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20代企業経営者が感じる意識と世代間の「相違」とは

若者こそが日本を変える?

新居氏(manma 代表取締役)

昨年に引き続き、今年も「ソーシャル・イノベーション・フォーラム」(以下、フォーラム、※1)の取材をしてきましたので、まとめました。

本記事で紹介するのは「ゆとり世代が描くにっぽんの将来 いつの時代も、社会を変えるのは若者だ!」というタイトルがついた分科会です。登壇者は20代の「ゆとり世代の企業経営者」です。参加者も若い方が目立っていました。

ソーシャル・イノベーションという文脈の中でゆとり世代の若手経営者は、何を感じ、どんな意識で行動をしているのか。20代で起業を考えている方、普段からゆとり世代と接する方、必見の内容となっていました。

※1:「ソーシャル・イノベーション」とは「よりよい社会のために、新しい仕組みを生み出し変化を引き起こすそのアイデアと実践」と定義

■登壇者

渋澤 健(しぶさわ・けん)
コモンズ投信株式会社 代表取締役

城宝 薫(じょうほう・かおる)
株式会社テーブルクロス 代表取締役

小林 亮介(こばやし・りょうすけ)
一般社団法人 HLAB 代表理事

新居 日南恵(におり・ひなえ)
株式会社 manma 代表取締役
慶應義塾大学 システムデザイン・マネジメント研究科

喜多 恒介(きた・こうすけ)
株式会社キタイエ 代表取締役
慶應義塾大学 大学院2年

中村 暖(なかむら・だん)
株式会社DAN NAKAMURA 代表取締役
京都造形芸術大学大学院 修士1年

日本のビジネス環境

まず、日本の企業環境がどうなっているのか紹介します。現在の企業数は「大企業・1万社、中小企業・381万社(うち小規模事業者・325万社)」となっています。また中小企業の開業・廃業でいうと、2009年から2014年までの5年間で「開業:66万社」「廃業:113万社」となり、全体の企業数では「421万社→381万社」となっています。(数値は概算です)

出典:「中小企業白書 2017年版」(経済産業省、2017年)
出典:「中小企業白書 2017年版」(経済産業省、2017年)

数字だけ見ると、リーマンショック以降のこの10年のビジネス環境は厳しいと言わざるを得ません。ただし、法改正を含めてこの10年で起業に関するハードルが下がったのは間違いありません。実際、登壇者の中にも現在のビジネス環境に関して肯定的に捉えている方がいました。

ちなみに、2016年の日本の社長平均年齢は「61.19歳」(東京商工リサーチ調べ)で、年々上がっています。今回の分科会のような場に参加することもあり20代企業経営者とよく会うのですが、彼・彼女らは日本全体でいえば微々たる人数なのです。そんな企業に関する背景を考慮しつつ、今回の若手起業家が語る「将来の日本」についてまとめたいと思います。

ゆとり世代とは

今回の分科会のテーマ属性である「ゆとり世代」についても簡単に補足しておきます。「ゆとり世代」とは、1987〜2004年生まれでいわゆる「ゆとり教育(2002年実施の学習指導要領)」を受けた世代とされています。2017年現在で13〜30歳、世代人口は約2,100万人程度。世界的にいわれる「ミレニアル世代(1980〜1994年生まれ)」「Z世代(1995〜2010年生まれ)」のちょうど間のようなイメージでよいかと思います。

私は1981年生まれなので「ミレニアル世代」ではあるものの「ゆとり世代」ではないです。まぁ、近い世代ではあるので、考え方は近い部分があると思います。ただし、ひとくくりに「ゆとり世代」といっても13歳と30歳では考え方も大きく変わるので、あまり世代の概念にこだわりすぎると、本質が見えなくなるおそれがあるので注意が必要です。(身も蓋もなくてすみません)

「世代間の相違」について

城宝氏(テーブルクロス 代表取締役)

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。この分科会で個人的に興味深かった「相違」の話題についてまとめます。

一つの目の相違は「世代間の相違」です。当然、ゆとり世代の起業家から見れば世代間の意識の違いは大きいと予想。彼らは周囲から結構な頻度で「だから“ゆとり世代”は〜〜」と言われて、世代間の相違についてネガティブなイメージがあると思っていました。しかし、登壇者の多くは「そこまで感じないない」という意見が多くて興味深かったです。

もちろん何かのタイミングでこうしたネガティブなイメージを感じることはあっても、それが本質的な世代間の相違につながるのかというと、結局は「人」によって違うのでそこまででもない、と。逆に、50・60代のビジネスパーソンの方が、ゆとり世代本人よりも違いを感じているのかもしれません。

「人」によって感じ方が違うというエピソードで面白かったのが「“これしちゃいけないオジサン”を味方にする」というテーマです。「これしちゃいけないオジサン」(以下、コレオジ)とは、20代で起業するなんて絶対失敗するからやめなよ、そんなビジネスモデルが続くわけがない、という発言をするオジサマたちの総称です。

しかしこのコレオジには2種類の人がいるそうで、「自分の価値観がすべてでそれに従わない若者に注意をしている人」と「悪意なく本気で心配をしてくれて引き止める人」で、前者は明らかに敵対するポジションの方ですが、後者は敵ではなく味方になってくれる可能性が非常に高いとのこと。本気で心配してくれる人は、局面が変わると「本気で応援をしてくれる人」にもなるそうです。これは20代半ばで独立した私にもわかる気がします。前者の「これオジ」とは世代間の意識格差を感じ、後者の場合は差を感じない場合もあるということでしょうか。50・60代のビジネスパーソンは、若者に“老害扱い”されるか慕われるかは、価値観を押し付けるかどうかにあるのかもしれません。

「モチベーションの格差」について

もう一つ興味深かったのは「モチベーション格差」です。これは同世代で特に感じることのようです。20代は社会人経験も少なく、知識や経験についてはあまり差はないのだけれど(やろうと思えばたいていのことはできる)、この「モチベーション格差」は二極化する一方で、年を重ねるほど差は広がるという話でした。

またこれもゆとり世代特有の傾向なのかもしれませんが、他人から見れば強力なモチベーションでビジネスをしているかと思いきや、自然体というかそこまで意識していないという登壇者の意見が多数でした。テーブルクロス・城宝さんは「起業してからほとんど自身のモチベーションを気にしたことがない」と言っていました。

たしかに、20代であれば知識・経験にそこまで同世代間の差はないでしょう。しかし20代の時の「モチベーションの高低」によって、その後どんどん格差が開きます。この格差をうめる方法は現代社会においてありません。ゆとり世代は働くモチベーション自体は自然体スタイルなのかもしれませんが、だからこそ他の世代よりビジネスパーソンとして“ピンキリ”なのかもしれません。

ゆとり世代らしいビジネス感覚

昨年、政治家の小泉進次郎氏がフォーラムの基調講演でこういう主旨の発言をしました。「イノベーションとは景色が変わること」と。まさに、若手ソーシャル・イノベーターが社会や人々の壁を取り除き、素晴らしい景色を見せてくれる、そんな世界を見てみたいものです。

今回の登壇者の方々は大学在学中からアクションを始めていることもあり、20代とはいえ芯のある起業家としてオーラを感じました。これがゆとり世代の特徴なのかどうかわかりませんが、堂々としているというか、肩肘をはらずに生きているというか、自然体というか。10〜20代で、次のソーシャル・イノベーターを目指す人々のロールモデルになると思います。もしソーシャル・イノベーション領域の起業をお考えゆとり世代の方がいましたら、登壇者の情報をウォッチするのが良いのかもしれません。

今回のフォーラムでは他にも様々な分科会がありました。以下は当日の内容をまとめた公式コラムですので、「ソーシャルイノベーション」に興味がある方は、こちらの記事もチェックしてみてください!

・日 本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017 フラッシュレポート<1日目>
日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017 フラッシュレポート<2日目>
日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017 フラッシュレポート<3日目>

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