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ガイトナー財務長官の任務

 今週の木、金にEU首脳会議があることはご承知のとおりです。そして、既にメルケル首相とサルコジ大統領が抱擁付の記者会見をして、首脳会議の露払いをしたこともご承知のとおりです。

 では、これでEU首脳会議は巧く行くのか?

 でも、多くの市場関係者がそうはみていないのです。そして、世界一の経済大国であるアメリカ自身が、EUの政策運営を心配そうなまなざしで眺めているばかりでなく、ガイトナー財務長官が今週欧州に派遣されているのです。

 で、ガイトナー財務長官の記者会見の模様などが報じられている訳ですが‥

 「米財務長官、EU基本条約改正の独仏合意を歓迎」なんていう文字が躍っています。果たして、
ガイトナー財務長官は満足をしているということでしょうか?

 否、そんなことはないのです。本音はその反対。何故もっと積極的に打ってでないのか?なんて思っているのです。

 「守りに入るのもいいですが、年末ぐらいは攻めましょう!」(西田敏行風に)なんてことを、ガイトナー財務長官が言うはずはないのですが‥心の底ではそんなことを思っているかもしれないのです。

 何故、ドイツはもっとECB、つまり欧州中央銀行を利用しないのか? リーマンショック後、アメリカは米連銀をフル活用したことを知らないのか? 欧州中央銀行は、もっと積極的に南欧諸国の国債を買い入れる行動に出るべきではないのか? アメリカでもやったのに、何故欧州はやらないのか? なに、インフレが怖い? それに、欧州中央銀行を使うことには消極的なのに、何故IMFにばかり頼ろうとするのか?

 なんてことをアメリカは考えているのでしょう。

 折角EU首脳会議を開いても‥そして、そのことに世界中が注目しているのに、何も有力な方策を打ち出すことができなければ、却って首脳会議など開かない方がましではないか。

 ということで、ガイトナー財務長官にとって、メルコジコンビにECBによる国債の無限買い入れの確約を迫ることが課せられた任務であるように見えるのです。

 でも、今のところ、ドイツやフランスが、米側の意向を受け入れる様子はみられないのです。ガイトナー長官は次のように言っているだけですから。

 Financial crises are ultimately resolved when governments and central banks succeed in creating the conditions that make it compelling for investors to take the risks involved in lending to governments and to banks.

 「金融危機は、投資家がリスクをとって政府や民間銀行にお金を貸そうとする環境を政府と中央銀行が整えることに成功したときに、最終的に解決するものである」

 I'm not going to speak to what the ECB should do or will do or can do.

 「私は、ECBが何をすべきか、或いは何をしようとするのか、或いは何をすることができるのかについて話すことはない」

 The ECB has been playing a central role in this crisis and is obviously going to continue.

 「ECBは、この危機において中心的な役割を果たしてきたし、今後もそうであり続けることは明らかだ」


 ガイトナー財務長官が言っていることを聞けば、彼が本当は何を言いたいのかが容易に想像がつくと思うのです。

 ECBをもっと活用しろ! 

 でも、メルケルおばさんは、馬耳東風。

 確かに、ECBに南欧諸国の国債を買わせれば、危機は一時的に鎮まるかもしれない。しかし、そんなことをしても、問題を先送りするだけではないか。それに、そんなことをやっていると、いずれインフレになるのは必至だ、なんて。

 要するに、アメリカは当面の事ばかり考えているのに対し、ドイツは当面のことなどおかまいなしに将来のことばかり心配しているのです。

 私の勝手な予想ですが、今回ドイツが譲歩することはないのではないでしょうか。つまり、欧州中央銀行が前面に躍り出ることはまだない、と。

 いずれにしても、ガイトナー長官の欧州訪問は、この3カ月間で5回目になるということで、アメリカがやきもきしているのが伺われるのです。

 それにしても、我が国の政治家の何と内向きなことか?

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