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ノーベル化学賞らしい地味な研究に日本人2人

 ノーベル賞の中でも化学賞は特に地味な分野で、研究の面白さを一言で言い表しにくいことが多いのです。この賞が今年、根岸英一・米パデュー大特別教授(75)、鈴木章・北海道大名誉教授(80)、リチャード・ヘック・米デラウェア大名誉教授(79)に与えられると発表されました。メディアからネット上にも色々な情報が提供され始めています。狙いを絞った化合物を的確にかつ容易に合成できる方法を開発されたのですが、共通して特許を取られなかったと知って、研究者魂のようのものを感じました。

 根岸さんの声は《根岸さん「受賞は現実的な夢だと思っていた」》(読売新聞)にあります。ストックホルムのノーベル賞発表会場から電話でつないだインタビューで「――特許は取りましたか?」と聞かれ「クロスカップリングについて意図的に取っていません。多くの人が使いやすくするためです」と答えています。

 鈴木さんについては日経新聞が昨年の記事「新合成反応、30年経て脚光――有機ELや医薬、日本の技術貢献(日曜版)」を掘り起こしています。「鈴木名誉教授は、クロスカップリング反応に関して特許を出願しなかった。米国の研究者仲間からは『もったいないことをした』と指摘されるが、『当時、大学の教官が特許を出す雰囲気は全くなかったから』と振り返る」「仮に特許を出願していれば、企業はこの方法を回避する道を選んだかもしれない。『特許にしなかったので使いやすかったのでしょう』(鈴木名誉教授)。応用が広がった隠れた要因といえそうだ」

 人生万事塞翁が馬――なのですね。医学生理学賞を受けた体外受精開発のロバート・エドワーズ英ケンブリッジ大名誉教授と同様に、1970年代からの仕事が評価されての受賞です。ある研究分野が大盛況を迎えているとき、その分野のブレークスルーを起こした第一人者を特定して顕彰するのがノーベル賞の王道です。だから良い仕事をしても長生きしなければいけません。逝ってしまった惜しい人を思いながら、ニュースを聞きました。

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