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特集:2018年の日本経済を予測する

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●金融市場:株価、為替をどう見るか

2017年は「アンラッキーセブンの法則」が不発だったようである。あと3週間残っているとはいえ、為替も株も大きな波乱のない1年だったということになりそうだ。2018年の為替を考える場合、米国の金融政策が最大の焦点となる。2月にはジェレミー・パウエル議長が誕生し、現イエレン体制の「出口政策」を継承することになる。

○2018年金融政策カレンダー



2017年の米連銀は、来週のFOMCで今年3回目の利上げを決めるだろう。今年はまた資産の圧縮に向けて、小さいが重要な一歩を踏み出した。

それでも米国経済は好調で、第2、第3四半期と連続して3%成長を続けている。失業率も4%に近づいているので、2018年も3~4回の利上げが予想される。

逆に日本は、今の緩和路線が大きく転換される見込みは乏しい。 4月には「ポスト黒田」体制が始まることになっているが、「続投が濃厚」とも言われる。その分、日米の金利差は拡大するわけで、 流れとしては「ドル高円安」であろう。

もっともこの点は、既に「折り込み済み」であると受け止めるべきかもしれない。むしろ波乱がありそうなのは、現在進行中の税制改正の動きである。

法人減税以上に気になるのがレパトリ減税で、米国企業が海外に蓄えている3兆ドル超の資金が本国に引き上げる契機となるかもしれない。これはもちろんドル高要因となる。それだけではなく、特に新興国に流出していたドル資金が流出するかもしれないので、信認の低い国の通貨にとって2018年は試練の年となるのではないだろうか。

株価は9月以降に上昇し、今月は日経平均2万2000円台でもみあいが続いている。ここまで上がると投資家が「高所恐怖症」になってしまい、今週6日には「エルサレムショック」で1日500円下げるという局面もあった。

ところがこのニュースは海外ではほとんど材料視されず、翌日以降は慌てて値を戻すという「気迷い相場」が続いている。そこで、本誌としては久しぶりに「東証時価総額」のグラフを作ってみた。名目GDPは、12月8日朝に公表された7-9月期2次速報値のデータを使っている。

○東証時価総額と名目

GDPの比較意外に思われるかもしれないが、11月末時点の東証1部時価総額は671兆円とバブル期ピークの1989年12月末の590 兆円を大きく上回っている。

ところが日経平均だと当時は3万8915円となってしまう。つくづく日経平均は2000年の銘柄入れ替え以降の指標と割り切り、それ以前と比較する際には時価総額を使う方が良いのではないだろうか。

これを名目GDPと比較すると、89年当時は37%も上回っていたことになるが、現在は22%ということになる。時価総額と名目 GDPの乖離が大きくなるとバブル、というのが経験則だが、22%を「もう」と見るか「まだ」と見るかは意見が分かれるところであろう。

ちなみに昨年末に2008SNAが導入され、名目GDPが以前より大きくなったことでこの差は縮小している。直近の7-9月期2次速報の名目GDPは549兆円である。ほぼ5兆ドル、となっている点にご注意願いたい。

●政治・社会:2018年は改革に専念できる年

少し気が早いかもしれないが、来年の主要政治外交日程を作ってみた。以下、2018年の注目点を考えてみた。

○2018年、内外の主要行事



1.久々に国政選挙のない年である。衆院選、参院選、統一地方選のいずれも行われなかった年は2008年以来のこと。懸案の課題 に専念できる年と言える(→後述)。

2.最大の注目点は9月の自民党総裁選だが、これは5月の大型連休に「いよいよ平成も残り1年」となった時点 で流れが見えてくるのではないか。本線はもちろん①安倍続投だが、②岸田政調会長への禅定や、③久々のガチンコ総裁選(石破、岸田、野田etc.)の可能性も十分にあると考えておくべきだろう。

3.海外ではロシア、イタリア、メキシコ、ブラジルなどで選挙が行われる。もっとも大きなサプライズがあるとは考えにくい。米中間選挙も気になるところだが、2018年の上院選は民主党側が「守りの選挙」となる巡り合わせで、今の2議席差を逆転できるかといえばそこは微妙である。

4.通商政策ではNAFTA再交渉が注目点。メキシコ大統領選との兼ね合いから、3月末までには結論を出さねばならない。それが済むと、「TPP11」の署名式をいつ、どこでやるかといった話ができるようになるのではないか。米国はこの年の7月に現行のTPAが 失効する。仮にトランプ政権が本気で「日米FTA」を目指すのなら、議会に対して新たなTPAを求めなければならない。その可能性はほぼゼロだろう。

5.4年に1度、冬季五輪とサッカーW杯が重なる年である。4K、8K、有機ELといった新技術もあるので、テレビの買い替えが進むだろう。それとは別に、IOCから平昌五輪を締め出されたロシアが、どんな形で「意趣返し」するかが気になるところ。

こうしてみると、内外ともに超重要なイベントは見出しにくい。そして経済は概ね好調と見られるのだから、従来からの懸案に取り組むには良い機会と言えよう。(もちろん北朝鮮問題や不穏な中東情勢など、「地政学リスク」との付き合いは続くだろうが、それは予定に入れられないのでここではさておく)。

経済政策における最大の懸案は「働き方改革」であろう。「少子・高齢化」が加速して「人手不足」が至るところで問題になり、「女性活躍社会」や「生産性の向上」が必要になっている時代を迎え、昨今掲げられているアジェンダはまことに「ごもっとも」なものばかりである。

問題は具体策であって、国会では「脱・時間給法案」がいまだに実現していない。「ホワイトカラー・エグゼンプション」とか「残業代ゼロ法案」とか、いろんな呼び方をされてきたものの、これは2007年の第1次安倍内閣以来、実に10年越しの懸案である。

いかに労働法制の変化が遅いか、ということである。筆者も日本企業に勤めて30余年になるが、この間、「新卒一括採用」から「定年」に至るまで、ホワイトカラーに関する人事制度は昭和の頃からほとんど変わっていない。

変化と言えば、せいぜい「コンプラ」「セクハラ」「パワハラ」といった概念が加わって、職場が禁煙になったことくらいではないだろうか。

「企業収益が上がっても賃金が上がらない」というよく聞く疑問も、「人事制度が旧態依然であること」が一因であるように思える。今どき全社員にベアがあって、皆が等しく賃金が上がるというシステムは機能しないだろう。

もっと複線型の処遇を準備しないと、女性や外国人も合せた多様なニーズには応えられないはずだ。次の課題としては、「定年 制の廃止」と「解雇規制の緩和」をセットで導入することが肝要だと思う。が、さすがに長くなり過ぎたので、この話はまた別の機会に。

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