記事

社員がみんな「素直で、イイヤツ」--サイバーエージェントが成長し続ける理由

1/2

 タイトルはサイバーエージェント取締役 人事本部長の曽山哲人氏の言葉だ。臆面もなく、こう語ってくれた。なにより曽山氏自身が、「素直で、イイヤツ」の筆頭のような人柄である。そうでなければ、ユニークな人事制度を次々と打ち出し、社員のモチベーションを高め、会社を成長させることなどできないだろう。


サイバーエージェント取締役
人事本部長の曽山哲人氏

 同社の人事制度の特徴は、若手の積極登用やチャレンジしやすい仕組み作りなどにある。また一方で終身雇用を打ち出し、退職金制度を用意。長く働きやすい環境を整えようとしている。すでに5年連続で日本における「働きがいのある会社」ベスト20社にも選出された。

 サイバーエージェントの人事の取り組みがなぜ成功しているのか、どのように成り立っているのか。仕掛け人の曽山氏に聞いた。

「チームプレーで勝つと決めた」

 「退職金制度」は2010年10月に導入を発表したばかり。30歳から積立を開始し、40歳から受け取れる。 業績と連動し営業利益の一定率を配分する。こうした制度は成長途上のネット企業ではあまり例がみられない。

 導入を決定した理由は、「チームプレーで勝とうと決めたから」だと曽山氏は語る。安心して働ける環境を用意して社内のつながりを強化し、存分に力を発揮してもらいたいという。

 ビジョンとしている「21世紀を代表する会社」になるためには、退職金は必要な制度であると以前から検討していたそうだ。ただし、将来の経営陣に禍根を残さないように、注意深く議論してきたという。

 退職金と終身雇用――。これらの制度は長期にわたる安定を提供できる反面、組織を硬直させてしまうという懸念もありそうだ。なぜサイバーエージェントは柔軟な組織を維持できるのだろうか。

 「当社は組織変更がものすごく多い。それに紐付くのが席の引越し、オフィスの引越しです。ちょっと記憶が曖昧ですけど、おそらく年に50~60回くらいやっておりまして、オフィスのレイアウト替えのパートナー企業さんからは『日本で1番多いんじゃないか』と言われています」

 ほぼ週に1回ペースで組織変更があるが、これはすべて何らかのビジネスを成功させるためというゴール設定に基づいたものだ。これまでもAmeba事業を立ち上げるための組織変更や、また別の新規事業のためのレイアウト変更などが常に行われてきた。こうした動きを通して、柔軟性のある組織を維持しているという。

 ただし、これだけでは終身雇用の弊害でもある「年功序列」がまかり通ってしまう。それを防ぐために、会社のミッションステートメントに「若手の台頭を喜ぶ」「年功序列は禁止」という文言を並べた。優秀な人材は1年目から抜擢しているという。

 「僕らが目指しているのは、21世紀を代表する会社を創ることですから、これを実現するためであれば、年齢なんて関係ないし、そういったものだけで何かを判断するのは絶対に間違っている。若手の台頭はおそらく世界で1番だと思っています。新卒入社組で子会社の社長か役員をやっているメンバーがいま26人いるんです。ほとんどが20代です。設立10数年の会社において新卒入社で20人以上いるのは日本でも聞いたことないですし、世界でもほとんど例がないのではと思います」

サイバーエージェントの抜擢人事の仕組み

 曽山氏によれば、ある2010年入社の社員は1年目で子会社の役員に抜擢され、さらにその年のうちに社長に昇格したそうだ。2011年もまた1年目で役員に抜擢された新入社員がいるという。

 「本社の事業部ではなく、子会社の経営者というのがポイントになる」と曽山氏は語る。「やっぱり自分でキャッシュフローをみて、会社の登記をし、銀行口座にある残高を見ながら、みるみる減っていくのを実感して、どうやって業績を上げるかというのを考える。これは事業部で得られる経験とはまったく異なります」。

 「経営者は経営者をやらない限り育たない」とサイバーエージェントは考えている。経営はいくら座学で勉強しても習熟することができない。だが入社1年目から経営者を経験しておくと、早いうちに実戦感覚が身につく。そのメリットは非常に大きいという。

 現在、新卒入社組の子会社社長または役員26人のうち、3人はサイバーエージェントという上場企業の役員である。皆30代前半だ。新卒で入社し、30歳前後で上場企業の役員になれるフローがあること自体が珍しい。

 「大手の企業だと60代になったら1人くらいは役員になれるかもしれませんが、当社では10年目~12年目で役員になりました。しかも1人ではなくて3人です。その3人もいたって普通の新卒でした。がむしゃらに仕事に取り組み、3人とも子会社の経営を経験し、見事に業績を上げ、営業利益を生み出すという実績を伴っています。単純に子会社の社長を任せただけではなく、経営の中核であるサイバーエージェント本体の経営陣となることで、さらに経営者として成長するうえ、経営人材を増やすことが会社の強化にもつながります」

 では、抜擢にコツはあるのだろうか。

 「本人が意思表明しているかどうか」が大事な点のひとつだと曽山氏は言う。「要は強いやる気のある人にやってもらう。それは声に出して言っている人。意思表明しているというのは1つの覚悟なんです。『そんなの無理に決まってる』って言われるかもしれない。その覚悟に向き合っていること自体に、精神的に強い思い入れがありますから。そこは重視しています」

 またサイバーエージェントには「ジギョつく」という事業プランコンテストがある。これは内定者でも参加できるそうだ。内定者の時点で自分のアイデアを実現したいと声に出して言っている人は、そうでない人とは「全然違う」という。

社員はみんな「素直でイイヤツ」

 大胆な若手登用は、サイバーエージェントの社風あってこそ成り立っている。曽山氏に、社員の人柄を一言で表してもらうと、「素直でイイヤツ」という言葉が返ってきた。

トピックス

ランキング

  1. 1

    韓国すり寄り止まらぬ岩屋防衛相

    木走正水(きばしりまさみず)

  2. 2

    ラオスのダム決壊 韓国と協議中

    tenten99

  3. 3

    嫌韓が高齢者に多いのはなぜか

    WEDGE Infinity

  4. 4

    セブン廃棄ロス策 5%還元に呆れ

    永江一石

  5. 5

    丸山議員は辞職不要 使える存在

    奥山真司

  6. 6

    恩知らずは消える 芸能界の現実

    倉持由香

  7. 7

    批判に弱い幻冬舎の見城徹社長

    渡邉裕二

  8. 8

    のん巡る裁判で異例の事実が発覚

    SmartFLASH

  9. 9

    AKB商法 秋元康の汚点になる恐れ

    PRESIDENT Online

  10. 10

    北方領土「武力奪還」は認識不足

    舛添要一

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。