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時給400円・過労死労働に学生かりたてる違法インターンシップ-学生狙うブラック企業の新たな手口

 次の2つの記事は、『日本経済新聞電子版』にアップされているものです。会員登録しないと読めないものなので一部分だけを転載します。

 ▼「学生狙う違法インターンシップの実態」(『日本経済新聞電子版』2011年11月30日付)より一部抜粋

 ◆日給3000円の「労働」

 都内にある営業代行会社Aにインターンとして通う田中太(仮名)さんの日給は3,000円だ。

 田中さんは朝9時前に出社。社員と一緒に朝礼に参加すると、社員から訪問販売に出かける地域を指定され、営業に飛び出す。自宅から会社まで往復で3,000円以上かかるため、すでに日給を上回って「持ち出し」となっている。さらに、会社から営業先までの交通費も自腹だ。

 会社から指定された商材を売り込むため、1日に100件以上のオフィスに飛び込み営業する。「業種などに関係なく、ビルの中にあるすべてのオフィスを上から下までアポなしで訪問していく」という。猛烈な営業スタイルで知られるリクルートでは「ビル倒し」と呼ぶ営業手法だ。

 インターン初日に先輩インターンに仕事の進め方を教えてもらい、2日目からは社員に指示されたエリアに飛び込み、1人で営業を続けている。

 午後6時過ぎに帰社すると、今度は社内での「研修」。疑似形式で営業の指導を受けるなどし、終わるのは夜の9時から10時になることが多い。

 1日の営業ノルマは新規で2件の顧客獲得。1件も獲得できなかった時には、翌日に新たな「研修」が課される。朝7時半から街頭に立って、募金活動をしたり、道行く人に会社から指定された商材を販売したりするのだという。

 ◆最低賃金法をかいくぐる狙いか

 同じ会社にはインターンが合計7人いる。皆同じ仕事内容で、田中さんが飛び込み営業で販売する商材を扱っているが、この商材に関わっている社員は「トレーナー」と呼ばれるインターンの教育係1人しかいない。つまり、この商材の事業はインターンの営業によって成り立っている。【「学生狙う違法インターンシップの実態」(『日本経済新聞電子版』2011年11月30日付)より】

 ▼「こうして学生は違法インターンにはまる」(『日本経済新聞電子版』2011年12月7日付)より一部抜粋

 ◆「内定率は100%」と言われ…

 A社の担当者から「このインターンシップを経験した学生の内定率は100%。面接でこの経験を話せば有利になる」と言われ、すっかり信用してしまった。

 A社からもらえる日給は3,000円。食費と交通費が含まれている。朝礼の後に社員から指示される「本日の営業地域」にまで出向く交通費も含まれていて、23区以外だと足が出てしまうが「自分を磨くため仕方がない」と思っていた。

 仕事はA社が営業を代行する商材の訪問販売。初めて行った土地の見知らぬビルにあるオフィスを片っ端から訪問し、営業する。その数は1日100社に上るが、毎日2件の新規顧客獲得というノルマを達成しないと帰社してから、お説教が待っている。朝9時前には出社、遅い時には退社時間は午後11時半になるという。

 猛烈な営業ぶりである。ノルマまであれば、実態としてはインターンシップではなく、立派な「労働」となる。しかも、時給は多く見積もっても400円以下で、837円という最低賃金法の基準(東京都内の場合)に満たず違法だ。

 それでも安田さんは「過激な体験の方が面接には有利なのではないかと頑張っている」のだという。

 ◆違法と知りつつ働く学生

 1年前からソフトウエア会社C社の違法インターンシップで働いている慶応大学3年の青山葉子(仮名)さんは「お金に代えられない、貴重な経験をしている」と語る。

 青山さんは新規顧客を獲得する営業を任されており、授業のない日は朝8時半から終電まで働くことが多い。大阪への出張などもあり、社員と同じように働くが月給は3万円。それでも「実際の仕事はファストフードや塾講師の学生アルバイトとは中身が違い、充実している。大企業の短期インターンシップにも参加したが、授業を受けているようで中身が薄く、本当の仕事を実感できない」と話した。

 ある就職支援サイトを運営する会社の社長は「学生は実際の仕事を知りたがっている。できれば体験してみたいという学生は多い。仕事内容を説明されるだけの表面的なインターンシップが増えると違法インターンシップはこれからますます増えることになる」と見る。社員と同じように就業体験したい、という学生の要望に応えられるインターンシップがなかなか見当たらないとその社長は言うのだが…。 【「こうして学生は違法インターンにはまる」(『日本経済新聞電子版』2011年12月7日付)より】

 以上が『日本経済新聞電子版』の記事です。文部科学省は、インターンシップを「学生が在学中に、企業等において自らの専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義しています。(文部科学省「平成16年度学校法人の運営等に関する協議会」)

 そして、『2011年4月入社学生企業動向調査』(en学生の就職情報)によると、インターンシップに参加する学生は、年々増加しています。「インターンシップに応募した学生の割合」は、2011年卒の学生で54.9%と半数以上。2009年卒39.4%、2010年卒45.6%と比較しても、この数年で大きく伸びているのです。

 また、『就職活動状況の定点調査』(毎日コミュニケーションズ)によると、実際にインターンシップに参加した学生は2011年卒で48.7%。参加期間は、1日が60.8%、1週間未満30.2%、1週間以上2週間未満18.1%、2週間以上3週間未満7.7%、3週間以上4週間未満2.8%、4週間以上4.3%ですから、『日本経済新聞電子版』が告発している上記の「インターンの営業によって成り立っている」ようなブラックなケースは少数と言えるでしょう。

 しかし、「学生は実際の仕事を知りたがっている。できれば体験してみたいという学生は多い。仕事内容を説明されるだけの表面的なインターンシップが増えると違法インターンシップはこれからますます増えることになる」との指摘にあるように、就職難につけこむブラック企業が増えるなかで、ブラック企業の新たな手口として十分に注意する必要がある問題だと思います。

(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)

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