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改憲案の国民投票実施なら憲政史初の「首相リコール投票」に


【急転直下の退陣も(EPA=時事)】

 国政選挙が予定されていない2018年の政治の最大イベントは、9月の自民党総裁選だが、ほぼ安倍晋三首相の3選が確実視され、国民の多くは“政治に大きな変化は起きない”と思っているのではないか。

 ところが、そうした前提が根底から覆されるかもしれない。自民党内で総裁選延期説が急浮上している。

「憲法改正を掲げて先の総選挙に勝利した安倍総理は、1月召集の通常国会での改憲発議に意欲を燃やしている。会期内に改憲案が衆参で可決されれば、60~180日以内に国民投票が行なわれる。

 その最中に総裁選を実施し、“ポスト安倍”と目される石破茂さんや岸田文雄さんが遊説で“私は総理とは9条改正についての考え方が違う”などと言い出せば改憲がぶち壊しになってしまう。そこで官邸では、通常国会で改憲発議すれば総裁選を1年延期し、国民投票で憲法改正を成立させることに全力をあげるというシナリオが検討されている」(安倍側近議員)

 日程を整理すると、通常国会の会期末(6月)までに改憲案が国会で発議されると、早ければ8月、遅くとも12月に我が国初めての国民投票が実施される。発議から国民投票までは改憲賛成派と反対派がメディアを通じて国民に主張を訴える「国民的議論」の期間になる。ただし、安倍首相にとって国民投票は政権の存立に直結する大博打でもある。

 欧州では、2016年に英国の国民投票でEU離脱が決まり、離脱反対だったキャメロン首相が辞任に追い込まれた。イタリアでも、総選挙に大勝したレンツィ首相が憲法改正の国民投票を実施したが、否決されて辞任した。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が語る。

「議院内閣制では国民が直接、総理大臣を選ぶことができない。そのため、憲法改正など大きな政治テーマの賛否を問う国民投票が、そのまま政権に対する信任投票の性格を帯びやすい。

 政権への不満が強まると、改憲案の内容には反対ではなくても、“この政権は嫌だから否決しよう”という反対票が増える。改憲案が国民に否決されれば安倍首相がいかに国会で圧倒的多数の議席を持っていても、内閣総辞職しなければならない」

 可決されれば安倍首相はその後の総裁選も勝ち、異例の長期政権時代に突入し、“一強体制”が続くことになる。だが、改憲案が否決されれば首相は交代し、経済政策だけでなく、外交路線から「女性宮家創設」といった課題まで政治の方向性が大きく転換される可能性がある。

 国民が自分の1票で強大な政権の命運を決めることができる憲政史上始まって以来の“首相リコール投票”が実施されるのだ。

※週刊ポスト2018年1月1・5日号

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