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あるドイツのエコスーパー、其の弐

ドイツにはもう13年ぐらい住んでいないため、今の事情は詳しくわかりませんが、生まれてからはずっと、肉、野菜、果物は量り売りしかありませんで した。(上の写真はこの記事の対象となるスーパーですけど、他のドイツのスーパーとかわりません。) ネットで売られているのはじゃが芋や玉ねぎぐらいです。

子供の時から、ビニール袋使わないように(親、祖母、小学校、近所のおばちゃんに)教育されました。ドイツ人は普段惣菜を買うのに、自分の容器をスーパーへ持って行きます。

今日は、ドイツのミュールハイムにある面白いスーパーを紹介しようと思います。80年代に建てられた建物はスーパー省エネスーパーにかわりました。テネゲルマングループは ドイツの大手企業です。慶応3年(1867年、漱石が生まれた年です)に創立された家族経営の会社です。今の社長は五代目です。4500店の店舗、8万6 千人の従業員、113億4千万ユーロ(1兆2130億円)の売り上げ、16ヶ国に進出をしています。(同じく全国で店舗を持っているイオンリテールは資本 金が500億円、従業員数 が75,154人です。)

そのテンゲルマングループの普通のスーパーは照明・冷却・暖房・冷房等々に平均年間に77万kWhも消費しています。この新しい『クリママルクト』(気候スーパー)は、暖房・照明と冷凍システムを大きくかえました。

地中熱

ご 存知の通り、外気温は季節によってかわります。ドイツも四季がありまして、気温は日本とたいしてかわりません。わさび畑の水は、夏に冷たく、夏に温かく感 じていますよね。湧水の水温は年中ほぼ同じです。外気温は違っても、5mの深さになりますと、地中の気温は一年中同じ12度ぐらいです。 このスーパーの敷地内の6ヶ所に、深さ130mまでボーリングして、その中にパイプが埋められ、さらにパイプの中に水・グリコールの混合液体が入ります。 その液体が救い上げられ、ヒートポンプを使用して、熱がスーパーの暖房に使われています。逆に、夏になると、地上の熱は地中に放出されます。同じ原則に 従って、雪国には道路の無散水消融雪が行われています。そうすることによって、スーパーの熱の合計の25%は地中熱で賄っています。

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排熱使用

残りの75%は冷凍冷蔵棚の排熱で賄っています。(駅のホームでは、「ヒートポンプ自販機」というラベルが貼られている自動販売機がみえますよね。それに似ています。)こういった対策を設けることによって、通常の暖房の設置が不要になって、スーパーはガスや石油にも依存しません。

換気

冷 蔵冷凍棚は食品を冷やすだけではなく、排熱もします。今までの、通常のスーパーではこの排熱が使用されずにいましたが、このスーパーでは排熱を使って、熱 交換器でまたスーパーの温水装置や暖房で使用されます。中央制御換気装置が使われることによって、エネルギー効率性も上がります。

必要に応じて外部の空気も加えられます。

スーパーの入り口に設置されているセンサーが常に建物に出入りする人数を計算しています。

ドイツの顧客がスーパーにいる時間は平均で20分だと調査して分かりましたため、一人あたりの換気装置は30m^(3) の外気が販売スペースに入ってきます。そこまでやっている、すごいですね。

冷凍施設

通常のテンゲルマングループのスーパーの面積は1500平方メートルであって、エネルギーの52% リンク先を見るが冷凍冷蔵棚に消費されています(!うわ!すごい!独逸でさえ52%だったら、鳥肌が立つ日本のスーパーはどうかな?)

扉や蓋のついていない通常の冷凍冷蔵棚のエネルギーの一部が部屋に吸収され、冷凍冷蔵装置自体は温度を一致させるためさらにエネルギーを使います。その事もあって、このスーパーの冷凍冷蔵棚には全て扉がついています。

扉を設置することだけで、冷蔵設備では35%、冷凍設備では50%の節約が出来ます。

普通のスーパーが消費するエネルギーの半分以上が冷房冷凍に消費されていると考えると、扉のある効果は大変大きいです。

私の住んでいる東京都のスーパーではみた事がないんですね。扉、蓋やドアのない冷蔵冷凍棚は日本のスーパーやコンビで一般的ですね。不思議なことに コンビニでアイスクリームと飲み物の棚だけに蓋と扉がついています。エアカーテンというのはありますけど、それもまた、電力を使っていますよね、きっと。

私 の記憶のある限りでは、(ドイツの実家の近くの)地元のスーパーの冷凍食品の棚は扉がついていましたけど、バター、ヨーグルトはどうか、正直覚えていませ ん。確かなのは、その時の冷凍食品のガラスドアは普通のガラスと違って、ガラスが曇らないように、中にはガラスヒーターがついていたそうです。しかし、こ の「クリママルクト」のガラスドア(扉、蓋等)は三層をしたガラスに乾燥空気とアルゴンを充填されました。アルゴンは熱伝導率が低いため、ガラスの断熱に なります。さらに、外側は曇らないようにSGG Everclearという物質でコーティングされています。こういった対策を実施すればガラスヒーターは要りませんね。

冷凍棚の中の照明は当然LEDであり、LEDを使うことによって、冷凍棚の中の温度は電球のせいで上がる事もありません。要するには、電球のせいで上がった棚内の温度を下がらせるエネルギーも必要ではなくなり、さらに省エネになります。

冷凍システムは自然が生まれた冷媒である二酸化炭素を使用しています。(給湯システムのエコキュートも似たような原理のようで、ノンフロン冷凍冷蔵庫になります) 熱気が外部から冷房循環に入れられ、冷媒が冷凍装置の冷却コイルで蒸発さて、熱が吸収されます。

二酸化炭素は安定であり、自然が生まれた冷媒であるが、一般空調・冷凍領域では効率が良くないけれども、二酸化炭素は通常の冷媒より3900倍に環境にやさしいとのことです。

冷房装置が夏場にも出来るだけ少ないエネルギーを消費するため、冷水で冷やされています。もちろん水も大切な資源ですから、スーパーの配達エリアの下には10万リットルの雨水の貯水槽が設置されています。

太陽光発電

それから、もちろん太陽光発電モジュールが建物に設置してあります。南と西側の壁に(つまり縦で)太陽光発電パネル、屋根には薄膜太陽発電池モジュール。合計で1140平方メートルの面積、年間に4万5千kWhの電力を作っています。

照明

明 るさも問題ですよね。皆さん、お台場のビーナスフォートは行った事がありますか。あそこの天井で数分内にイタリアの空の一日を真似ています。一日の日射しがかなり異なります。夜明けは暗くて、10-50ルックスで、ドイツの晴れた夏日の下では12万ルクスの明るさまでなるそうです。

通常のスーパーの照明は静的であって、一定で、調整されていません。

ミュールハイムのスーパーは一部をガラス天井にして、陽射しを店内に取り入れています。照明制御装置が設置され、日射しが充分であるかどうかを判断し、必要に応じて販売スペースを明るくします。

こういう制御装置で、照明の40%の節電も出来るそうです。

このクリママルクトのことは、単なる一つの店舗の試運転ではなく、テンゲルマン社はこれから、ドイツ全国のスーパーでこういうシステムを導入したいと言っています。

77万kWhを38万kWhになったとは、相当なもんで、びっくりしました。

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