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日本八策

近代日本の夜明けにおいて重要な役割を担った坂本龍馬は、「船中八策」の想を練った。日本は困難な時代を迎え、新たな発展へのヴィジョン、改革の処方箋を必要としている。ここに、日本の未来を切り開くための「日本八策」の私案を発表する。

2011年12月13日 茂木健一郎 kenmogi@qualia-manifesto.com

日本八策(1)インターネット、グローバル化という「偶有性」の文明の波が押し寄せる時代。福澤諭吉が「適塾」で示したような、寝食を忘れて猛勉強する精神を復活させる。「知のデフレ化」の逆転。吉田松陰が松下村塾で講じたように、現実の状況に安易に妥協せず理想を貫く「心の整え方」を磨く。

日本八策(2)記者クラブに象徴されるマス・メディアの守旧体勢、独占体制を改め、真のジャーナリズムを醸成するための方策を実現する。メディアを、既得権益層の自己保身の手段とせず、日本を先に進める改革のためのメディアとする。結局はメディアのためにもなる。自己否定なくして、成長もない。

日本八策(3)役所における悪しき文書主義、形式主義を改め、公務員が実質的な職務にだけ専念できるようにする。民間も「お上頼み」「指示待ち」の風潮を改める。市場における自由闊達な競争、共創を図るための法的制度、インフラの整備を進める。多様なキャリア形成を妨げる「新卒一括採用」の廃止。

日本八策(4)大学を世界に開かれた、真に高度な学問の切磋琢磨の場に。小中高校における学習を、大学入試への準備の負担から解放する。教科書のデジタル化、クラウド化は不可避。大学を、ガラパゴスな「クラブ」から進化させ、自立して世界で活躍するクリエイティヴ・クラスの資質醸成の場とする。

日本八策(5)現代における最大の付加価値は、世界規模に展開した情報価値ネットワークから生まれる。モノ重視の「ものづくり」の時代から、ネットワークと結びついた「ものづくり2.0」へと、日本の産業構造を進化させる。プログラミング能力、システム思考を新たな「読み書きそろばん」に。

日本八策(6)「みんなちがって、みんないい」の精神で、個性を育む。一人ひとりがユニークな属性をもってこそ、共同して事に臨んだ際に「かけ算」でものごとを大きくすることができる。みんなが同じになってしまっては、積算が大きくならない。個性がゼロだと、かけてもゼロになる。

日本八策(7)自らの歴史や、文化を引き受ける「プライド」のないところに成長はない。「隣の芝生」が青いからと自らを全否定するのではなく、むしろ、過去からの継続を身体化し、新たな生命をよみがえらせること。「和魂洋才」の精神を、地球全体に開かれた「和魂球才」へと進化させる。

日本八策(8)「もののあはれ」のような伝統的価値観、里山における自然との共生は、世界に誇るべき日本の文化。マンガやアニメに見られる表象の豊かさ、「おまかせ」の食文化など、日本の伝統をさらに掘り下げ、発展させること。感性に根ざしたクオリア立国。自らを開いて、世界に贈り物を。

「日本八策」 pdf file 版

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