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古川元久特命担当相が、国民の「幸福度」を測定、果たして幸福社会実現できるかは疑問

◆「幸せって何だっけ、何だっけ、美味い醤油は、キッコウマン、キッコウマン」と、明石家さんまさんが、コマーシャルで歌っていた。醤油の味に幸福を感じる人がいるかとおもえば、豪勢な食事をしても、ちっとも幸せを感じない人もいる。

 このような主観的な指標によって、国民1人1人の幸福度を測定するのは、難しいことだと思うけれども、このテーマに果敢に挑もうとしているのが、内閣府の古川元久特命担当相(経済財政政策・科学技術政策担当)である。東京都内で開催の「幸福度に関するアジア太平洋コンファレンス」(内閣府、経済協力開発機構など主催)で、公表したという。「幸福度の主な指標」(内閣府試案)の「大枠」(主な指標)として、次のようなことが示されている。

 ○経済社会状況(●子どもの貧困率●高齢者の孤独死数●育児休暇の取得率●水質・大気の質、放射線量への不安)

 ○心身の健康(●自殺者数●平均寿命●家庭への医療・介護サービス体制の満足度)

 ○(家族と社会との)関係性(●地域との関わり度●家族生活満足度●家族、友人との接触密度)

 ザッと見て、何かヘンな感じだ。これらの指標は、「幸福度」どころか、「不幸福度」を測定するかのような感じがするからだ。これらはまだ「銭金(ゼニカネ)」、言うなれば、「物質的な満足度」を聞いている感が強い。

◆「幸福感」は、必ずしも単なる「楽しさ」から生まれるものではないけれど、やはり、「楽しさ」から、「幸福感」が生まれるのも確かである。

 ①「衣食住」が足りる。

 ②「四苦八苦」を克服する。
 ○根本的な苦しみ(絶対苦)=4苦(生苦・老苦・病苦・死苦)
  この四苦に加え、
 ○相対苦=愛別離苦 - 愛する者と別離する苦しみ、怨憎会苦- 怨み憎んでいる者に会う苦しみ、求不得苦 - 求める物が得られない苦しみ、五蘊盛苦 - あらゆる精神的な苦しみ。この4つを合わせて8苦と呼ぶ。
 4×9=36、8×9=72合計108(除夜の鐘で、108の煩悩を消す)

 ③「花鳥風月」を愛でることができる。

 ④「子曰く、時にこれを習う、亦た説ばしからずや。朋あり、遠方より来たる、亦た楽しからずや。人知らずして慍みず、亦た君子ならずや」

 漢字学者である立命館大学の白川静名誉教授は、名著「字通」において、香幸福の「幸」とは、「象形=手械(てかせ)の形→僥倖にして免れる意→幸福の意→幸福を願う意」を表し、「苦からの解放=自由」を意味している。「福」の「示」は「象形=神を祀る祭卓の形」、「畐」は「器腹のゆたかな酒樽の形」を表し、神に五穀豊穣を願い、感謝する意味。

 「楽」は、「象形=柄のある手鈴の形、白が鈴の部分。古代のシャーマンは、鈴を鳴らせ神を呼び、神を楽しませ、また病を療してもらった。すると楽になる」という意味を示している。幸福は、苦からの解放=自由とともに、五穀豊穣という物質的なもの、すなわち、「物心両面の豊かさを示していると言えよう。

◆古川元久特命担当相が、「幸福度」を政策に取り入れる決断をしたのは、新婚旅行を兼ねて国賓として来日したブータンのワンチュク国王とぺマ王妃の影響が大きい。「GNH(国民総幸福量」を国策としており、国民の90%が「幸福」と答えていることに感嘆したということのようである。

 ブータンが指標としているのは、72項目、これに対して、内閣府は、132項目を立てており、それほど日本は、複雑社会になっていることを物語っている。「鬱病患者」が多く、殺人事件などの凶悪事件も跡を絶たず、日本列島の「病理現象」は、深刻である。「不幸社会」の現状が、「幸福度」よって明らかになったとして、これを「幸福社会」にしていくのは、国家的大事業となりそうである。

【参考】東京新聞は12月5日 夕刊で「幸福度測定に132項目 「放射線量への不安」も指標」という見出しをつけて、以下のように報じている。

 「内閣府は五日、国民の豊かさを測る新たな「幸福度指標」の試案をまとめ、同日から都内で始まった「幸福度に関するアジア太平洋コンファレンス」で公表した。国内総生産(GDP)で測れない心の幸福度をとらえ、政策立案に役立てる狙い。指標は、住環境や仕事など経済社会状況▽心身の健康▽家族や地域、自然とのつながり−といった大枠を設けたうえで計百三十二の個別項目を選んでいる。政府への信頼感や放射線量に対する不安といった主観的な項目も取り上げる。全項目を統合した指標は算出しない。内閣府は「車に例えれば、速度計や燃料計、回転計を統合しても意味がなく、無理に一つの統合指標をつくると各項目の特徴が消える」と説明した。幸福度は、国王が先月来日したブータンが国民総幸福量(GNH)を政策目標に掲げることで知られる。五、六両日のコンファレンスにも、同国の国民総幸福量担当長官らが出席する。経済発展を遂げた先進国では一九七〇年以降、GDPが増えても幸福度の改善につながらない「幸福のパラドックス」が問題になってきた。フランス、英国など欧州や北米でも政府や学会が幸福度を測る指標づくりを進めている。東北大学大学院・大橋照枝客員教授の話 経済規模を示す国内総生産(GDP)では、幸福度は測れない。環境に負荷をかける開発もGDPではプラスに働くし、逆に家事や育児、ボランティアなどは加算されない。幸福度を測るためには、きめ細かな指標が要る。幸福度の主軸とするべきなのは「持続可能性」だ。現役世代が幸福だからとすべて消費し、将来世代にツケを残すことはやってはいけない。内閣府は試案に持続可能性を盛り込んだが、主に「環境問題」について論じており、範囲が狭い。将来世代の幸福を織り込んだ指標づくりを進め、国民の幸福を確かにするため政策に反映するべきだ」

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