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医療費を垂れ流すだけの延命治療を見直し、子供や若者、治る患者のためにもっと予算を回すべき - 「賢人論。」第48回富家孝氏(前編)

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“自然死”について正しい理解を

みんなの介護 無理な延命というのは、やはりご本人にも苦痛なものなのですか?

富家 特別養護老人ホームの常勤医として死を見つめてきた中村仁一さんという医師によれば、最も自然な死に方は“餓死”なのだそうです。最期が近くなってくると、人間はものを食べられなくなる。身体はその機能を終えようとしているため、栄養が要らなくなるということですね。「食べられなくなったから死ぬ」のではなく「死にゆくから食べられなくなる」んですよ。

すると人間は、身体の中に残された水分や栄養を使い果たしながら、朦朧とした意識の中、安らかに死んでいきます。胃ろうや点滴で無理に栄養を流し込むというのは、満腹の人に無理やりご飯を詰め込むようなもので、とても苦しいものだそうです。

みんなの介護 最近では“尊厳死”という言葉も普及してきました。

富家 医者の側としては“尊厳死”が一般化することを望んでいますし、大きな病院ならその動きは順調に進んでいくでしょうが、問題なのは個人病院ですね。どうしても、利益との兼ね合いがあります。延命治療は、言ってしまえば大きな収入源ですから、それがなくなるとちょっと…という病院も多くあるでしょう。

“安楽死”の是非に関してはなおさら、はっきりした答えは出されていませんね。他国では合法化されている例もあるとはいえ、死生観の問題もありますし、日本の文化というのも根強いですからね。簡単に片付く問題ではないでしょう。

みんなの介護 人の生死に関わることだからこそ、答えを出すことは簡単ではないと思います。

富家 ただ、勘違いしてはいけないのは、延命治療を辞めるということは、何も自分たちの手で“死なせる”のではない、ということ。自然の成り行きに任せるという、それだけのことなんです。医療の力で無理に生き永らえさせるよりも、それが一番、本人にとって安らかな旅立ち方なんですよ。

“自然死”というものが存在することを、特に若い医師は知らないんです。彼らはつい、病気を治す要領で、自然死に抗った延命を続けてしまう。歳をとれば、人間は自然に死んでいく。これは本来当たり前のことなんです。

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