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橋下徹氏と君が代 憲法の視点が全く欠如した弁護士

橋下氏は、ことあるごとに「民意」を口にします。
大阪市長選に当選後の橋下氏は、府教育委員会に対し、選挙結果をみて、教育基本条例を受け入れるよう発言していました。
橋下氏維新の会は、それを「公約」にしていたわけですが、大阪市民、大阪府民の意思が示された以上、それに従えというものです。

しかし、その発言の中には、全くといってよいほど憲法の視点がありません。
また、橋下氏を支持する発言の中には、国旗・国歌は儀礼的なものだ、児童・生徒の卒業式を乱すのはけしからんとか、公務員であれば従えとか、民間だったらあり得ないなどというこれまた憲法の視点が全く欠如したものばかりが並んでいます。

憲法19条は思想良心の自由を保障していますが、それは基本的人権の1つです。
これは内心に留まるものであれば絶対的な自由が保障され、それが外部に伴う場合であれば、沈黙の自由(思想を表明することを強制されない自由)、さらには、国家による特定の思想を強制されない自由が保障されます。
これは、表現の自由(憲法21条1項)による保障のみならず、特に内心の自由として保障されたことに意味があります。

その経緯は、戦前の教育勅語に始まる特定の思想教育に対する反省です。
ところが、橋下氏のやろうとしていることは、教員というものを利用して、教育現場において特定の国旗・国歌の強制を行おうとするもので、それに反対する教員を強権的に懲罰をもって反対する言動を取り締まろうとするものです。
これが憲法に抵触することは明らかであり、橋下氏は弁護士でありながら、「府民の意思」としてすべてを正当化しようというのは、憲法の視点が欠如していると言わざるを得ません。

憲法においては、民主主義は、基本的人権の保障に劣後します。それは憲法が裁判所に違憲立法審査権(憲法81条)を付与していることからも明らかです。
どんなに多数の意見であろうとも、それが憲法の保障する基本的人権を侵害するものであれば、憲法違反という評価を受けます。そこでは時の多数の意思が優先することはないのですが、橋下氏の発想は、すべてが数というものが優先するという発想であり、この憲法の原理を全く無視するものです。

もちろん、憲法を「改正」し、思想良心の自由の保障を削除すれば可能にはなります。しかし、それではまさに数に任せた暴挙であり、ヒトラーが行ったようなワイマール憲法の停止と何ら変わらなくなります。基本的人権の保障を削除するような改正は、改正ではなく(憲法の三原則の1つの否定だからです。)、全く別の新たな憲法の制定ということになります。

国旗・国歌が儀礼的なものという意見は、それが日の丸・君が代であるという実態を無視した議論です。日の丸・君が代には歴史があり、一定の価値観(イデオロギー)を持っています。だからこそ、国は、日の丸・君が代に固執しているのですから、それを儀礼的なものというのは明らかな誤りです。
入学式、卒業式であれば、その学校の校旗・校歌で十分なはずで、そこに日の丸・君が代を持ち込まなければならない必然性はありません。むしろ、特定のイデオロギーを強制するためのものであり、憲法19条違反というべきものです。

また、公務員だったら従え、民間だったら業務命令違反で解雇だなどという主張も、はなはだ飛躍した議論と言わざるを得ません。
民間で日の丸・君が代を強制することはありませんし、会社の歌と同列に論じても意味がありません。
公務員だから従えというのも乱暴な議論で、公務員は憲法上は、全体の奉仕者(憲法15条2項)として位置づけられていますが、それは公務員の位置づけを示したものであり、それがいわんや特定のイデオロギーをもった国旗・国歌を強制する根拠になりえないのは当然のことです。

橋下氏やその支持者の言動は、基本的人権の保障よりも多数意思を上に置くものであり、だから、橋下氏は、ヒトラーやファシズムに例えられるのです


これまで日弁連、各地の弁護士会はこの国旗・国歌問題については多くの声明、意見書を出しています。憲法の視点に立つのであれば、当然の内容です。
公立の学校現場における「日の丸」・「君が代」の強制問題に関する意見書
(2007年2月16日、日弁連)
公立学校教職員に君が代斉唱の際に起立・斉唱を強制する大阪府条例案提出に関する会長声明(2011年5月26日、日弁連)
「君が代判決」と教育行政のあり方についての会長声明
(2011年6月29日、札幌弁護士会)

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