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わかりやすかったイエレン議長

FRBのイエレン議長にとって多分最後となる記者会見付きの定例政策会議で今年3度目の利上げを決めたところでその大役を終えることになりそうです。2014年2月に議長になって以降、主要たる発表の時は私も耳を澄ませて彼女の言わんとしていることを理解しようとしましたがわかりやすい点が逆に市場を安堵させたのではないでしょうか?

かつて、アラン グリーンスパン氏が議長だったときは宇宙人のメッセージを解読するような難解さがあり、バーナンキ氏にバトンタッチした後、連邦準備制度理事会はこんなことを考えているんだ、と市場との連動性を強く感じる変化がありました。イエレン氏の4年間はそれをさらに推し進め、市場とのコミュニケーションをうまく保った点で私は評価しています。

一部から声が上がっているように「もしもトランプ大統領ではなかったら」イエレン議長は再任だったと思われます。それぐらい功績もあり、うまい運営をしてきたと思いますが、やはり、政治がからむのがこの世界。残念であります。

さて、イエレン氏は労働経済の専門家で、就任当初から雇用への着目ウエイトが大きい方でした。14年2月の失業率は6.7%、それが今年11月は4.1%まで低下しています。他にも平均賃金や本当の失業率の評価とされるU6の指標にも目を配っていました。そのU6も就任当時の12.6%が11月は8.0%ですから立派なものでしょう。

問題は物価です。なぜ上がらないと言い残したような形になった物価問題はアメリカのみならず、世界ほぼ共通の問題でありますが、「我々の物価の理解は完全ではない」とやや白旗気味のコメントを残してしまいました。多分、この言葉はずっと残る気がします。物価とは機械的な金利の上げ下げで変動する部分だけではなく、「限界効用逓減の法則」に近い個人の満足度減少に伴う需要低迷と技術の高水準化による需要掘り起こしへの限界があるのだろうと思っています。

アメリカの食品とエネルギー価格を除くコアのインフレ率は1.7%と目標の2%を下回っています。ただ、実生活では統計上のブレを取り除くだけのためのコアインフレ率よりオールアイテムで見るべきであります。どんな人も食べるし、多くの人がガソリンや暖房などエネルギーに依存した生活をしているからです。とすればコア目標を2%にするという「そもそも論」がひょっとすると現代社会では通用しなくなっているかもしれません。同じことは黒田総裁率いる日銀もそうだと思います。

もう一つはアメリカの利上げペースに関するフォワードガイダンスです。18年があと3回、19年が2-3回を目指す、とあります。正直、アメリカの景気拡大期間がそんなに持続可能なのか、驚くべき話で経済活性化もバイアグラ状態じゃないか、と思わずいいたくなります。最近の金融の世界ではやり言葉である「ゴルディロックス(適温)」の経済環境が続くということでしょうか?ここまで来るとやや自画自賛的な印象も否めないのですが、イエレン議長にはまずはご苦労様でした、と申し上げます。

一言だけ追加で申し上げると同氏の退任で成功している女性のトップがまた一人消えるという残念な点も併せて指摘したいと思います。2016-17年は女性指導者受難の時代で、その中で立派な仕事をしている女性が消えるというのは残念であります。

では今日はこのぐらいで。

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