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「森友事件」元凶は財務省の弱体化にある

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ジャーナリスト 沙鴎 一歩

大蔵省(現在の財務省)は、かつて「官庁の中の官庁」といわれた。それは各省庁の予算を握っているからだけではない。徴税を担当する国税庁を通じて、政治家の脱税を摘発する能力をもっていたからだ。だが、「安倍1強」で、その能力は弱体化している。ジャーナリストの沙鴎一歩氏は「弱体化の結果、『森友事件』が起きた」と指摘する――。

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産経新聞の社説(12月3日付「主張」)。見出しは<「森友」と財務省 官僚としての矜持見えぬ>。

■「けじめを早くつけろ」

久しぶりに納得のいく新聞記事を読んだ。12月3日付の産経新聞の「主張」(社説)のことだ。

国有地売却で鑑定価格の85%以上に当たる8億2000万円もの値引きが問題になっている森友学園事件。事件の核心はこの異常な値引きにある。

産経社説は問題の値引きをした財務省に対し、真っ向から「けじめを早くつけろ」と主張する。さらに値引きを認めた当時の理財局長(現国税庁長官)の責任も厳しく追及する。

森友学園事件の元凶は財務省にあることは間違いない。これが沙鴎一歩の指摘である。

■財務官僚の誇りはどこに消えた

産経の社説は「森友と財務省」というテーマに「官僚としての矜持見えぬ」との見出しを掲げる。矜持とは誇りやプライドのことだ。霞ヶ関官庁の予算をすべて握り、官僚中の官僚といわれる財務官僚の誇りはどこにいってしまったのかと産経社説は嘆く。

それでは産経社説を最初から読み進めてみよう。

冒頭から「佐川宣寿(のぶひさ)国税庁長官はどんな気持ちで質疑を聞いていたのだろう」と核心を突く。

続いて「衆参両院の予算委員会では、学校法人『森友学園』への国有地売却をめぐる、ずさんな値引きが再び批判された」と書き、「近畿財務局と学園側とのやり取りを記録した音声データの内容を財務省が認めたため、『適切に処分した』としてきた前国会での答弁はぐらつきはじめた」と指摘する。

■佐川国税庁長官は真に説明責任果たせ

そのうえで「その答弁者こそ、前理財局長の佐川氏である」と疑惑の渦中にいる佐川氏を登場させる。うまい書き方である。

さらに佐川氏の疑惑の一端を指摘する。

「夏に国税庁長官に任命されてから、就任会見さえ開かず今に至っている。この問題を追及されるのを嫌ってだろう」
「かつての答弁との整合性を何とか保とうと、後輩は『金額の話はしたが価格交渉ではない』などと苦し紛れに答えている」

そしてこう批判する。

「これが『官庁の中の官庁』とまで言われた財務官僚の姿、振る舞いだろうか。財務省としてのけじめを早くつけた方がよい」

ここまで批判されれば、さすがの佐川氏も知らぬ存ぜぬでは済まされないだろう。国税庁長官任命の記者会見はもちろんのこと、国会の求めがあれば、参考人招致や偽証罪にも問われる証人喚問に出席すべきである。そうすれば国民も野党も納得するはずだし、それができて初めて自らの説明責任を真に果たしたといえる。

■税務署の仕事にも悪影響が……

産経社説は返す刀でこうも批判する。

「財務省の予算編成作業が大詰めを迎えている。年が明ければ、国税庁は確定申告の季節である。国民の信頼を失ったままでは、本来の業務に支障が出よう」

予算編成にどこまで支障が出ているかは知らないが、確かに税務署の仕事には全国で障害が出ている。

たとえば佐川氏の長官就任直後から多くの納税者から「佐川さんは国会で国有地売却の交渉記録について『破棄した』と答弁していたけど、書類を破棄したといえば許されるのか」とか、「いまの税務署に公正な税務は期待できない」といった苦情が寄せられているという。

個別の税務調査でも「もう税務書類は提出しない」といわれ、税務行政が滞っているとも聞く。

産経社説に戻ろう。

国有財産の管理について産経社説は「政府が国有財産の管理手続きを見直すのは当然である。だが、何が問題だったのかをはっきりさせないと、的確な見直しなど望めないだろう」と書き、「売却価格をめぐる対応の不備を認め、その経緯と責任の所在を明確にすることだ。以前の答弁は事実に即していないと修正するしかあるまい。官僚としての矜持(きょうじ)さえ保てなくなる」と厳しく批判する。

ここまで社説で書かれて財務省はどう動くのか、これからの動きが見物である。

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