは、ほぼ自分なのだけど・・・。

以後、「落語THE MOVIE」容認派に転向し、番組を見続けるうちに内容のあれこれに関心するようになり、今ではゴリゴリの賛成派である。どっちにしろ七面倒で申し訳ないが。

初心者から上級者まで楽しめる「超入門!落語THE MOVIE」

さて、このRTM(落語THE MOVIEの略)、まさに「聞く落語」を「見る落語」に変換するのが主旨だが、落語を映像化するという目的を果たすため、その一歩目で行っている地道な作業が成否のカギを握っている。

この番組における落語映像化は、スタンダードに口演される落語のサイズをそのまま映像化しているのではない。映像化前に落語全体の圧縮作業を行い、物語を短く編集している。それが映像化用のドラマ台本になる。

これによってサイズは通常の落語尺の半分以下となり、初心者にわかりやすいダイジェストサイズに着地させている。のだが、この番組で落語家達が高座で演じている落語は、スタッフが厳選した各演者の得意演目だ。ゆえに、高座で口演されるのは演者によって既に推敲されきった完成形である。それをこの番組は「落語家の顔色を伺うな! 切れ! ためらうな! 切れ切れ! 落語初心者のためだ!」と勇猛果敢な編集をしている。

この、番組用に短く圧縮された落語がもちろん初心者向けなのだが、旧来の落語ファンからすると「これ以上は短くできないと思い込んでいた古典テキストが、こんなサイズになるなんて」と、第三の眼を見開かせてくれる。これは映像化と並行して、唸りのツボになっている。

また、ドラマパートよりも高座の落語のほうが「いい」とされる表現箇所では、高座シーンを活かすのがRTMの演出傾向だ。それがどの場面で訪れるのか、なるほどその場面を活かすのか、なんていう見方は落語ファンに許されたツボだったりする。

初心者のためでありながら、オールドファンの琴線にも触れてくるRTM。来たる元旦深夜は「超入門!落語THE MOVIE 一挙放送スペシャル2018」が放送される。これは昨年に続くNHKの超正月対応道楽編成である。なにしろ正月早々初夢見る時間に、一富士、二鷹、三茄子娘・・・で、RTMへようこそなのだ。

あわせて読みたい

「落語」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    「スゴイ日本!」ばかりのテレビ五輪放送。在留外国人は東京五輪を楽しめるか

    Dr-Seton

    08月05日 08:29

  2. 2

    淀川長治さんが『キネマの神様』を絶賛?CMに「冒涜」と映画ファン激怒

    女性自身

    08月05日 09:07

  3. 3

    環境省がエアコンのサブスクを検討 背景に熱中症死亡者の8割超える高齢者

    BLOGOS しらべる部

    08月04日 18:05

  4. 4

    中等症めぐり政府の揚げ足を取る毎日新聞 いい加減な記事を出すのは許されるのか

    中村ゆきつぐ

    08月04日 08:26

  5. 5

    中等症入院不可…専門家の意見を聞いていなかったとは

    大串博志

    08月05日 08:22

  6. 6

    強行放送!緊急事態宣言下の24時間テレビは「ジャニーズ祭り」

    渡邉裕二

    08月04日 08:04

  7. 7

    テレビ放映権中心に回り夏開催される五輪 舛添氏が改革案を公開

    舛添要一

    08月05日 08:33

  8. 8

    ワクチン完全接種5割の8月末まで好転無しか

    団藤保晴

    08月05日 09:02

  9. 9

    患者対応をめぐる行政と開業医の役割分担 国会議員がルール化する必要性を橋下氏指摘

    橋下徹

    08月04日 12:14

  10. 10

    ベラルーシ選手はなぜ政治亡命したのか ルカシェンコ政権の迫害ぶりを示した東京大会

    WEDGE Infinity

    08月05日 09:18

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。