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東京MXはメディアとして最低だ

差別や中傷を垂れ流す自由などない

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が、沖縄の米軍基地反対運動を取り上げた東京MXテレビの番組「ニュース女子」について、「放送倫理上の問題が含まれている番組を適切な考査(放送前の内容チェック)を行うことなく放送し、重大な放送倫理違反があった」とする意見を公表しました(12月15日 東京新聞)。しばしば、「言論の自由」という観点からニュース女子を擁護する声も聞かれますが、その認識は完全に誤りです。「言論の自由」とは、「差別や中傷を垂れ流す自由」ではありません。
 
 ここでは、弊誌3月号に掲載した、ジャーナリストの青木理氏と辛淑玉氏の対談を紹介したいと思います。全文は3月号をご覧ください。

月刊日本 2017年 03 月号 [雑誌]
posted with ヨメレバ
ケイアンドケイプレス 2017-02-22

メディアとして何から何まで失格

── 1月2日に放送された東京MXのニュース女子という番組で、「沖縄の基地反対運動を扇動する黒幕」、「反対運動に日当を出している」などとして、辛さんに対して名指しで誹謗中傷が行われました。放送をご覧になってどのような印象を持ちましたか。

 最初に放送のことを知ったのは1月3日だったのですが、ざっと映像を見て、正直何が起こっているかわからないというか、びっくりしましたね。ヘイトデモと向き合っている時にも、目の前で笑いながら「死ね」とか「殺せ」と言われたことはあります。だけど、地上波のテレビで同じようなことをやられたというのは、一線を越えた感じがしました。

 私は今回の件についてBPO(放送倫理・番組向上機構)の人権委員会に申し立てを行ったのですが、提出書類を作成するために何度も映像を見直して問題点を整理しなければなりませんでした。それがものすごい苦痛で、自分自身を維持するのがやっとでした。

 ただ、この問題は何とか証拠として残しておかなきゃいけないという思いがあって、そのために誰かと話をして活字にしておきたいと思ったんです。私はこれまでも青木さんの本に心を打たれることが多かったので、青木さんだったら私の言葉が足りないところを整理してもらえるのではないかと思い、今回の対談をお願いしました。

青木 この問題にはいくつも論点があると思いますが、メディア人の端くれとして、一番最初に申し上げたいのはメディアの劣化についてです。きちんとした取材に基づいてさえいれば、そこから導かれる結論や論評がどのようなものであっても構わないと僕は思います。「沖縄の米軍基地反対運動はおかしい」とか「反対派の主張には問題がある」といった論でも、取材を尽くした上でなら、そうした報道はもちろん自由です。

 しかし、今回の放送は取材を尽くしていない。いや、取材などまったくしていないと言っても過言ではない。なのにデマや憶測、偏見に基づいて沖縄や在日コリアンに罵声を浴びせた。これはある種のヘイトスピーチです。

 具体的な例を挙げていけばキリはないし、すでに報じられている部分もありますが、問題の放送ではまず、軍事ジャーナリストを自称する男が沖縄でリポートするVTRが流されました。そのVTRで、彼はトンネルの前に立ち、この先に高江のヘリパッド建設現場があるけれど、反対派の運動が過激化していて近づけない、などとリポートした。

 バカバカしいにもほどがあります。高江ではあらゆるメディアが取材をしているし、そもそもそのトンネルは40キロ以上も離れていた。ほかにも反対運動で救急車の通行が妨害されているとか、警察が取り締まらないのは知事が翁長氏だからだとか、ウソとデマのオンパレードです。

 さらに言えば、番組には司会を務めた東京新聞の長谷川幸洋・論説副主幹をはじめ、メディア界で長く飯を食ってきた人物も出演していました。ところが彼らは、デマとウソだらけのVTRを追認したばかりか、薄ら笑いすら浮かべながらそれを煽った。論外の所業です。

 こんな原則論を言う価値もない放送でしたが、例えば辛さんを名指しで批判するなら、最低でも辛さん側のコメントも取るのがジャーナリズムのイロハのイです。電話一本で済む話なんですから。つまり、メディアとしては何から何まで失格、最低最悪の放送です。

 長谷川氏は批判を受けて「言論の自由の侵害だ」などと言っているようですが、本気でそう思っているとするなら神経を疑います。しかも地上波のテレビでこのような番組が放送されてしまうのは、恐るべきメディアの劣化と言わざるを得ないでしょう。

 東京新聞論説主幹の深田さんがこの件について「責任と反省を深く感じています」というコメントを出していましたが、東京新聞は事の本質をよくわかっていないんだろうという気がします。ジャーナリストがデマを流したんです。それに対して、本人ではない人間が出てきて深く反省を口にし、本人は何も言わずそのまま雇用され続けるというのは、新聞社として自殺行為です。食品に毒を入れて販売した人間を、何のお咎めもなく雇用し続けているようなものです。

 それから、BPOの人権委員会にも、自分たちの判断が社会の基準になるという自覚がないのだろうと思います。先日、BPOから申し立てに対する返答が来たのですが、東京MXともう一度話し合ってくれという内容でした。こちらは何度も連絡していますが、東京MX側は窓口もなく、担当者の名前すら教えず、たらい回しです。話し合いにならない。それでも話し合いが足りないと言うなら、一体どうすればいいのか。

 BPOから連絡が来た後、私の会社のメールや携帯、支援してくださっている企業の方々に辟易するような嫌がらせが続いています。話し合いを塩漬けにされた今、正義はどこにあるんだろうと思いますね。……

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