- 2017年12月28日 08:45
突然家を出た妻に夫が"搾取"された怖い話
2/2慰謝料の時効は「離婚から3年」知らずに数百万取りそびれ
聞けば、離婚の決め手は調停期間中に妻の不倫が発覚したことでした。それまでは、何とか関係を修復しようと必死だった初彦さんでしたが、堪忍袋の緒が切れました。そんな妻なんか、こっちから願い下げだよ、と。
離婚成立により、3人の幼い子供たちの親権は妻へわたり、また、手に入れたばかりのマイホームを売って、財産分与することになったそうです。離婚に関する知識がほとんどなかった初彦さんは、妻と弁護士にされるがままでした。現在は「実家には顔向けができず、今は1人寂しくアパートで暮らしている」と初彦さんは言います。
その後、離婚成立から4年が経過。自分を裏切った元妻に対する怒りは収まっていませんでした。そしてついに反撃に出ます。弁護士に依頼して妻や妻の不倫相手の男へ慰謝料を請求したそうです。
ところが、それはかないませんでした。
慰謝料の時効は「離婚から3年」で、すでに手遅れだったのです。初彦さんは、不倫した妻やその相手に慰謝料を請求できることを「なんとなく知っていた」そうですが、「3年」という期限があることまでは知らなかったのです。3年以内に請求すれば、数百万円は手にできたかもしれません。ただし、初彦さんはお金がほしかったわけではありません。悔しさを少しでも晴らしたかったのですが、あえなく返り討ちあってしまった格好です。
▼「僕は子供も家も失いました。でも、妻や男は……」その後、私の書いた離婚トラブル解決に関する本を読み、訪ねてきた初彦さんは、すがるような目で訴えました。
「僕は子供も家も失いました。でも、妻や男はどうでしょうか? 何も失うことなく、今も平気な顔で暮らしていると思うとやり切れません。不倫は犯罪じゃないんですか! こんな理不尽が許されるんですか? 泣き寝入りするしかないんですか!」
何より悔しいのは、離婚は妻の不倫のせいなのに、結果的に愛する3人の息子と引き離されてしまったことでした。しかしその一方で、わが子は本当に自分の子なのか、もしかすると自分のDNAではなく、妻の不倫相手のものではないかという疑念も持ち上がってきました。とはいえ、いまさら戸籍上の父親を「交換」するわけにもいかず、悶々(もんもん)とした気持ちを抱えているのです。
なぜ、別居中の妻に月4万も払わなければならないのか?
【離婚するなら知っておくべきこと その2:婚姻費用(別居中の生活費)】2つ目は「婚姻費用(別居中の生活費)」です。東海地方に在住の西城道也さん(仮名・44歳)は結婚して15年。ところが今年、妻が突然出て行き、別居生活が始まりました。
「結婚生活が順調だったとき、私と妻は一緒に住む家の家賃や水道光熱費、食費などの毎月の基本的な生活費を互いの収入割合(私6:妻4の割合)に応じて負担していました。私は13万~14万円、妻は4~5万円ですが、妻は別居を始めるとその生活費を出さなくなりました」
毎月の負担額は4万~5万円増えて18万円となりました。妻がいなくなっても、かかる生活費はあまり変わりません。余分にコストを払うことになったことに加え、予期せぬ出来事が起こりました。なんと妻が、「毎月4万円、私に払ってよね」と言い出したのです。勝手に出て行っておいて、金をよこせとはどういう言い草なのか。そう怒った道也さんでしたが、後述するように、結局4万円払うハメになったのです。
別居のきっかけは、妻でした。「もう我慢の限界! 離婚しかないわ!!」。こんな捨てぜりふと荷物を残したまま、ある日、妻は出て行きました。まともな話し合いもせず……。自宅に取り残された道也さんは茫然自失。さらに追い打ちをかけるように「ちゃんと離婚するまで生活費を送ってよね!」と畳みかけてきた妻にめいるばかりでした。
まだ離婚が決まったわけではないのに、勝手に同居を解消し、結婚生活を放り出して強引に別居状態へしたのは妻でした。どういう根拠で「生活費を要求」するのかと思うかもしれませんが、法律上、夫婦間には扶養義務があるので、離婚して「元夫婦」に切り替わるまでは別居中の生活費(=婚姻費用)を払わなければなりません。
▼年収が夫600万妻100万 夫が別居する妻に渡す婚姻費用は月9万家庭裁判所が公表している婚姻費用算定表によると、たとえば夫の年収が600万円、妻が100万円の場合、婚姻費用の相場は月9万円。また、夫が900万円、妻が300万円の場合は月8万円です(どちらも夫婦間に子供がいない場合)。
道也さんは静かな口調ですが、怒気を込めて、こう言います。
「妻はいいですよ! 家に(生活費を)4万円入れないのに、私から4万円もらえれば、実質8万円もプラス。それに対して、私は妻が入れる4万円がなくなり、その上、妻へ4万円も渡したら、マイナス8万円。それではとてもやっていけません。私は我慢して家に残ったのに『先に出て行った者勝ち』という理屈がまかり通るのは間違っている!」
一部の例外を除き、別居の経緯には関係なく、婚姻費用の支払い義務は生じますが、“被害”はそれ以上になるリスクもあります。
夫が妻に夫名義のカード類(クレジットカード、カードローン、キャッシュカードなど)を預けている場合、妻の金銭感覚が狂っていれば夫のカードを使って散財する可能性があるのです。例えば、別居先の家具や家電、家財を「夫のカード」で買い足したり、別居先のアパートの敷金や礼金を「夫のカード」で支払ったり。夫は、妻に送金する婚姻費用+カード支払い分の二重払いを強いられ、経済的に苦しむといったケースは少ないとは言えないのです。
後編(離婚するなら知っておくべきこと、その3~5)へ続く
( 行政書士 ファイナンシャルプランナー 男女問題研究家 露木 幸彦)- PRESIDENT Online
- プレジデント社の新メディアサイト。



