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- 2017年12月08日 12:22
貴乃花にみる大相撲の「演劇的世界」 - 舞台演出家・朝倉薫

共同通信社
「相撲」と「演劇」が古代の神事であることは周知の通りです。演劇は見ての通り見事に住み分けが出来て、歌舞伎に外人俳優を参加させようなどと無茶を言う輩はいません。ありとあらゆるジャンルの演劇が世界にあふれていて、国や人種を超えて盛んに交流されています。柔道も今や国際競技です。
しかし、相撲だけは古来から神事として大切なしきたりを継承してきました。鬢付け油の匂いも芳しい髷を結うことも、決して土俵に女性を上げないことも、頑なに守り続けています。
古来からの神事であり演劇よりも神聖な相撲ならば、外国人を入れようなどと発想した輩がいた時、関係各位は何故、無茶はよせと止めなかったのでしょうか。ぼくには今持って疑問です。
相撲は国技から出稼ぎのジャパンドリームに変貌

共同通信社
そもそも、八尾長もかわいがりも教えたのは日本人の力士ですから、外国人力士にはそれすら相撲のしきたりだったのでしょう。
話は横道に逸れますが、日本人は忘れやすい人種です。彼の元寇のおり、浜に押し寄せたモンゴルの兵に、高らかと「やあやあ、我こそは肥後の国海東の住人、竹崎季長なるぞ!」と古来の神事に則り名乗りを上げた我が祖先。
それに対して聞く耳持たず火玉を打ちかけてきた彼の国の末裔たちに何を望むのでしょう。
その国にはその国の民族性があります。相撲は格闘技ですか?確かに格闘技の一面もあります。しかし、ぼくは格闘技と一緒には出来ないと思います。心技体すべてを鍛錬し、神に捧げる神事としての存在を日本人が求めるのも確かです。文明開化で切り落とした髷も落とさず裸にまわしで土俵に上がるのが何より麗しいのです。
役者に芸名があり、相撲にはしこ名があります。声高らかに呼び出しが名乗りを上げて、我が素晴らしき相撲の取り組みが始まるのです。
最も反省すべきは手をこまねいている指導者

BLOGOS編集部
少し感傷的になってしまいました。断わっておきますが、ジャパンドリームに向かって邁進してきた外国人力士には何の罪もありません。むしろ被害者です。日本人がアメリカンドリームを夢見て大陸へ渡るのと同じです。苦労に苦労を重ねて手に入れた栄光は何よりの宝物であり故郷の誇りでしょう。同郷の仲間が集いお互いを励まし合うのは当然のことです。
先輩が後輩を説教することもあるでしょう。シゴキ、かわいがり、愛の鞭、呼び名はちがえど、全て暴力です。体育系だろうと文化系だろうと、悪しき慣習は時代の流れに則していくべきです。
今回の騒動について、最も反省すべきは手をこまねいている指導者であり、識者と呼ばれる木偶の坊であり、無能な官僚政治家であり、何の責任も負わない我々日本国民なのです。臭いものには蓋をする集団体質を反省するべきです。
昨今、世界中で情報公開の嵐が吹き荒れ、コンプライアンスが声高に叫ばれています。良かれ悪しかれ、不可触領域は世界から消えようとしています。相撲界を神事として不可触領域に置くのか?それとも娯楽の世界に晒すのか?
今まさに、日本国民が試されている気がします。極端ですが、神事としての相撲と娯楽としての相撲に棲み分けるのもいいかもしれませんね。
大和葛城で催された野見宿禰と當摩蹴速の相撲から1331年が経ち、情報公開が次々となされている現代、闇の中の古代史も明るみに出てきました。この相撲界の騒ぎは、今一度、忘れかけていた太古を省みるチャンスです。新しい時代の幕開けかもしれません。
朝倉薫(あさくら・かおる)
1948年8月2日、熊本生まれ。
1992年に音楽プロデューサー、雑誌編集から転身を図り劇団を立ち上げる。その後は作家、脚本、演出家として「沈まない船」「桃のプリンセス」「ガラス工場にセレナーデ」などの舞台を手がける。舞台はパイオニアLDC、ポニーキャニオンなどからビデオ化された。元祖アイドル声優だった桜井智は劇団員から育てた。現在も劇団「朝倉薫演劇団」を主宰する。これまでに優木まおみ、吉木りさなど数多くの女優、タレントの演技指導にも当たってきた。2018年3月20日から25日にはガールズハイパーミュージカル「LOVE ME DOOL」の公演を準備している。
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株式会社文化通信社は1952年に映画の業界専門紙としてスタート。その後、放送業界、音楽業界へと取材範囲を拡大していった。現在では映画、放送、音楽を中心としたエンターテインメント業界を内側からウォッチし続けている。その情報は「日刊文化通信速報」「月刊文化通信ジャーナル」として購読されている。
特に、「月刊文化通信ジャーナル」は、映画を中心にした綜合エンターテインメント専門誌として55年の歴史を刻んでいる。特に映画系では唯一の業界専門誌として認知されている。
また、関連会社には株式会社文化通信エンターテインメントがある。文化通信社が培ったノウハウを生かしての新規事業や版権事業などを行なっている。文化通信社創立55周年の際はシンガーソングライター松山千春の自伝「足寄より」を「旅立ち〜足寄より」として映画化、さらに60周年では舞台化してきた。
特に、「月刊文化通信ジャーナル」は、映画を中心にした綜合エンターテインメント専門誌として55年の歴史を刻んでいる。特に映画系では唯一の業界専門誌として認知されている。
また、関連会社には株式会社文化通信エンターテインメントがある。文化通信社が培ったノウハウを生かしての新規事業や版権事業などを行なっている。文化通信社創立55周年の際はシンガーソングライター松山千春の自伝「足寄より」を「旅立ち〜足寄より」として映画化、さらに60周年では舞台化してきた。



