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【書評】2017年私の10冊 そして、出版業界の行方

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現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史 (イースト新書)現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史 (イースト新書) [新書]北田暁大イースト・プレス2017-06-10




『現代ニッポン論壇事情』(北田暁大・栗原裕一郎・後藤和智 イースト・プレス)は、この30年間、論壇は何を論じてきたかを問い直す座談会企画である。なんせ、この3人が論じるのだから面白くないわけがない。数々の著名な論者たちをメッタ斬り。しかも、その批判の作法のツンデレ感というか、上げて落とす感じがいちいち秀逸だった。

我々は論じることをやめてはいけない。しかし、その論じ方が大事なのだ。この本を読んで、私は改めて来年は真面目な左派文化人を目指さなくちゃと思った次第だ。いや、要するに左派と、若者批判論者も擁護論者もダメだったんじゃないかと私は考えている。

芸人式新聞の読み方 (幻冬舎単行本)芸人式新聞の読み方 (幻冬舎単行本) [Kindle版]プチ鹿島幻冬舎2017-03-08




プチ鹿島さんのこの本はメディア・リテラシーの新しい教科書だ。タイトルがすべてを物語っているが・・・。各紙の評価がいちいち的確で。ところどころに毒もあり。ポストトゥルースの時代と言われる昨今だが・・・。まず、この本から始めよう。

文庫解説ワンダーランド (岩波新書)文庫解説ワンダーランド (岩波新書) [新書]斎藤 美奈子岩波書店2017-01-21




『文庫解説ワンダーランド』(斎藤美奈子 岩波書店)は、いつも謎だった、あの文庫本の解説について味わい、面白がる本である。私も何度かやったことがあるが・・・。文庫本の解説はいつも謎だ。我田引水だったり、突然、批判を始めたり。選び方、取り上げ方、いじり方がいちいち面白い。そして、この本自体が文庫本解説的であるという・・・。紹介されている本も読みたくなる。いい感じ。

1984年のUWF1984年のUWF [単行本]柳澤 健文藝春秋2017-01-27





『1984年のUWF』(柳澤健 文藝春秋)は連載の頃から大ファンで。格闘家中井祐樹の視点により、日本の総合格闘技の歴史を読み解く試み。

佐山サトルに寄りすぎており、前田日明側の視点が不十分という批判も散見されたが、本の作り上の問題であり。なんせ、事実の積み重ねと切り取る視点が秀逸だった。

1984年の歌謡曲 (イースト新書)1984年の歌謡曲 (イースト新書) [新書]スージー鈴木イースト・プレス2017-02-10




『1984年の歌謡曲』(スージー鈴木 イースト・プレス)も視点と事実の積み重ねが面白い本だ。歌謡曲とニューミュージックが接近、融合した年として1984年を捉えている。

スージー鈴木は新潮社から出たサザンの本もやはり、視点と事実の積み重ねが秀逸だったが、私はこちらを推したい。

キッズファイヤー・ドットコムキッズファイヤー・ドットコム [単行本(ソフトカバー)]海猫沢 めろん講談社2017-07-26




『キッズファイアードットコム』(海猫沢めろん 講談社)は海猫沢めろん先生にとっての出世作。子育て×ホスト×IT×クラウドファンディングという。相変わらず、めちゃくちゃなようで、作者の視点がますます社会的課題に向かっているなと感じたり。ドラマ化されたらいいな。

まだまだ紹介したい作品はあるが、私の今年の10冊は以上で。

ここからは出版業界の2017年の振り返り。と言いつつ、半分愚痴であり、決意表明的なものである。

まずは著者視点から。出版業界が沈んでることは日々感じることだ。すでに「出版不況」と言われていた10年前の2007年に私はデビューした。ただ、今、思えば当時はビジネス書ブームだったし、新書ブームの残り香も感じた。

あれから10年。当時、言われていた、これからまだ冷え込むぞという話は現実となり。書店はどんどん減っていった。

個人的にはここ数ヶ月、変化を感じることが多く。紙系の編集者のネットへの転身が相次いでいたり。

さらには、初版の部数が駆け出しの頃に戻ったり。いや、私が売れている著者ではないというのも大きいのだが。ただ、周りをみてもどうやらそのようで。

もっとも、出版業界自体、変化への危機感が甘いのではないかと、この10年間感じ続けてきたのもまた事実だ。何かこう、他人事のように語るという。

自戒を込めて言うが、別に商業出版の、しかも紙の本として出さなくても良かったのではと思う企画が多数あったのも事実だ。特に数年前に軽めの新書を買っていた層は、東洋経済オンラインや、現代ビジネスに移行しているのではないか。

それでも、本を書くのは、売れるかどうかは別として、メッセージが届くこと、残ることに価値を感じるからだ。もう、お金のためではない。

関係者視点だと恨みつらみの話になってしまうが、読者視点だと読書がこんなに面白い時代はない。出る本の質は上がる(はず)だし、古今東西の良質な本を手に取ることができる。ユニークな書店も増えた。

業界の変化は今後も進むが、書き手としても読者としても、この波乗りを楽しむしかないのだ。

つまり、何が言いたいかと言うと、仕事ください、私の本を買ってください、そういうことだ。

冗談よ。

来年も本にまみれよう。

「働き方改革」の不都合な真実「働き方改革」の不都合な真実 [単行本(ソフトカバー)]おおたとしまさ2017-11-17




最新作、よろしく。ぶっちゃけ苦戦してるが、取材依頼はいっぱい。これもまた本を出す意義。メッセージは届いてる。

なぜ、残業はなくならないのか (祥伝社新書)なぜ、残業はなくならないのか (祥伝社新書) [Kindle版]常見陽平2017-06-16




この本も長く売れているし、未だに取材依頼、講演依頼がいっぱい。メッセージ、届いてる。社会を少しでも、動かしてる。無力じゃない。

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「パパの本、買ってあげてね。サザエさんとディズニー禁止って言われたけど、それって何?」

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