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不正競争防止法改定を改めて振り返る

忘れてましたが、しばらく前に取り上げた経済産業省の不正競争防止法の改正案、この12月1日より施行されています。本来は所謂"マジコン"の類の販売を禁止するための法律改定だったはずですが、民放連が意見書を提出したことによって、「録画規制無視の機器の存在まで禁止する条項をどさくさに紛れて入れてしまうのでは」という危機感を感じました。実際、法案作成委員会の報告書(PDF)には"無視機""無反応機"に関する項目が存在するところから、民放連の意見書にはそれに関することが書かれていた可能性が高いと思われます。

ですが、当初から"無視機"に関しては「提供事業者の自助努力が前提」とされたことから不正競争に当たらないとするのが妥当、という報告となっていました。そうしなければ、メーカーの商品開発・販売は全て特定の団体の管理下において行わなければならず、市場発展の妨げとなってしまうからです。実際には法律がなくとも特定団体の管理下においてしか商品化開発・販売の許されない、かつては開発も販売も自由だった市場が日本には存在するため、その理念も絵に描いた餅のようになっています。が、それゆえに「わざわざ法律で強化する必要なし」と判断されたのでしょう。もし、規制の導入実行よりもまず法律を先に通していたら簡単に通った代わりに、今ほど強力な談合規制は「不正競争防止法によって」許されなかったかも知れません。

その報告に基づき作られた法案を以前ざっと眺めた時は「わたしらがどうこういうものではない」とわたしは判断しました。この法案はどうやらそのまま成立しているようです。規制を民間で作ってからその規制を後で法律化、という前例が作られることは避けられました。ただ、この法律案では「影像」という言葉が使われているのが気に掛かります。「影像」という言葉の意味は「絵画などに表された神仏や人の姿」とのことです。絵でも写真でも人物か神仏が映っていれば対象、ということでしょうか。その場合、それ以外、つまり人間も神も登場しない画を映す作品だと対象外ということになってしまうため、動物やロボットしか登場しない映画やゲームの複製を作ることが出来る製品は対象外になりそうなのですが。もちろん実際には影像だけを判断して通せないようにする機械やプログラムなど作成不可能ですし、著作権保護の問題はまた別の話ですからそう都合良くは行きませんが。むしろ広義の意味での「映像」と同じ意味と考えるべきなのでしょう。

この改定で引っかかるのは、わたしらの対象となるのは画像安定装置の類でしょう。以前の法では「技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置」だったものが"のみ"を削られ、「当該機能以外の機能を合わせて有するもの」も対象になった点からも、これが改定案のターゲットの一つであることは確実です。が、不正競争防止法ですから、他人への譲渡・販売が禁止されるのみで、すでに持っている人間が引き続き所持・利用は禁止されないようです。

無視機は今回も対象に入りませんでした。ゆえに、ドライバの書き換えの必要のないBonDriver対象機も問題無く所持し、譲渡・販売が行えます。ドライバにパッチをあてて対象とするものは、不正競争防止法の別の項目によって配布を禁止させることができるので、パッチごとで無ければ譲渡も販売も出来ます。ただ、そうでなければ使えない製品はわたしらの購入対象とはならないでしょう。

問題は、NetCASの類です。特にFriioにおいてB-CASカードの代わりにインターネット経由でCASの受信が行われていることが知られています。これが不正競争防止法の対象に該当するかと言えば、むずかしいでしょう。なぜなら、ネット経由であろうともB-CASカードを介してのスクランブル解除であることに代わりはなく、「技術的制限手段を妨げている」ものではないからです。「該当させるのは無理」ではなく、「むずかしい」と書いたのは、今回の改定に「第二十一条第三号に"不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で、第二条第一項第十号又は第十一号に掲げる不正競争を行った者"を加える」とあるからです。これは前回触れなかった話であり、今回書こうと思った理由でもあります。これを持って「B-CASカードを購入するはずの者にNetCASを利用させるのは、B-CAS社に対して損害を与える目的である」と言い張ることが、ひょっとしたら出来るかも知れません。

ただし、B-CAS社は基本的に個人を顧客としていません。あくまで企業が相手です。個人でも取り寄せることは出来ますが、「購入」ではなく「再発行」です。なにせ、所有権はB-CAS社にあるとはっきり謳っているのですから、特別サービスの類なのです。それが「B-CAS社の損害に該当するか」と問われれば、立証は難しくなるはずです。特に十項の"営業上"の一言が利いてくると思われます。仮に所有権がB-CASに帰属するものでなければ該当させることも可能だったでしょうが。
おそらく「不正な利益=有料販売」、「営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的=無料ソフトの配布」というつもりで作ったのでしょうが、「不正な利益」を先に書いたため、必ずしも「営業上技術的制限手段を用いているものに対して損害を与えている」が大前提ではないために、何を指すのかが曖昧になってしまい、有料販売の方を該当させるのが難しくなったように思われます。
いずれにしても、今回の改定では受信しているだけの人間に対して違法行為が問われる項目はありません。

最後に、アキバチューナーと呼ばれる製品ですが、これがまた微妙。通常の利用では録画ファイルは暗号化され、テストモードにすればそれは行われないという裏の顔を持っているからです。表が無ければ全く問題ないんですけど、隠し機能が扱いなために、そのモードが「技術的制限手段の効果を妨げる」行為に該当しそうな気も少しだけするんです。ただ、「妨げる」という言葉から連想出来るわたしの解釈としては、「制限手段を受け入れる機能を有する機械が正常動作をしている状態に対して、それを回避させるもの」、つまり中間に挟むアダプタのような役割を果たすものでないと該当せず、単体で完結するものは単なる無視機であると考えています。"裏"は後から当てるパッチで実現するものでもなければ他の機種の制限を回避させるものでもありませんから。

今回再度確認してみましたが、今主流のPC録画ライフを妨げるほどの効果は今回の法改定にはありません。特に無反応機・無視機に関しては該当しないことが予め明確になっているのですから、メーカー提供ドライバとユーザー開発のソフトで動くチューナー製品は安心していいでしょう。もちろん"マジコン"とかそっちは別ですよ。
なお、この解釈は全てわたしの見方であり、ひょっとしたら異なる解釈が出来るかも知れません。疑問の残る方は、是非法律文とにらめっこして真の解釈を読み取って下さい。

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