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- 2011年12月10日 00:04
政治資金パーティー券過大販売等の法的問題
(1)これまで政治団体の政治資金パーティー収入の問題については、経費はわずかで経費を控除し政治資金として使える収益が高い(例えば90%)という問題で、マスコミは報じてきた。
政治献金禁止のJA系2団体が政治資金パーティー券大量購入!
海洋土木業者によるパーティー偽装による違法献金
(2)収益率の高い政治資金パーティー収入は実質的には寄付であろう。
したがって、法的にも・政治的にも問題のある企業・団体献金を全面禁止するときには、企業・団体の政治資金パーティー券購入も全面禁止すべきと訴えてきた。
(3)昨年(2010年)分の政治資金収支報告書がやっと公表・公開され、政治団体が会場の収容人員をはるかに超えるパーティー券の販売を行なっていたことが、記事になった。
まず、西日本新聞が国会議員の政治団体のそれを記事にし、私のコメントも紹介された。
第一に、寄付に比べて政治資金パーティー券の場合は、公開度が低いことである。
寄付の場合には、「同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間5万円を超えるものについては、その寄附をした者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日」を政治資金収支報告書で記載しなければならない(政治資金規正法第12条)。
言い換えれば、金額の合計額が年間5万円以下の寄付は、寄付者の氏名などを記載する必要がない。
だが、政治資金パーティー券の場合には、「一の政治資金パーティーの対価に係る収入(・・・)のうち、同一の者からの政治資金パーティーの対価の支払で、その金額の合計額が20万円を超えるものについては、その年における対価の支払について、当該対価の支払をした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日」を政治資金収支報告書で記載しなければならない(政治資金規正法第12条)。
言い換えれば、一つの政治資金パーティーで20万円以下のパーティー券購入者については、氏名などを記載する必要がないから、政治団体が年間に何回もパーティーを開催し、その都度20万円以下の購入であれば、その氏名などは公表されないのである。
それゆえ、会社名を出したくない企業は、寄付よりも政治資金パーティー券をその都度20万円以内で購入し、実質的な寄付をするのである。
東京電力など電力会社は、そのようにしていることは、すでに紹介した。
(6)もう一つの理由は、企業・団体献金を受け取れない、政治家の資金管理団体や講演会などの政治団体が、企業・団体から実質的な政治献金を受け取るために、政治資金パーティーを開催するのである。
政治資金規正法によると、いわゆる企業・団体献金を受け取れるのは、政党とその政治資金団体に限定されている(第21条第1項)。
(7)いずれせによ、企業や労働組合が政治資金パーティー券を購入すれば、政治資金は高額になるため、政治団体はパーティー券を大量に販売するのである。
そうすると、パーティー券の販売枚数と同じくらいのパーティー参加者があるかというと、そんなには、ないため、経費は少額で、収益率が高くなるのである。
(8)ところで、現行の政治資金規正法は、対価を伴わない寄付と対価を伴う政治資金パーティー収入とは別物であるとの取り扱いをしているが、後者においても、対価をはるかに上回るものは、その分につき寄付として取り扱うことになっている。
何度か紹介した政治資金制度研究会編集『逐条解説 政治資金規正法<第二次改正版>』(ぎょうせい・2002年57頁)は、以下のように解説している。
もし、1枚2万円の政治資金パーティー券を購入し、同パーティーに参加しなかったら、全く対価を受けていないから、全額寄付をしたことになる。
このような購入者が多数いることを分かった上で、政治団体はパーティー券を販売しているようだ。
(9)しかし、政治団体は、対価を超える分につき政治資金収支報告書に寄付として報告してはないようだ。
それは、虚偽記載になる。
(10)政党支部がそのような政治資金パーティーを開催し、高い収益率を得ながら、寄付としての報告をしなければ、虚偽記載だけになる。
だが、政党以外の政治団体が、企業や労働組合に政治資金パーティー券を販売し、対価を超える分につき政治資金収支報告書に寄付として報告しなければ、虚偽記載以外に、政治資金規正法で禁止されている企業・団体献金を受け取ったことにもなる。
(11)政治資金パーティーにおける収益率が高すぎるのは、本来政治資金規正法が予定している政治資金パーティーではない。
それゆえ、政治団体はパーティー券代に見合った対価を与えるべきである。
そうでないものは、実質的には「寄付集め」である。
また、政治団体は、実際にパーティーに参加する者だけにパーティー券を販売するべきである。
実際に参加しない者にパーティー券を販売するのは、明らかな「寄付集め」である。
(12)企業・団体の政治献金もパーティー券購入も全面禁止すべきであるが、パーティーの公開度も寄付と同じにすべきである。
政治献金禁止のJA系2団体が政治資金パーティー券大量購入!
海洋土木業者によるパーティー偽装による違法献金
(2)収益率の高い政治資金パーティー収入は実質的には寄付であろう。
したがって、法的にも・政治的にも問題のある企業・団体献金を全面禁止するときには、企業・団体の政治資金パーティー券購入も全面禁止すべきと訴えてきた。
(3)昨年(2010年)分の政治資金収支報告書がやっと公表・公開され、政治団体が会場の収容人員をはるかに超えるパーティー券の販売を行なっていたことが、記事になった。
まず、西日本新聞が国会議員の政治団体のそれを記事にし、私のコメントも紹介された。
西日本新聞2011年11月29日 10:03 =2011/11/29付 西日本新聞朝刊=(4)そうすると、毎日新聞が、自民党大分県連のそれを、熊本日日新聞が自民党熊本県連のそれを記事にし、私のコメントも紹介した。、
麻生、古賀誠議員の政治団体 パー券過大販売
麻生太郎元首相と古賀誠元自民党幹事長の政治団体が2010年に開いた計4回の政治資金パーティーで、会場の収容人数の1・4-5倍にあたる約2800-5千人分の券を個人や企業・団体に販売していたことが分かった。政治資金規正法は政党や一部の指定団体を除き、政治団体が企業・団体から献金を受けることを禁じており、識者は「出席者以外はパーティー券購入を装った脱法的な献金と取られかねない」と指摘している。
福岡県選挙管理委員会が28日公開した政治資金収支報告書や麻生氏の地元事務所によると、麻生氏の政治団体「九州素淮(そわい)会」は昨年2月22日と12月6日、福岡市中央区のホテルで「政経文化セミナー」を開催し、券は1枚1万円。元官僚や大学教授の講演が主で、飲食の提供はなかった。
収支報告書では2月のセミナーが4338人、12月が2845人に券を販売し、計1億2千万円超の収入を得たと記載していたが、ホテルなどによると、会場は定員約2千人で当日の参加者は約1500人だった。
古賀氏の資金管理団体「古賀誠筑後誠山会」は5月8日に福岡市博多区、10月18日に東京都千代田区のホテルで「感謝の会」を開催。券は1枚2万円で販売し、飲食も提供。報告書では5月のパーティーが5073人、10月が4236人に販売したと記載していた。
しかし、会場の収容人数はそれぞれ約千人、約1600人。実際の参加者数も約1900人、約1200人だった。
麻生氏の地元事務所は取材に対し「個人や企業によっては複数枚買う人もいる。いろんな形で支援してもらっている」。古賀氏の事務所は「参加するかはそれぞれの都合がある。欠席者も出席するつもりで買ったはず」と述べ、いずれも法的には問題ないとの認識を示した。
政治資金規正法では、政治資金パーティーの券代は講演や飲食提供に対する「対価」とされ、政治団体への献金とは性質が異なる。政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之5 件神戸学院大法科大学院教授(憲法学)は「欠席者は何の提供も受けていないので、券代は対価でなく寄付(献金)にあたる。収容人数を上回る券の販売は出席しないことを前提としており悪質だ。総務省の解説書は、対価相当分を上回るパーティー券収入は寄付に相当するとしており、献金として処理しなければ報告書の虚偽記載に当たる可能性がある」と指摘。
県選管も「収容人数を大きく上回る券の販売はいかがなものか」と疑問を投げかけている。
毎日新聞 2011年12月2日 14時53分(最終更新 12月2日 15時01分)
自民党大分県連:パーティー券 収容人数の3倍販売
自民党大分県連が10年2月に大分市内で開いた政治資金パーティーで、会場収容人数の3倍近いパーティー券を支持者らに販売していたことが分かった。収容人数を超えて販売した分は寄付にあたるとの識者の指摘もある。県連は欠席者が出ることを見越して売っていたと言い、今後は是正するとしているが、今回の件で政治資金報告書の修正や、欠席者への返金はしないとしている。
県連の10年政治資金収支報告書によると、岩屋毅・衆院議員が県連会長だった同年2月27日、同市内の民間催事施設で「政経セミナー」名のパーティーを開き、谷垣禎一総裁が講演した。710人収容の会場だったが、1枚1万円のパーティー券を2011枚販売。参加者は約650人で、経費を除いて約1891万円の収益があった。
県連の10年の収入は約8711万円でパーティー収入は20%以上を占める。10年参院選の経費などに使用したという。会計責任者の冨松真弘・県連事務局長は「会場に入れない分まで売るのは本来のセミナーの趣旨とは違った」と話している。
法律に明文化されていないが、「対価を超える部分は寄付として扱う」との見解を総務省も示しており、政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之・神戸学院大法科大学院教授は「収容人数を上回る券の販売は、対価を超えた収入を得る目的だ。寄付として処理すべきで虚偽記載にあたる」と県連の姿勢を疑問視している。【佐野優】
熊本日日新聞2011年12月04日(5)以上のように過剰な政治資金パーティー券販売が行われるのには、理由がありそうだ。
パーティー券、収容人数の4倍販売 自民党県連
自民党県連が2010年4月に熊本市のホテルで開いた政治資金パーティーで、会場収容人数の約4倍のパーティー券を支持者らに販売していたことが4日、分かった。
同県連が県選管に提出した10年の政治資金収支報告書によると、パーティーは「保守を考える政治セミナー」と題し、石破茂政調会長(当時)を招いて開催。1万円のパーティー券を6201枚販売した。会場となったホテルの最大収容数は1500人で、同県連ホームページでは「1200人の参加があった」としている。
09年4月には最大収容1200人のホテルで6305人、06年10月にも2千人収容のホールで4000人にパーティー券を売った旨の記載が、両年の政治資金収支報告書にあった。
上脇博之・神戸学院大大学院教授(憲法)は「政治資金規正法でパーティー代は講演や飲食提供への対価と決められている。出席していない人からの販売収入は寄付に当たり、献金として処理すべきだ。報告書の虚偽記載に当たる可能性がある」と指摘している。
会計責任者の前川收・同県連幹事長は「指摘を踏まえ、パーティー券の扱いについて党本部に照会中で、その方針に従いたい」と話している。(福山聡一郎)
第一に、寄付に比べて政治資金パーティー券の場合は、公開度が低いことである。
寄付の場合には、「同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間5万円を超えるものについては、その寄附をした者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日」を政治資金収支報告書で記載しなければならない(政治資金規正法第12条)。
言い換えれば、金額の合計額が年間5万円以下の寄付は、寄付者の氏名などを記載する必要がない。
だが、政治資金パーティー券の場合には、「一の政治資金パーティーの対価に係る収入(・・・)のうち、同一の者からの政治資金パーティーの対価の支払で、その金額の合計額が20万円を超えるものについては、その年における対価の支払について、当該対価の支払をした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日」を政治資金収支報告書で記載しなければならない(政治資金規正法第12条)。
言い換えれば、一つの政治資金パーティーで20万円以下のパーティー券購入者については、氏名などを記載する必要がないから、政治団体が年間に何回もパーティーを開催し、その都度20万円以下の購入であれば、その氏名などは公表されないのである。
それゆえ、会社名を出したくない企業は、寄付よりも政治資金パーティー券をその都度20万円以内で購入し、実質的な寄付をするのである。
東京電力など電力会社は、そのようにしていることは、すでに紹介した。
(6)もう一つの理由は、企業・団体献金を受け取れない、政治家の資金管理団体や講演会などの政治団体が、企業・団体から実質的な政治献金を受け取るために、政治資金パーティーを開催するのである。
政治資金規正法によると、いわゆる企業・団体献金を受け取れるのは、政党とその政治資金団体に限定されている(第21条第1項)。
第21条 会社、労働組合(・・・)、職員団体(・・・)その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない。そこで、政党以外の政治団体(政治家の資金管理団体や後援会など)は、政治資金集めのために、企業や労働組合に政治資金パーティー券を販売するのである。
(7)いずれせによ、企業や労働組合が政治資金パーティー券を購入すれば、政治資金は高額になるため、政治団体はパーティー券を大量に販売するのである。
そうすると、パーティー券の販売枚数と同じくらいのパーティー参加者があるかというと、そんなには、ないため、経費は少額で、収益率が高くなるのである。
(8)ところで、現行の政治資金規正法は、対価を伴わない寄付と対価を伴う政治資金パーティー収入とは別物であるとの取り扱いをしているが、後者においても、対価をはるかに上回るものは、その分につき寄付として取り扱うことになっている。
何度か紹介した政治資金制度研究会編集『逐条解説 政治資金規正法<第二次改正版>』(ぎょうせい・2002年57頁)は、以下のように解説している。
対価関係にあるものでも、対価相当分を超えて金銭等の供与又は交付がある場合には、その超える部分は寄附となるものと解される。例えば、政治資金パーティーのパーティー券の購入代は、通常はパーティー出席のための対価と考えられるが、その代金が社会通念上の価値を超えるものである場合、当該超える部分は寄附として取り扱われることになる。これによると、1枚2万円の政治資金パーティー券を購入し、同パーティーに参加した人が、例えば、一人につき会場代や飲食費などで1万8000円くらいだったら、社会通念上パーティーの対価としてふさわしいとしても、会場代や飲食費などで3000円程度だったら、社会通念上対価としては不十分で、1万7000円分は寄付を支払ったことになる。
もし、1枚2万円の政治資金パーティー券を購入し、同パーティーに参加しなかったら、全く対価を受けていないから、全額寄付をしたことになる。
このような購入者が多数いることを分かった上で、政治団体はパーティー券を販売しているようだ。
(9)しかし、政治団体は、対価を超える分につき政治資金収支報告書に寄付として報告してはないようだ。
それは、虚偽記載になる。
(10)政党支部がそのような政治資金パーティーを開催し、高い収益率を得ながら、寄付としての報告をしなければ、虚偽記載だけになる。
だが、政党以外の政治団体が、企業や労働組合に政治資金パーティー券を販売し、対価を超える分につき政治資金収支報告書に寄付として報告しなければ、虚偽記載以外に、政治資金規正法で禁止されている企業・団体献金を受け取ったことにもなる。
(11)政治資金パーティーにおける収益率が高すぎるのは、本来政治資金規正法が予定している政治資金パーティーではない。
それゆえ、政治団体はパーティー券代に見合った対価を与えるべきである。
そうでないものは、実質的には「寄付集め」である。
また、政治団体は、実際にパーティーに参加する者だけにパーティー券を販売するべきである。
実際に参加しない者にパーティー券を販売するのは、明らかな「寄付集め」である。
(12)企業・団体の政治献金もパーティー券購入も全面禁止すべきであるが、パーティーの公開度も寄付と同じにすべきである。



