- 2017年12月28日 08:45
突然家を出た妻に夫が"搾取"された怖い話
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行政書士、ファイナンシャルプランナー、男女問題研究家
露木 幸彦
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・[後編]元妻に子を“盗られ”ても金を払う男の無念
恋愛、結婚、離婚、再婚、婚活、不倫……。世は変われども、男と女のいさかいが尽きることはありません。行政書士で男女問題研究家の露木幸彦氏のもとには、そんな泥沼状態を抜け出そうと、毎日多くの相談者がやってきます。その痛切なトラブルエピソードを、ぜひ他山の石としてもらえればと思います。
第4回は、何の基礎知識を持たずに離婚に踏み切り、大ダメージを負ってしてしまった男性たちの事例を紹介します。前編は「慰謝料」「婚姻費用」に関するエピソードを、また後編は「養育費」「親権」「子供との面会」に関するエピソードをお届けします――。
なぜ、3月と12月に離婚が多いのか?
突然ですが、1年で最も離婚が多いのは何月だと思いますか。
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*写真はイメージです(写真=iStock.com/edge69)
正式な統計調査はありませんが、男女問題研究家として今まで1万件を超える離婚相談にお応えしてきた私の経験則では、「3月」です。なぜでしょうか?
例えば、夫婦の間に子供がいて、妻が子供を引き取る場合。ほとんどの妻は旧姓に戻します。妻が夫に対して恨みを抱えていれば、なおさら。「旦那の名字を使うのはむしずが走るわ!」などと言う人までいて、子供にも当然、自分の旧姓を名乗らせることが目立ちます。
子供の名字が変わると、同じ学校、同じ地域、同じ塾などの友達・仲間はこう無邪気に尋ねるでしょう。「なんで上の名前が変わったの?」と。どうやら親が離婚したらしい、という事実が発覚すると、差別や偏見の対象となり、いじめの原因となることもあります。
そうしたリスクを小さくする方法があります。それは「3月に離婚すること」です。
3月中に離婚して新しい地域に転居。4月の新学期から新しい学校に転校するのです。名乗るのは妻の「旧姓」で、離婚の事実を知られる可能性は低くなる。だから年度末の「3月」に離婚が多いのです。
▼「離婚するなら年末年始」納得の理由とは?3月の次に離婚が多いのは「12月」です。結婚同様に離婚も、夫と妻だけの当事者だけで最終判断をすることは難しく、互いの実家に「おうかがい」を立てねばならないケースがあります。年末年始はそうした会合にちょうどいいと判断され、12月は離婚が増えるようなのです。
去年までは笑顔で「本年もお世話になりました」「明けましておめでとうございます」とあいさつしていたのに、今年に限っては、しかめっ面で「そっちのほうが家柄は下なんだから孫のことはあきらめろ!」「貸してやった家の頭金は耳そろえて返してもらうからな!」「『娘さん幸せにします!』って結局、ウソだったんだな?!」と、ののしり合うこともあるのですから、皮肉なものです。
“丸腰”で離婚 不利な条件のまされた哀れな男に学ぶこと
世の中の法律・度や仕組みは必ずしも男女平等ではなく、とりわけ離婚の場合、男性側から「女性に有利・男性に不利」なのではないかという声を聞きます。そこで今回、「慰謝料」「婚姻費用」「養育費」「親権」「子供との面会」において“しくじって”しまった男性たちの実例をご紹介しましょう。
男性たちの共通点は、ほとんど離婚の知識がない状態、いわば“丸腰”状態で離婚に付随する交渉に臨み、返り討ちにあったということ。不勉強がたたり、不利な条件をのまされて離婚後は哀れな人生を歩まざるを得なかったのです。彼らの二の舞にならないために、離婚をするなら何に気をつければよいのかを前もって知ることが大事です。
【離婚するなら知っておくべきこと その1:慰謝料】まず1つ目は慰謝料。神奈川県在住の山田初彦さん(仮名・36歳)のケースです。
「信じていた妻に裏切られました。ひどい目にあわされて……もう精神的にボロボロです」
「裏切り」とは、2歳下の妻の不倫。その結果、離婚に至ったのですが、いさかいの火は今なおくすぶり続けています。
数年前のある日、妻は家を出て行きました。初彦さんはスマホにいくら電話やメールをしても無反応。不安を募らせていると、見知らぬ弁護士から「当職が離婚の案件を受任したので本人(妻)への連絡はお控えください」という手紙が届きました。
▼突然家出した妻が画策した恐ろしい「計画」え、妻が離婚の申し出を? なぜ?
混乱しているところへ裁判所から離婚調停の呼び出し状も届きました。確かに夫婦の関係は良好とはいえませんでしたが、離婚の危機にある状況だという認識は初彦さんにはありませんでした。にもかかわらず、妻は自分に何の相談もなく、一方的に離婚したいと言い出したのです。いきなり弁護士を立てて。
離婚調停中、妻は夫の欠点や落ち度、至らない点を並べ立てました。元来、謙虚で正直者の初彦さんは「自分にはそういう面(欠点)もあったかもしれない。(妻が離婚をしたくなっても)仕方がないのかな」と思ったといいます。そうした意識が影響したのかどうか、弁護士や調停委員に丸め込まれるような形で離婚が成立してしまったのです。
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