髪を切らなくても収入的には問題ない。髪を切ることは「副業」
普通に街の美容室の美容師をやっていても、お金が手に入らないことに気づいた、と。
はい。だから、あまり経費のかからない別のことをやってみようと思って、オンラインサロンやブログ運営を始めたんです。
現在は、そちらでも収入を得ています。あとは個人資産の管理会社もあるので、そっちからも給与をもらっています。
すごいですね。
正直、もう髪を切らなくても収入的にはあんまり問題がないんです。
これまでに1カ月で1,000万の個人売り上げを出したり、1日38人カットしたこともあって。実際にやってみた結果、自分はそんなにいっぱい髪を切りたいわけじゃないんだなと。それよりもひとつひとつの純度をあげていきたいです。
木村さんは、有名になった後も独立をされていないんですね。
普通は働いている美容室から独立して、自分の店を持って……って道筋なのかもしれないんですけど、美容室のビジネスモデルは基本的に儲からないってわかっているからそんなにやりたくなくて。
もちろん、この会社を愛しているから残るっていうのもありますし、自分の店を持つよりも、美容師としてのノウハウを生かしてより多くの人に情報を届けていきたいと考えています。
髪を切ることは自分の仕事のすべてではなくて、「副業」みたいなものなんです。
おもしろいですね。今、「本業は?」って聞かれたら、何と答えていますか?
‟アクティビスト”って名乗ってますね。僕がやっているのは「人をアクティブにさせること」なんじゃないかと。
どうやって人をアクティブにさせるかというと、まだ言語化されていない、みんなの思考や思念に注目するんです。
人が無意識に求めているものを考えるんですね。
そうです。「みんなが深層心理で求めているのはこれかな?」というものを形にする。それが、オンラインサロンだったり、カラー剤だったりします。
木村さんのカットは「理論とか技法とか、全部無視してる」とのこと
それが本当に人が求めているものであれば、ちゃんと成功する。
例えばオンラインサロンは400人の会員さんを減らさずに3年間運営しましたし、新しく立ち上げた1,000円/1カ月のサロンも300人の方に参加していただいています。
人が無意識に求めているものがわかるようになったのは、なぜなんでしょう?
やっぱりSNSをやっていて、いろいろな人の言葉を受け止めた結果、わかるようになったんだと思います。
最近増えているフリーランスの美容師、弟子制度の是非…美容業界の働き方改革は?
木村さんは、今急速に進められている働き方改革について、何か思うことはありますか?
いいんじゃないですかね、働き方改革。
ただひとつ言うとしたら、残業がない会社がいいとか、給料がいい会社がいいとかいろいろな目線があると思うんですけど、僕は「自分で何かを生み出したくなったときに、それに協力的な会社」を選ぶのがいいかなと思います。
個人が何かを生み出そうとしたときに、副業NGなどの就業規則とかで邪魔しない会社、とも言えますね。

最近、フリーランスの美容師さんも増えていると聞きます。
そうですね。でも、やっぱり個人だと規模がそんなに大きくはならないですよね。年商2,000万くらいでやっていくイメージでしょうか。
その規模でいい人はいいと思うんですけど、国レベルでイノベーティブなことをしていきたいとか、大きなことをしたいと思ったら、やっぱり組織に入っていることは便利だと思います。
美容業界で働き方改革が起きるとしたら、どういうところだと思いますか?
弟子制度ですかね。僕は、美容師免許を持っていれば、どうやって切ってもいいと思うんですよ。
今のように5〜6年かけて修行するとかではなく、逆にいきなり独立させるとか、出資して外に出させたりするのもおもしろい気がします。
もし弟子制度がこれからも続いていくとしたら、教えるべきは技術よりも生き方だと思います。
僕は来年から、週3日くらいはここでヘアカットをして売上をたてて、残りは違う場所に参画しようかなと思っています。
会社にも籍を置きつつ、他の活動にも力を入れていくと。
はい、違う形で美容のビジネスを広げていきたいので。もし何億円か持っていたら、「髪を切るのはもう辞めちゃえ!」ってなるかもしれませんけどね(笑)。
誠実かつ革新的。サイボウズの社長らしいヘアスタイルが完成!
おお! こんな自分みたことないですね。不思議な感じです。
誠実かつ革新的な感じを表現しました。一部上場企業の経営者なので誠実さが大切なのと、グループウェアで世界を変えようとしている企業なので、イノベーティブさも出したいなと。
<Before>

<After>
スマイルズの遠山社長にコーディネートしてもらった服と、木村さんにカットしてもらった新しい髪型で、見た目の印象がガラリと変わった
トップは長めで残して、ツーブロックのように内側は短めにしているので、スタイリングで抑えようと思ったら抑えられるし、遊びもプラスできる髪型です。
すごい!
例えば、真面目に登壇するときには前髪を斜めに流してみてください。逆に、ちょっと華やかな場所に行く時などは、トップのふんわり感を大事にしつつ、前髪を流しすぎずにスタイリングしてくださいね。
この撮影の次の週に、Cybozu Days 2017で叶姉妹との登壇を控えていた青野。「その日は華やかスタイリングにしよう~」
執筆・橋本結花/編集・田島里奈(ノオト)/撮影・栃久保誠/企画・小原弓佳