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企業減税の弊害

 朝日新聞にも、たまには納得できる論説が出ることがある。今朝の「ザ・コラム」西井泰之編集委員の「無国籍企業に期待できるのか」がそうだった。法人税のダンピング競争が、世界の社会経済を破壊しつつあるというのだ。

 日本の大企業も、今や先を争って多国籍企業への道を突進している。それが成功しても、日本国内の雇用も賃金水準も改善しないことは、すでに実証されている。積み上がる利益は、世界的な競争に生き残るための企業買収など、規模の拡大に投資される一方になる。

 企業が活動して利益を上げられるのは、自分の努力だけではない。治安の維持や教育・福祉の水準など、社会全体の良好な状態が維持されているからこそ活動ができるのだろう。その社会的費用を、利益に応じて分担するのが法人税だった筈である。だから法人税の税率を決めるのは、すぐれて政治的な判断によらなければならない。

 ところが資本の自由化によって、発展途上国にとっては法人税の引き下げが企業誘致の強力な武器になった。それが世界的な経済発展の基盤になったことは事実だが、野放しの自由競争では資本は安きに流れて先進国の産業には空洞化が起こる。北欧諸国では企業引止めの減税による歳入不足を間接税で補いながら「高負担・高福祉」のモデルを作ってきた。しかしそれだけが正解ではない。

 社会を維持するための費用として、企業が負担すべき適正な税率というものがある。ヨーロッパの経済危機にからむ独仏首脳会談の中で、「法人税の最低税率の導入」が提案されたそうだが、競争への対応ばかりでなく、競争のルールを考えるべきときが来ているのは確かだろう。

 世界の首脳が合意して最低税率を決め、協定に参加しない国への資本の移動には差額分の課税をするようにすれば、法人税に本来の役割を担わせることが可能になる。日本の税制も、現状を追認して法人税のダンピングを急ぐばかりでなく、世界の未来を見通した提言をするぐらいの見識が欲しいものだ。

 当ブログは何度もいろいろな方法で書いているが、税は利益を上げているところ、余裕のあるところから集めて必要なところへ回してやる再配分の機能を第一としなければならない。人が生きること、暮らすことに課税する一般消費税は、人類史上最低の、恥ずべき悪税と知るべきだ。

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