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北京紅黄藍幼稚園児虐待事件 - 澁谷司

今年(2017年)、北京市朝陽区新天地の紅黄藍幼稚園で奇妙な事件が起きた(同園は、1998年、孟亮<孟建柱・前中央政法委員会書記の親戚と言われる>によって、小学校に入る前の早期教育を目標にして設立されている)。11月22 日、園児の家長(父兄)が警察に通報して事件が発覚した。

園児らの証言等によれば、彼らの体に針が刺されたり、毎日、昼寝前に睡眠薬とおぼしきモノを飲まされたりしている。更に、彼らは裸の“お爺さん先生(医師)”や“おじさん先生(医師)”に、裸にされたり触られたりした。園児らは、その“先生達”に「言う事を聞かないと、体の臓器を切り取るぞ」と脅されている。

園児らはあまりに幼いので、“先生達”の彼らに対する行為が、何が何だか分からなかったに違いない。おそらく親にもちゃんと説明が出来なかっただろう。園児らが受けた精神的苦痛は大きいかも知れない。将来、トラウマとして残る可能性もある。

同月25日、紅黄藍幼稚園を経営する北京紅黄藍児童教育科学技術発展有限公司は声明を出した。園長を即刻クビにし、また、1人の女性教師を“法律に従って”処分したという。

早速、北京警察は、同日、劉という女性教師(22歳)を逮捕した。そして、まもなく同警察は「紅黄藍事件」を調査した結果、園児に対する性暴力はなかったと発表した。出来るだけ早い幕引きを図ったのである。

他方、当局は園児の被害者家族に圧力をかけ、今回の騒動を招いたという事で謝罪させた。また、当局はこの事件に関して、事実とは違う噂がインターネット上に流れているとして、ネットの厳しい取り締まりを行っている。

「雷洋事件」(昨2016年5月7日夜、雷洋という29歳の青年が北京市昌平区で警察官らの暴行によって死亡した事件)と同じように、今度の事件も撮影した映像記録(DVD)が残っていないという。おそらくDVDには、国内外に知られたら困る映像が撮影されていたに違いない。

小児性愛者(ペドフィリア)の“お爺さん先生”や“おじさん先生”が、中国共産党の高級幹部である公算が大きいのではないか。中国共産党が事実の隠蔽を図っているのが透けて見えよう。

実は2015年、同系列の吉林省四方市の紅黄藍幼児園でも、酷似した事件が発覚している。園児達は、針を刺されたり、薬を飲まされたりしている。ある児童は、舌に針を刺された。

この事件では、教師4人が児童への虐待で刑事訴追を受けた。同年11月、四方市鉄西区地裁の一審で、被告人の王璐と孫艶華は懲役2年6ヵ月、王玉皎、宋瑞琪には懲役2年10ヵ月の判決が下った。4人とも上告したが、翌16年12月、四方市高裁の2審では1審判決を支持し、4人の実刑が確定した(中国では2審制のため)。なお、児童に対する慰謝料は3万元(約51万円)が支払われる事になった。

そして、今度は北京の幼稚園である。この事件の裏には、深い闇があると想像できよう。

さて、今年9月、北京紅黄藍児童教育科学技術発展有限公司は、学前教育機構紅黄藍教育 (RYB Education)として米国に上場した。

紅黄藍教育公司の最大の株主は、周海英だという。北京市順義区司法局副局に同姓同名の人間がいる。但し、現時点では彼と同一人物かどうかは不明である。

実際、江沢民時代に繁栄したという性産業は政法系が管轄している。したがって、周海英が大株主であっても不思議ではない。だが、本当に“現役の役人”が大株主だった場合、「反腐敗運動」のターゲットになるだろう。

大株主としては、周海英が30.10%、曹赤民(紅黄藍教育機構連合理事長) 23.6%、史燕来(同機構連合総裁)13.5%で、トップ3である(曹と史は実在する)。30位までの株主の中には、孟亮の名前はないという。ひょっとして孟亮が周海英に“名義借り”している可能性も捨て切れない。但し、理事会役員6人の中には、孟亮の名前があるという。

今般の事件を受けて、紅黄藍教育公司の米国での株価が40%近くも急落した。そこで、11月27日、米Pomerants LLP法律事務所(北京の郝俊波法律事務所と提携)は紅黄藍教育公司が出資者に巨額の損失を与えたとして、ニューヨーク南区連邦裁判所に紅黄藍教育公司を提訴したのである。

澁谷 司(しぶや つかさ)
1953年、東京生れ。東京外国語大学中国語学科卒。同大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学等で非常勤講師を歴任。2004~05年、台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011~2014年、拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。現在、同大学海外事情研究所教授。 専門は、現代中国政治、中台関係論、東アジア国際関係論。主な著書に『戦略を持たない日本』『中国高官が祖国を捨てる日』『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる!「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)等多数。

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