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- 2017年12月25日 20:30
千鳥が明かす「フツーじゃない漫才」の謎
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| Rolling Stone Japan vol.01掲載/Coffee & Cigarettes 01 | 千鳥(Photo = Tsutomu Ono) |
Coffee & Cigarettes 01 | 千鳥
千鳥。もはや説明の必要もないと思うが、お茶の間ばかりではなく、ビートたけし、志村けんといった笑いを極めた人たちをも笑いの渦に巻き込んでいる今最も面白いと言われている漫才コンビだ。ボケ担当が大悟。そしてツッコミ担当がノブで、この2人のキャラもネタも唯一無二で、過去の漫才を紐解いても同類の漫才を見つけるのは難しいような気がする。というのも、彼らには師匠がいない。お笑いの学校を出ているわけではない。しかもネタの作り方も独特だ。
普通、漫才のネタはボケ役がネタを書いて、それを稽古しながら完成させていくことが多い。千鳥もネタを作るのは、ボケ役の大悟だが、ネタ帳は書かない。ネタは出すが、ノブと漫才をしながら完成させていくという。音楽でいえば、ジャムセッションに近い感じだ。そして完成したネタは1シチュエーションものだが、ボケの登場人物のキャラクターはとにかくくだらなくて濃い。さらにボケとツッコミの振り幅がこれまた異常に大きく、なんだかわけが分からないまま千鳥の笑いの世界にすっかりと引きずり込まれ、オチで笑うときには馬鹿馬鹿しい千鳥の笑いの世界の中毒にすらなってしまう感じがする。つまり一度観たら病みつきになる……。と、
こんな文章で千鳥の漫才を説明するのは野暮の極みなので、見たことがない人はテレビでもネットでもチェックしてみてほしい。
取材は撮影から始まった。初対面の印象は漫才のときのままで、大悟は威圧感が満載で、ノブは朗らか。この企画のタイトルに沿うなら、大悟がコーヒー、ノブはミルク。そして、大悟は撮影中も、撮影の待ち時間もずっと煙草を吸っている。インタビューの出だしに、そのタバコのことを大悟に聞いてみた。1日2箱。酒を飲むときはそれ以上で、手放すことができないないと言う。ふざけて「オネーチャンとタバコ、やめられないのは?」と聞くと、「オネーチャン」と即答する大悟に「そこ、オネーチャンかい!」とすぐにノブがツッコむ。さすが阿吽の呼吸は結成17年のコンビならではのものだ。
その千鳥の結成の経緯。
2人は地元の高校の同級生だった。先にお笑いを志したのは大悟。高校を卒業すると地元を離れ、大阪へ行きピン芸人になった。一方ノブは広島で就職をしていたが、人生こんなもんかなぁとどこかモヤモヤした日々。そんなとき、大悟から運命の連絡がノブに来た。”俺、大阪でピン芸人で成功しとるから、大阪に来て一緒に漫才せえへん?”と。ノブは、ピン芸人で成功している大悟と組むのなら成功間違いないと皮算用して、会社を辞めて大阪に行った。
「大阪に行ってみたら、大悟、全然売れてせぇへんし」とノブはあきれた顔で当時を振り返る。完全に大悟にハメられたわけだが、大悟は特に反省した様子はなく「ノブも来たそうやったし。あれはついてもいいウソやった」とニヤリと笑う。
聞けば、大悟を頼りにノブが初めて大阪に来たとき、アメ村でキレイな女性に声をかけると、早速朝まで飲めたそうで、”大阪はこんな楽しいことが毎晩なんや”とノブは思い込んでいたという。つまり、どっちもどっちのズルズルな感じで大阪でコンビを結成することになったわけだ。ちょうど2000年の出来事だった。
ただ、最初から今のように漫才がウケていたわけではない。大悟が振り返る。「最初は普通によぉ滑ってました。しかも昔は今より態度が悪くて、2人とも(笑)。だから滑っても今日の客アカンなぁって客のせいにしてましたね」と。ノブが続ける「ウケてはなかったですけど、笑い飯やバッファロー吾郎さんといった先輩たちが、ネタ面白いねぇって言ってくれたんで、これでいいやって思ってました」と。自分たちが面白いと思う先輩の言葉を信じ、ネタの路線変更することなく、キャリアを重ねていった。
そして、2004年からM-1決勝に出場を果たすようになる。M-1決勝は2年連続で最下位だったが、徐々に変なネタをする漫才コンビとして周知されるようになり、その後の活躍は皆さん知っての通りだ。
- Rolling Stone Japan
- 音楽カルチャーマガジン米Rolling Stone誌の日本版



