記事

メディアとしての「通貨」。なぜ月給1000ドルのほうが月給8000ランドよりも有難いのか?

グローバル化された世界での「基軸通貨」というのは、価値尺度のコミュニケーション手段で、そこに信頼と実績に裏打ちされた「慣性の法則」が働く、という意味では、比喩でなく、本当に「メディア」(=媒介物&媒質)、そのものなんだな、と、この前のブログ記事を書きながら、はっと思った。

これでは抽象的すぎる言い方なので、もっと丁寧に、この意味を説明すると、例えば日本人が海外で働くとして、実質的には、全く同じ経済価値だとしても「あなたの給料は月に1000USドルです。」と言われた方が、「あなたの給料は月に8000南アフリカランドです。」と言われるよりも、絶対に安心感があるだろう。

これはなぜか? 

多くの日本人にとっては、USドルのほうが、南アフリカ・ランドよりも、実際に長く慣れ親しみ、貨幣としての「信頼感」「安心感」を身体感覚を伴って実際に体験しているからではないだろうか。(また、長期において、USドルのほうが、戦争に負けて、少なくとも「紙クズ」になったりはしなかった、という意味で、歴史的実績を積み上げてきたことを、日本人なら常識として、誰もが知っているから、とも言える。)

これは、全く同じ「事実」=(実質価値)を報じている(表象する)と、しても、世の中一般では、「日経新聞の方が、FACTAよりも、信頼できる。安心できる。」と認識されていることと相似形のように思う。多くのメディア・ブランドは長期間において、少しずつ実績を積み重ねてきた、という事実において「信頼」を勝ち得るし、一度、勝ち得た信頼には「慣性の法則」が働く。(これは、USドルのような、基軸通貨の信頼感醸成のプロセスと似ているように思う。自分個人としては、別にそのメディアを信頼するわけではないが、みんなが信頼するメディアと思っているのだから、自分も一応、その影響力を認めて購読しておいてやろう、という態度は、自分個人としては、福沢諭吉の顔が乗ったただの紙切れとしか思えないんだけど、まあ、皆が「一万円」と認めているから、有難がっておいてやるか、という態度と同じだ。やはり、その意味で、貨幣とメディアは決定的に同構造だ。)

今現在どっちが取材力があるとか、経済のファンダメンタルズがいいとか、そういうことは、一般人の間では、少なくとも、短期的にはケアされないし、「実力」が「イメージ」を上書きするのに、それ相当に時間がかかる、という意味で「慣性の法則」が強く働く。

特に何が言いたいわけではないが、私は割と、金融業とメディア業というのは、自分もメディア業の橋くれとして、選民思想丸出しみたいでイヤな言い方なのだが、特別というか、特殊な産業だと思っており、その金融ビジネスとメディアビジネスの距離感の本源的近さに、ハっと気付いたので、文章として記しておきたい。

以前にも「これからの広告会社には、ファンドマネージャーのような姿勢が求められていく」と書いたけど、現在のメディアビジネスを理解するうえで、金融や投資、証券業に関する核となるコンセプトの理解というのは、かなり有効な視座を提供してくれる、と思っている。

アドエクスチェンジなんて証券市場そのものだ。その構造を理解するうえで、実際の証券市場でおこっていること、起こってきたことを知るのは本当に役に立つ。正直、証券市場について考えたり、実体験としてトレードしたことのない人が、「アドエクスチェンジ」をどのように実感として理解しようとするのか、私には想像がつかない・・・。

トピックス

ランキング

  1. 1

    田原氏 野党は安易な反対やめよ

    たかまつなな

  2. 2

    倉持由香 初の裸エプロンに感激

    倉持由香

  3. 3

    数字を捏造 都構想反対派の欺瞞

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  4. 4

    ベテランは業界にしがみつくな

    PRESIDENT Online

  5. 5

    のん巡る判決 文春はこう考える

    文春オンライン

  6. 6

    社民党分裂 背景に立民の左傾化

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  7. 7

    世界も注目 鬼滅映画の大ヒット

    木走正水(きばしりまさみず)

  8. 8

    新聞読むは32.7% 18歳の意識は

    BLOGOS しらべる部

  9. 9

    iPhone12かProか...売り場で苦悩

    常見陽平

  10. 10

    処理水見送りにみる菅首相の気質

    早川忠孝

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。