4. 2週間で12万アクセス! 「ゴジラvsバズラ」
小東:ツイートがゴジラにダメージを与える企画「ゴジラvsバズラ」について、もっと教えてほしいです。有名なライターさんをアサインされていましたよね。
久保田:はい。Twitterの特徴でもある瞬発的な盛り上がりを、映画公開まで持続させる為に、ネット界隈で有名なライターの皆さんにご協力いただき、“バズラ特殊攻撃”と題して記事やツイートを定期的に投下する仕掛けを施しました。
通常だとゴジラ好きタレントなどインフルエンサーを起用することも考えられたと思うんですが、変に色をつけず、ゴジラに纏わる読み物として「誰にでも」面白がってもらいたかったんです。だから、カツセさんやヨッピーさんのように、ゴジラファンに限らず読者のいるライターさんがピッタリでした。
また、雰囲気やモードにもこだわりましたね。「なんかこいつらやろうとしているぞ…!」的な面白がってもらえそうな雰囲気を醸し出したい。そのためにも、良い意味で個性の強いバズライターさんをアサインしました。
小東:ユーザーがゴジラを倒す感覚や快感について、何か工夫されたことはございますか?
もうひとつの戦い『パインアメvs 誤字ラ』https://t.co/jS4gZLCF5Q
— パインアメの【パイン株式会社】 (@pain_ame) 2017年11月12日
久保田:自分のフォロワー数に応じて攻撃力が変わるギミックや、バズライターの記事攻撃の演出にもこだわりました。具体例としては、特殊攻撃に参加してくれた人気の企業アカウント“パインアメ”は、「パインアメミサイル」がゴジラを攻撃するという、見る人の参加欲を刺激する面白い演出でした。
こうして、全く知らないユーザー同士が「ゴジラ」という共通のコンテンツに集まり、ゴジラを倒すことに熱中することを通じて、一体感を生み出していきました。
全5弾にわたって実施したバズラ作戦も、ラップで攻撃する『ゴジラップスロット』やゴジラの知識力で攻撃する『ゴジラ検定』など、何回もチャレンジしたくなる企画を用意することで、映画公開までの約2週間に何度もサイトに訪れる参加意欲を高め、一体感を生み出す仕掛けの一つになったと言えるでしょう。
小東:いくつかの仕掛けを通じて、継続的に計画的に、バズラ作戦に参加してもらえるようにするんですね。
久保田:今回の企画を通じて改めて実感したことなのですが、Twitterってリアルな友達よりも、共通の趣味や同じテーマが好きな人同士がつながるツールなんだなと。
ゴジラ、アニメ、声優など、共通の趣味をもつユーザー同士が、フォローし合っているケースがとても多い。だから、同じ趣味に対する投稿のハードルがすごく低いんです。リアル友達ベースなフェイスブックやインスタでの連投は気を使うけど、Twitterは違うと思います。
Twitterの投稿ハードルの低さを活かして、何度もやってみたくなるような企画を複数打ち出したことが、ツイートやシェアの数を増やすきっかけになったとおもいます。そうした拡散もあり、ページへのアクセスは2週間で12万を超えました。
5. 約100万人が接触! アニゴジゲート
小東:アニゴジゲートの反響はいかがでしたか?
久保田:盛り上がりましたね。設置期間中、約100万もの人がアニゴジゲートに接触しました。今回のような「拡散されるリアルな体験」って、いつものあの場所、あの空間が「なんか違う!」という違和感を感じさせることがポイントだと考えています。
シンゴジ熱狂から一夜明け、新宿アルタ前に突如出現した第2のゴジラヘッドこと #アニゴジゲート !さっそく調査してまいりましたが、これはなかなか異様な光景だ!
信じられんな・・・これが本当に地球の新宿か・・・?#アニゴジ #ゴジラ #GODZILLA #怪獣惑星 pic.twitter.com/TcLUukMiIm
— 科楽特奏隊|円谷プロ公認カバー盤発売中! (@katokutai_band) 2017年11月13日
アニゴジゲートは、今まで広告が出たことない場所に出したことが勝因の一つ。東京都、新宿区、JRなど様々なところへの交渉・申請が必要になり、いろいろな規制の中での実施だったので大変でしたけど、その分圧倒的な違和感を生み出せたのだと思います。
ゴジラvsバズラにも共通しますが、たとえばTwitterでフォローしている人がいきなり「無人在来線爆弾だー!いけーー!」とかってつぶやいて自分のタイムラインに流れてくる体験って、普通じゃないですよね(笑)。そういう違和感や異常な感覚が、肝だと思いますね。いつもよりインパクトがあるという程度だと、なかなか違和感は生まれないわけです。
小東:たしかに新宿東口がゴジラになっていたら異常事態ですね(笑)
久保田:私は過去に『劇場版PSYCHO-PASSサイコパス』のプロモーションで”新宿シビュラシステムゾーン”というデジタルサイネージとテクノロジーを融合した体感型企画をプロデュースしました。
その時も人通りの多い新宿駅構内に、犯罪者になる危険性を表した数値「犯罪係数」を測る体験ができる巨大なデジタルサイネージを出現させ、サイコパスの世界観に没入できる体感型の空間を作って、大変バズりまして、延べ9万人もの人が参加し、最長2時間待ちの行列ができました。
コアファンが体感することで圧倒的な熱量が生み出され、さらにその熱がライトな層まで伝播する。こういう仕掛けは、既に一定のファンがいるコンテンツでは効く手法と言えるかもしれないですね。
小東:『サイコパス』の体感型プロモーションをされた当時もTwitterが流行っていて、月間アクティブユーザー数は約3500万人いたと記憶していますが、最近はSNSにおけるバズの実感ってありますか?
久保田:まだまだあります。特に若い層とアニメではバズが効いている感覚がありますね。Twitterは、絶対外せないです。
6. 映画プロモーションにおいて大切なこと
小東:最後に、映画プロモーションにおいて大切なことについて教えてください。
久保田:作品に対して、誰よりも熱い思いやりや理解を持つこと、つまりバイブスが一番大切だとおもいます。自分が一番のファンになることで、様々な場面で正しい判断を下せると考えています。
「この企画は楽しんでもらえるか?」
この問いに対して、自分が圧倒的な理解者であれば必然的に正しく向き合えて、解に辿りつける。これは映画以外のあらゆることにも、通じることだと思いますね。
- ■補足
- 映画『GODZILLA 怪獣惑星』公式サイト http://godzilla-anime.com/index.html
- REGENTSリージェンツ公式サイト https://www.regents-tokyo.com/
- ムサシノ広告社 公式サイト https://www.musashino-ad.co.jp/