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「国会議員関係政治団体」逃れ(「詳細な支出報告」逃れ)から判明したこと

(1)いわゆる「国会議員関係政治団体」については、すでに、紹介した。

政治団体のうち、この「国会議員関係政治団体」になると、詳細な報告等が義務付けられることも、すでに説明した。

(2)それゆえ、この「国会議員関係政治団体」になることを回避する動きがあった。
政治資金規正法はそもそも税制上の優遇措置を受けない政治団体を「国会議員関係政治団体」とはしていないため、税制上の優遇措置を受けない政治団体が現れているからだ(なお、休眠状態の政治団体を換算するところもあるようだ。)。

これまで、私のブログでも、紹介してきた。

「国会議員関係政治団体」に関する改正政治資金規正法の問題点

岐阜県選出5国会議員も1万円超の経費公開逃れ

東京都選管所管分でも「国会議員関係団体」逃れ 

「国会議員関係政治団体」逃れとその原因についての解説の問題点

政治資金収支報告書の未提出と「国会議員関係政治団体」逃れの可能性

(3)他方、「国会議員関係政治団体」の収支報告書については、少額領収書の開示の制度があり、それを利用したところ、当該政治団体の政治資金の金額が一致しないところもあることが判明している。

(4)昨年(2010年)分の政治資金収支報告書が刻出も地方でも公開された。

同じように、「国会議員関係政治団体」逃れが発覚している。
毎日新聞 2011年11月24日 15時00分(最終更新 11月24日 15時08分)
政治資金:片山元総務相の政治団体、関係先に指定せず

 参院議員の片山虎之助元総務相が、昨年の政治資金パーティーの収入約2480万円を計上した政治団体を「国会議員関係政治団体」に指定していないことが24日、都選管が公表した政治資金収支報告書で分かった。07年改正の政治資金規正法は、国会議員に、自身を支援する団体を「国会議員関係政治団体」に指定し、税制上の優遇を条件に詳細な支出の公開を求めている。この団体は、優遇を受けておらず違法ではないが、専門家は「支出を明らかにしたくないので、指定しないのでは」と指摘している。

 政治資金収支報告書によると、団体は「地域活性化研究会」で、片山氏の議員会館の電話番号が連絡先になっている。片山氏が10年に開いた15回の「セミナー」などのパーティー収入を計上。支出先を明らかにしたのはパーティー経費などだけで、備品・消耗品費や事務所費計約290万円の支出先は明らかにしていない。
 一般の政治団体は事務所費などの使途を公開する必要はないが、国会議員関係政治団体は、寄付金に課税しないことを条件に、事務所費などの1万円超の支出先を明示し、公認会計士らの監査を受ける必要がある。
 片山氏の事務所は「元は他の政治家の支援団体で、片山が全部を管理しているわけでないし、寄付金控除もない。(関係団体に指定するかは)今後検討したい」としている。
 政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之・神戸学院大法科大学院教授は「寄付金の受け皿を別に作ることで関係団体に指定せず、詳細な支出の報告を逃れている可能性がある。こうした行為を防ぐ法改正をすべきだ」と話している。【青島顕】
朝日新聞2011年11月30日神奈川県
政治資金収入8.2%減

 県選挙管理委員会は29日、2010年分の政治資金収支報告書を公表した。報告書が期限内に提出された2008団体が対象。前年繰越金を除く収入は72億2218万円で、前年を8・2%下回った。09年の衆院選で野党に転じた自民党は収入が前年の3割減と大きく落ち込み、衆院選や今年の統一地方選で議席を伸ばしたみんなの党は収入も4倍余に増えた。

 収支報告書が公表された政治団体のうち、5人以上の国会議員がいるなど政党交付金を受ける要件を満たした政党の収入は40億2293万円で、前年を13・6%下回った。
 内訳では、党本部やほかの支部からの交付金が前年より21・2%減って16億9519万円、企業・団体献金も30・4%減の2億8505万円にとどまった。一方で個人献金は10億3514万円と9・7%増えた。
 政党以外の「その他の政治団体」の収入は、県医師連盟が1・0%増の1億2182万円でトップに。4年連続で首位だった地域政党の神奈川ネットワーク運動は23・2%減の1億653万円で2位に落ちた。
 政治資金パーティーは86団体が計120回開き、総額5億6256万円の収入を得た。前年より団体数は21団体、回数は30回増え、収入が20・6%増えた。
 1千万円以上の収入があった大口の特定パーティーは計13回。収入1位は自民党県連が昨年11月に開いた政経文化パーティー。翌年の統一地方選に向けたパーティーで、6623万円の収入を上げた。
 収支報告書は県庁内の県選管で閲覧できる。県選管のホームページ(http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f5/)でも29日から公開している。
 09年衆院選で野党に転落した自民党の県連や各支部計213団体の2010年の収入は過去10年で最低の13億7468万円となった。09年は県内18小選挙区で16議席から3議席に激減。10年は交付金が前年の半分以下になり、献金も3割近く減った。
 松本純衆院議員が代表の党県第一選挙区支部は前年に1億2千万円あった収入が6割減った。同支部は「大型選挙がなかったことに加え、不景気で個人や企業の寄付が減った」と説明。「鉛筆一本でも節約して支出を減らさないと」と厳しい台所事情を語った。
 民主党の35団体も寄付や交付金の収入が落ち込み、前年比27・1%減の6億1704万円になった。ただ、過去10年では4番目に収入が多かった。

 収入を大きく伸ばしたのがみんなの党(23団体)。前年の4・6倍にのぼる1億6890万円を得た。党を立ち上げた09年は、江田憲司党幹事長、浅尾慶一郎衆院議員、中西健治現参院議員が代表の3支部があり、収入の6割以上が党本部からの交付金だった。
 10年には、この3団体が寄付収入を大きく伸ばしたうえ、翌年の統一地方選を見越して政党支部20団体が新設された。交付金の総額も5850万円と前年から倍増。今春の県議選で15人が当選し、公明党を抜いて第3党になったうえ、横浜や川崎市議選でも議席を大幅に増やした。
 民主党の水戸将史参院議員とつながりが深い政治団体が、10年に政治資金パーティーの収入約1千万円を計上しながら「国会議員関係政治団体」として県選管に届け出ていないことが、県選管が公表した収支報告書でわかった。
 国会議員と関係の深い政治団体の収支報告の透明性を高めるため、07年改正の政治資金規正法は、特定の国会議員を支援し、寄付金控除の適用を受ける政治団体などを国会議員関係政治団体と定め、少額支出も含めた公開を求めている。
 この政治団体は「日本改革NEWプロジェクト」。水戸氏の資金管理団体の事務担当でもある公設秘書が事務をしている。この団体は10年12月、政治資金パーティー「水戸まさし出版パーティー」を開き、約1010万円の収入を得たが、国会議員関係政治団体として届け出ていなかった。
 公設秘書は「この団体はパーティー収入に限っており、寄付金控除の必要がないので届け出ていない。お金の流れを簡潔明瞭にするために政治団体を分けており、透明性は確保している。求められれば少額支出の領収書も公開する」と話した。
 政治資金に詳しい神戸学院大法科大学院の上脇博之教授(憲法学)は「制度上は少額支出の開示請求ができず公開度が低いため、届け出をしないのは問題だ。同じ政治家が複数の政治団体を作るのは金集めの財布を増やすようなもので、政治団体本来のあり方から疑問だ」と指摘している。(毛利光輝、植松佳香)
(5)現行の政治資金規正法がこの「国会議員関係政治団体」について逃げ道を用意しているため、この団体であることを逃れる政治団体がいまだにあるわけであるが、マスコミの記者からの取材を受けていて、新たに分かったこともある。

そこで、問題点を含め、新たに判明したことなどを指摘しておこう。

(6)第一に、これまで何度も指摘しているように、「国会議員関係政治団体」逃れをすれば、支出を詳細に報告することを逃れられることになるし、いわゆる少額領収書の開示も逃れることができることになる。

(7)第二に、マスコミの注目は「国会議員関係政治団体」とそのリストに集中しやすいため、「国会議員関係政治団体」逃れはマスコミの注目逃れを可能にすることになる。

(8)税制上の優遇措置を受けない政治団体であれば、「国会議員関係政治団体」逃れができるため、第三に、国会議員らは、複数の政治団体をもち、政治資金を集める政治団体にそれぞれ役割分担をさせている傾向になる。
例えば、企業・団体献金を受け取るのは政党支部で、個人献金を受け取るのは資金管理団体で、政治資金パーティーを開催して収入を得るのは「国会議員関係政治団体」逃れをした政治団体(例えば後援会)というように。

(9)それとの関係で、第四に、政治資金集めをする政治団体と多額の支出をする政治団体とに役割分担をさせている傾向が生まれつつある。

例えば、政治資金を受け取るのは「国会議員関係政治団体」で、多額の支出をするのは「国会議員関係政治団体」逃れをした政治団体というように。

(10)以上は傾向なので、すべての国会議員の政治団体に当てはまるわけではないことに留意していただきたい。

とはいえ、マスコミの方々は、国会議員の政治資金の収支の実態を調べる場合、「国会議員関係政治団体」の政治資金収支報告書だけ見ていても、実態が正確に分からないことに注意していただきたい。

(10)もちろん、抜け道を塞ぐために法律改正が必要であることは、言うまでもない。

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