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競技場の外でも活躍するアスリートたちに光を~HEROsが加速させるスポーツを通じた社会貢献活動

競技場の外におけるアスリートの活躍に焦点を当てる

年々、社会におけるスポーツの価値を高めようとする動きが活発になってきているように思える。例えば2020年に東京オリンピック/パラリンピックが開催が決定したことに始まり、2015年にはこの分野を国の主要産業とすべく、スポーツの発展と推進を目的としたスポーツ庁が誕生した。

楽天やDeNAのような90年代後半に生まれたIT企業がスポーツに投資をしていることはJリーグやNPBのクラブの存在から広く知られているし、一大産業となっているアメリカの大学スポーツのモデルを日本にも転用しようとする"日本版NCAA”の動きも活発になっている。

このような機運が高まっている中、今年の10月に日本財団があるプロジェクトを発足させた。それが「HEROs Sportsmanship for the future」(以下、「HEROs」)」である。

参考:中田英寿氏らトップアスリートの社会貢献活動を促進する「HEROs」プロジェクトが発足

「アスリートがスポーツマンシップを発揮できる場所は、競技場の中だけではない。」

こういった考えのもと、多くのアスリートが取り組む社会貢献活動に焦点を当て、アスリートの社会貢献活動を促し、様々な社会問題を解決する動きを加速させ、ソーシャルイノベーションの輪を広げるというのが、この活動の目的だ。

この世界観を実現するために、HEROsでは“教育、実践、評価”という3つの機会を設けているのだが、“評価”に値する「HEROs AWARD」が12月11日に六本木はグランドハイアット東京で行われた。

提供:HEROs

現役選手から元アスリート、そしてスポーツクラブまで、様々な主体が取り組むスポーツを通じた社会貢献活動を表彰することで、スポーツの持つ力を可視化し、広く社会に発信する。そして、新たな活動の和を広げていきたい。そういった強い思いがこの表彰式には込められていた。

今年の9月より選考が開始されたのだが、審査員には多くの元アスリートやスポーツ関係者に加え、タレントの香取慎吾さんやアナウンサーの中井美穂さんら著名な人物が名を連ねた。そして、彼ら彼女らが熟考を重ねて選んだ6つのプロジェクトが、このHEROs AWARDで表彰を受けた。

様々な理念や思いから行われている6つのプロジェクト

今回表彰を受けたのは以下の6つのプロジェクトだ。

プロ野球・阪神タイガースの鳥谷敬さんが取り組むRED BIRD PROJECTは東南アジアの子どもたちに靴や文房具を届けるもの。野球を広めたいという思いから現地に足を運んだ際、そもそも靴を履いていない子どもたちを見たことにより、この活動を始めようとしたと言う。

サッカー元日本代表であり、現在は明治安田J1リーグ・ガンバ大阪のU-23チームの監督を務める宮本恒靖さんは、90年代の民族紛争による戦禍に苛まれたヨーロッパのボスニア・ヘルツェゴビナでスポーツアカデミーを設立した。プロジェクトの名は「マリモスト〜小さな橋〜」。かつて戦争で対立しあった民族の子どもたちを、スポーツを通じて繋げ、信頼関係を構築していくものである。

プロサーファーのアンジェラ・磨紀・バーノンさんが取り組むのが「OCEAN’S LOVE」。知的障がいを持つ子どもたちにサーフィンを教え、そこで得られる達成感から子どもたちへ自信と成長を促そうとするもの。健常者向けに、心のバリアフリーについての研修を行ってもいる。彼女が理想とするのは、健常者も障がい者も平等である社会だ。

「兄が障がい者で幼いころから、学校でいじめにあったり、障がいを持っているということでみんなと同じことが出来なく、悲しい思いをしました。そこで、自分が大人になったら、障がい者が住みやすい社会を作りたいと思ったんです」

彼女が精力的に活動を続ける背景には、こういった原体験がある。

元プロボクサーの坂本博之さんは、幼少期に両親が離婚をしたことにより児童養護施設で育てられた。そこでの経験から、辛い経験をや心への傷を持った子どもたちに、ボクシングセッションを通じて"こころのケア”をする「こころの青空基金」というプロジェクトを行っている。他のメンバーと共に、年間で40~50回ほど全国の児童養護施設を訪問している。

表彰されるのはこうした個人が主体になって行われるものばかりではない。

サッカー・明治安田生命J3リーグに所属する福島ユナイテッドが取り組む「ふくしマルシェ」はチームのホームタウンである福島の農作物の安心、安全性を発信していくものだ。東日本大震災から6年が経過した今でもなお、農作物の風評被害は存在する。それを払拭していこうと、農産物を育て、出荷し、スタジアムで売るという一連の流れを選手やスタッフが中心となって行っているものだ。

また、世界ゆるスポーツ協会はその先進的な取り組みを評価された。年齢や障がいの有無、運動神経の良い悪いに関わらず、誰もがスポーツを楽しめる仕組みを作り、社会課題を解決する「新しいスポーツ」を創ることに挑戦している。

スポーツは運動神経が良い人でないと楽しめない。そうしたイメージを取り払い、誰もが運動をする楽しさを享受できるような社会を描こうとしているのだ。

これら6つが本年度のHEROs AWARDを受賞したのだが、この中からいわゆる“年間最優秀賞”のような立ち位置であるHEROs OF THE YEARとして、宮本恒靖さんのプロジェクトが選ばれた。

提供:HEROs

受賞に際し宮本さんは「このHERO’sの理念、考えがもっともっと広がって、それによってアスリートがフィールド外で活躍できればと思います。私としてももっと活動を広めていきたいです」とコメントを寄せた。

余談だが筆者は大学時代、宮本さんが活動をするこのモスタルという街へ足を運んだことがある。戦後15年近く経っていたこともあり、民族同士のいがみ合いというのを目で見て感じることはなかった。ただ、そこで出会った現地の人々と会話をするときにサッカーの話で盛り上がったことを鮮明に覚えており、スポーツは人種や年齢、性別を越える共通言語だということを身をもって実感した。だからこそ、この宮本さんの取り組みについては非常に共感できるものがある。

様々な活動を知り、新たな繋がりが生まれる貴重な場所

提供:HEROs

「僕自身、宮本がこういった活動をしているのは知らなかった」

表彰式の後、HEROsアンバサダーの1人でもある元サッカー日本代表の中田英寿さんはこう口にした。HEROsの価値は知られざるスポーツを通じた社会貢献活動を知ることが出来る機会であることを中田氏は指摘したが、その例として発せられたのが上の言葉である。

これは本当にその通りである。実際に筆者自身も6つのプロジェクトのうち知っていたのは2つのみであり、これら社会的意義のある活動がスポーツという軸を元に展開されていることは恥ずかしながら知るところではなかった。だが、こういった壮大な表彰式を行ったり、アンバサダーや審査員に著名人を起用したりすることによって注目度が高まるのは必然であり、表彰、言及されるプロジェクトはそれまで以上に陽の目を浴びることになることは間違いない。

車椅子バスケットボールの選手であり、2000年のシドニー五輪では代表のキャプテンを務めた根木慎志さんは表彰式を終えて、「知らなかった世界が広がっていったし、自分達も元気やパワーを貰ったりする。この会場の全ての人がそれを感じたと思うし、これをまたメディアの方が取り上げてくれたりすることによって、1つの共感できる世界に出来るのかなと思います」と語った。

根木さんは25年以上、全国の学校に赴いてパラスポーツの普及をしてきたのだが、このHEROsの存在が、自身の活動を更に加速させてくれるものになると感じたのだという。

「アスリートとして今日一緒にやったものとして誇りに思うし、自分達の役割の重要性を改めて感じましたし、背中を押していただきました」。興奮気味に、HEROsの価値を、こう口にしてくれた。

会場では数々のアスリートや関係者が交流を深めて議論する様子も目についたが、スポーツの可能性を信じてやまない”同志達”が繋がりを持つことで、新たな動きやプロジェクトもはじまっていくかもしれない。

広く世の中にスポーツを通じた社会貢献活動の数々を認知させて関心を呼び起こし、アスリートや新たな一歩を踏み出す機会を与えるという役割をも、HEROsは果たしている。

この活動が続くことで、間違いなくスポーツの価値は高まっていくだろう。この世界に携わる身としてはこの上なく喜ばしいことでもあるし、何よりも、更なる広がりを見せてくれることに期待をせざるを得ない。

[ PR企画 / 日本財団 ]

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