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いよいよ本格的審議に入るカジノ法案。「シンガポール方式」とはどういうものか?

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Forbsの記事によると、レディー・ガガさんがラスベガスのホテルと契約し、2年間の定期公演を行うことになったそうです。

ラスベガスといえば今年10月の銃乱射で58人もの命が奪われた事件が記憶に新しいですが、その影響もさしてなかったのか、反対に落ち込んだ需要をテコ入れするためなのか、世界的大スターの起用は大きな話題になることは間違いありません。アメリカ人はもとより世界各地からの観光客もさらに増え、主要産業であるカジノ収入も増加するのではないでしょうか。

いっぽう、日本でも昨年IR(統合型リゾート)推進法が制定され、来年1月から始まる通常国会でラスベガスのようなカジノを含むリゾート施設についての具体的な細則が決まる段取りになっているようです。

今年6月に報道された政府方針によると、IR施設におけるカジノ施設は1か所あたり1つにとどめ、床面積に上限を設ける他、日本人や日本に定住する外国人からは入場料を徴収するなどギャンブル依存症への対策を講じるとしています。これに対し、シンガポールでマリーナ・ベイ・サンズを運営する、世界最大のIR事業会社であるラスベガス・サンズ会長のアデルソン氏は、日本がシンガポール方式のカジノ運営を検討していることに不満を述べていると言われます。

こちらは、ラスベガス・サンズ社HPのQ&Aページにある「IR施設がなぜ旅行者増に貢献するのか?」という質問に対する回答です。

はい、統合型リゾートが訪日外国人旅行者の増加に貢献する極めて有力な事例があります。マリーナベイ・サンズを建設した際、シンガポール政府は来訪旅行者の増加を目標の1つとしていました。シンガポールを訪れた旅行者は、2009年の970万人から2014年の1,508万人へと55%増加しました。旅行者の支出額も2009年には106億USドルであったのに対して2014年は195億USドルと83%も増加しました。シンガポールに統合型リゾートが開業したのは2010年のことです。2014年単独でもマリーナベイ・サンズの利用客は延べ4,000万人を数えました。

確かにマリーナ・ベイ・サンズはカジノばかりでなくホテルやコンベンション・センター、高級ショッピングモール、美術館やシアターなどのアトラクション施設も併設され、シンガポール観光の目玉の一つになっています。私もこれらの施設に何回か行ったことがありますが、カジノに限っては、国際会議や視察旅行など企業がらみのイベントで、オフ時間に一部の人たちが遊ぶという利用が多いのではと想像しています。

中に入ったことがありませんのでどういう人たちがカジノにいるのかはわかりませんが、少なくとも私の身近にいるシンガポール人からカジノに行ったという話は聞いたことがありません。

シンガポールではカジノ面積は15,000㎡を上限としており、観光客でない国民や永住者からは1回あたり100シンガポールドル(約8,400円)の入場税の徴収が義務づけられています。もともと自国民をカジノ客として想定していないので面積は小さくてもよく、行きたいと思う人がいても入場料が高すぎて一般庶民には高値の花。その結果としてギャンブル中毒で身の破滅を招く人も非常に少ない(といっても皆無ではなくたまに負けがこんで自殺した人などがニュースになることもあります)というのが現状です。

また、つい最近では「Crime Watch」というシンガポール警察提供の事件再現ドラマで、スロットマシーン詐欺の外国人3人を警察が追跡する番組も放送され、国民に対するカジノのイメージ低下を図っているのではないかと勘ぐってしまいました。

シンガポール方式で政府が目指してきたカジノの方針は次のようなものであると私は理解しています。

・IR業者にはカジノを認めることによって、カジノより収益力が低いホテル、コンベンション・センター、アトラクション施設などを建設・運営させて投資を呼び込み、観光を活性化させる。

・カジノ施設面積の上限を設けて施設全体に対するカジノ依存比率を低くする。

・ギャンブル依存症を作らないために、国民にはカジノに対し悪いイメージを抱かせ、高額の入場税により行きたいというモチベーションを低下させる。

カジノを売り物にした施設であってもその他の施設を充実させてイメージを高め、カジノはあくまでも外国人(中でも特にギャンブル好きで自国にカジノがない中国人富裕層)向けのものと位置づけ、同時に自国民を徹底してカジノから遠ざける戦略を「IR施設シンガポール方式」と呼んでもいいと思います。

これに対してラスベガス・サンズ会長が不満を述べるのは、シンガポール方式を7年続けてきて、一時はラスベガスを超えるほどの売上になったものの、2015年からは一変して売り上げが低迷(2017年は若干持ち直しています)、アジア最大のカジノ天国マカオでも売上大幅減で苦戦を強いられる中、中国人観光客だけをあてにしていたのでは大した収益が期待できないということではないでしょうか(参考HP:http://bakuchi.simousa.com/news59/)。

シンガポールはなにせ人口が少ないですから、観光客のみを対象にカジノを運営という想定でもそれほど影響は大きくありませんが、日本は1億人以上の人口を抱えているわけですから、この市場をみすみす逃したいと思う経営者はいないでしょう。

しかし、写真(マリーナ・ベイ・サンズ・カジノの入口)にもあるように、カジノは「賭場」=ギャンブル場です。

現在でもギャンブル依存による家庭崩壊や犯罪への関与などの悲劇が後を絶たない中、「リゾートのカジノ」というファッショナブルな仮面をかぶった新しいギャンブルによってさらなる被害者が生まれないよう、日本でもカジノ解禁はぜひシンガポール方式で進めてほしいと思います。

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