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「AIソフトも万能ではない」永世7冠・羽生善治氏 - 中西 享 (経済ジャーナリスト)

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「温故知新」

 「将棋の世界は過去に何度か分岐点を迎えた。将棋ソフトの登場で何が変わったかと言うと、実は過去の棋士の指し方、クラシックな型が見直されてきている。今年1年では、人間の側から見るとその意味で『温故知新』というようなトレンドが起きているので、(棋士にとっては)新たな可能性があるのではないか」と指摘した。

「コンピュータは膨大な情報を生み出してくれるが、それを受け入れるかどうかは人間の美意識によるところが大きい。過去にあった手の方が人間には受け入れられやすいので、『温故知新』の状態が起きている」と最近の傾向について解説した。

 将棋の指し方の流行に関して「最近は流行の移り変わりが速いので、新しいアイデアを次の対局のために取っておくなどということはない。新しい戦術を思いついたらすぐに使わないと、ほかの棋士も同じような戦術を考えている。

『永世7冠』の達成につながった竜王戦ではそれまで温めていた新手を使ったわけではないが、新しいトレンドを取り入れてアレンジして対局した」と新しい手法も取り入れて対局に臨んだことを明らかにした。

 将棋の本質が何かについて「将棋は10の220乗も指し手があるといわれている。このため自分が子どものころからやってきたことは、将棋の世界のひとかけらでしかなく、根本的なものはまだ分かっていない」と述べた。

藤井4段の連勝記録は価値大きい

 将棋界で若手が台頭していることには「最近は20代で強い棋士が多くいる。研究熱心で私が知らないような作戦を編み出しているので苦慮している。新しい感性や発想は勉強して、取り入れていきたい」と向学心が衰えていない。

 公式戦29連勝を記録した藤井聡太4段については「将棋の内容は素晴らしく、連勝記録を塗り替えたのは大きな価値がある。今の時代は棋士になるのが難しい時代だ。藤井4段の将棋は意外感があるので対戦が楽しみだ」とエールを送った。

 将棋を学んでいる子供たちへのメッセージとしては「将棋の上達は常に右肩上がりと言うよりも、上達して伸び悩み、また上達するの繰り返しだ。伸び悩んでいるときは、いままでと違う練習方法をやってみてはどうか。実践ばかりでなく、詰め将棋をするとか、終わった後の分析などの時間を増やすなどして、次のステップに進んでいってほしい」とアドバイスした。

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