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『このマンガがすごい! 2018』『サトコとナダ』


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 『このマンガがすごい! 2018』(宝島社)が届いた。

 今回もアンケートに協力した。

 150ページにぼくの回答が掲載されている(あと45ページの一部)。

 『このマンガがすごい! 2018』を読んで初めて知るマンガもあった。ユペチカ『サトコとナダ』(星海社、西森マリー監修)はその一つである。アメリカの大学に留学した日本の女性・サトコが、サウジアラビアからきた女性・ナダとルームシェアをする話。巻末に「フィクション」だと記されている。

 『このマンガがすごい! 2018』には『サトコとナダ』の作者のコメントがある。

『サトコとナダ』はイスラムの女性をテーマに描きたかったわけではなく、サトコがアメリカに行ったらルームメイトがたまたまナダで、そのナダがたまたまイスラム教徒で、サウジアラビア出身だということ。

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 まあ作者の意図はそういうことなんだろうけど、やはり「イスラム教徒の現代女性って、どんな習慣なの? どんな言動をするの?」という異文化興味としてまずは読むわな。

 イスラム圏の女性といえば、被り物の印象が強い。特にサウジアラビアは「ニカブ」という目の周りだけ出すのがスタンダードだから、よけいに気持ちや実像がわからない。

 それが、本書でよくわかるのである。

 むろん、それは「サウジアラビアのナダ」のサンプルとしてに過ぎないのだろうけど。

 そのようなガイド、ルポとして、とりあえず知的興味を満たす。

 サウジの料理と日本の料理にやや飽きた二人が、アメリカ風のチキンスープがえらく美味しそうで、その後すぐぼく自身も作ってみた。いや、ただ野菜とチキンを切って、チキンブイヨンで煮込むだけだが。

 作者の「ルームメイトがたまたまナダで、そのナダがたまたまイスラム教徒で」という強調は、ルームメイトつまり友達っていうことが基本にあり、さらにいえば、友情ということがベースにあるので、おたがいのことをよく知りたいという気持ちがそのまま異文化交流になっている、ということ。


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 齋藤孝の子ども向けの本で『たった3分で友だちになれる! 魔法のマップ』(PHP)というのがある。

 そこで齋藤は、

「友だち」とは、好きなことの話を楽しくできる相手のこと

というクリアな定義を示して、

いいインタビュアーになろう

ということを行動基準として与えている。

 友だちになる、というのは、好きなことの話を楽しくできる相手なのだから、相手と自分が好きなことが重なることでまずカンタンにできるのであるが、重なるものがない場合でも、相手の好きなことを突っ込んで聞くうちに自分もそれを好きになってしまう、という副作用を期待しての行動基準である。

 齋藤は、自分がコイン集めが趣味だったが、全然興味もなかった友人が、いっしょにコイン屋に行ってからそいつもコインにハマりだしたというエピソードを紹介している。

 つまり、相手のことに興味を持つ。

 興味を持って関心を向けることが、相手の前向きなフィードバックを引き出して、「好きなことの話を楽しくできる相手」へと変えていくということだろう。

 友達である、つまりなんらかの好意を持って相手に関心を寄せることと、異文化に関心を持ってそれを知ろうとする態度は重なる。

 恋人や夫婦という「異文化」においても、それは同じ。

 「友情とは恋愛の一部である」という例のテーゼを活かせば、サトコとナダの友情は、恋愛にも似ているし、そのような気持ちが相手の異文化を知りたいと思わせていることをよく表した1冊だ。

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