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超エリート「女性代議士」がつまずくワケ

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■党の都合で演じた「無理な役柄」

女性政治家はボス争いという王道のルートをたどらない代わりに、キャリアの初期から目立つ役割を与えられることがあります。それがメディアや国会の委員会を舞台とした咬ませ犬役です。彼女たちは舌鋒鋭く相手陣営を責め立てますが、その姿勢は自分自身の思想信条というよりもボス政治家や党の都合に合わせたもので、過剰に攻撃的であったり清廉潔白であったりするものです。

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東京大学政策ビジョン研究センター講師 三浦瑠麗

たとえば山尾前議員は清廉さを強調するために、青と白のスーツ姿で国会やテレビ番組に登場していました。咬ませ犬としての山尾氏は、夫婦関係に悩みもし恋もする本来の「人間・山尾」ではなく、党の都合によっていささか無理な役柄を演じていたのです。

そんなところへ、きわめて人間臭い不倫疑惑が持ち上がったのが今回の不祥事です。決して褒められるようなことではありませんが、もし山尾氏が過剰に清廉な咬ませ犬役を演じていなければ、世間からこれほどまでに叩かれることはなかったと思います。

咬ませ犬のなかにはその役柄に安住してしまい、派閥のリーダーや党首などへのステップアップをしようとしない議員も出てきます。清廉さやけなげさだけが売りのクリーンタイプも同様です。それは議員個人にとっても日本にとっても不幸なことではないでしょうか。

咬ませ犬はメディアで顔と名前を売ることができるので、選挙区でも強いのではないかと思われがちですが、決してそうではありません。それは彼女たちが民意ではなく、徹頭徹尾、ボスや党のほうを向いているからです。高市早苗元総務大臣はかつて咬ませ犬としてテレビなどでも活躍していましたが、2003年の総選挙で1度落選しています。その後の高市氏はメディア出演を控え、党内官僚の役柄に徹して閣僚経験を重ねています。

ただ、咬ませ犬であれ党内官僚であれ、サル山経験がないままに大臣や党首などの要職に就いた女性議員には、「守りに弱い」という共通の欠点があります。咬ませ犬を演じるだけであれば、相手陣営の弱点をピンポイントで突けばいい。しかし大臣や党首といった全責任を引き受ける立場に置かれたときは、あらゆる点について受け答えをする高いコミュニケーション力が問われます。

こういうとき、女性政治家の多くは責任感を持った受け答えができません。稲田元防衛大臣や蓮舫前民進党代表に不祥事が持ち上がったとき、満足な受け答えができずに、問題を鎮静化するどころか炎上させてしまったのは記憶に新しいところです。

いずれにせよ、問題の根源は政界における女性比率の低さにあります。女性が政界における「お客さん」であるうちは、人格の陶冶もできなければ全責任を引き受けるコミュニケーション力が育つこともありません。女性議員が政治家として健全に成長できる環境を整えるため、議員定数の一定の割合を女性に割り当てるという「クオータ制」を取り入れるのも、ひとつの方策ではないでしょうか。

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三浦瑠麗(みうら・るり)
東京大学政策ビジョン研究センター講師。1980年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。湘南高校、東京大学卒業。博士(法学)。『シビリアンの戦争』、『国家の矛盾』(高村正彦氏との共著)、『国民国家のリアリズム』(猪瀬直樹氏との共著)などの著書がある。テレビ朝日系「朝まで生テレビ!」ほか討論番組の顔としても知られる。
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(国際政治学者 三浦 瑠麗 構成=久保田正志 撮影=市来朋久 写真=日刊現代・日刊スポーツ・読売新聞・毎日新聞社/AFLO)

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