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若者はもっと「自己中」になって社会を変えろ~「絶望の国の幸福な若者たち」著者インタビュー~

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本当に若者が「不幸」だとは思えない


―古市さんは、昨年『希望難民ご一行様 ピースボートと『承認の共同体』幻想 (光文社新書)』という著書をご執筆され、現代の若者を語れる識者として注目を集めました。今回のご著書、『絶望の国の幸福な若者たち』を書かれた経緯をお聞かせください。

古市:『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体』幻想』は、ピースボートのルポ兼研究書として執筆しました。これは修士論文を元にした本で、僕の中では若者論というよりもコミュニティと若者の関係をテーマに描いたつもりだったんです。元々修士論文も共同体論がテーマでした。

だけど、この本を出した後に、いろんなメディアから取材を受けて、そこで聞かれることはピースボートについてではなくて、「若者論」であったり「今の若者は何故立ち上がらないのですか」みたいな若者全体の質問ばかりだったんです。

はじめは、そんなこと聞かれても知らないよって感じだったんです。ピースボートについてはわかるし、そこからいえることはいくつかあるけれども、若者全体については特にデータや知識を持っているわけではない。そうした経緯もあり、少し真面目に、正面から若者論に取り組んでみようと思って書いたのが今回の本です。

―こうした書籍を出されると、現代の若者をしっかりと語れる「若者の意見の代弁者」のような印象を、読者やメディアから持たれると思います。しかし、実際の内容を読んでみると、若者へも上の世代にも距離をとりつつ執筆されているように感じました。この書籍は、誰に対するメッセージなのでしょうか?

誰のための本かといえば、自分のための本なんです。本の執筆や研究は趣味みたいなものですし、いろんな本を読んで、話を聞いてまとめる、というのは自分が好きなでやってることです。広く誰に向けてというわけではなく、基本的には自分が整理するために書いた。

もう少しパラフレーズして言うと、「自分のため」というのは「ここで大学院生や研究をしていなかった自分のため」という意味でもあります。僕が今ここでこうしてインタビューを受けて、何だかそれっぽいことを研究者気取りで語っていることは(笑)、無数の、少しも当たり前ではない分岐点の結果としてあることだと思うんですね。

別の大学に行っていたら、今一緒に働く友人に出会っていなかったら、たまたま社会学の授業をしていなかったらとか、本当にいろんな分岐点があったと思うんです。そういう様々な可能性の中で、自分は今研究者として、この時代を生きている。結果的に、今度の本を書くことは、「ここにいる自分」「ここにいなかった自分」を含めて、今の時代を生きる意味を自分なりに考える作業になったかなと思います。

もちろん、本が結果的に僕以外の人に読まれ、少しでも何かの役に立ったならもちろん嬉しいです。って、格好良く言い過ぎました。

―「今の時代に生きることの意味」を考える上で、若者分析というのが出てきたということでしょうか?

古市:みんな「若者語り」が大好きですよね。「最近の若者は車を買わない」とか「若者は格差社会の被害者であり、弱者だ」とか。そういうことが色々言われているんだけれども、自分自身として、つまり「若者」として、いまいちピンとこなかった。

そこでピンと来ない理由を明らかにしたいと思ったんです。

今って、貧困、格差社会、不況など今の日本をネガティブに語るためのネタはたくさんあって、若者を不幸に語ることは非常に簡単なんです。

だけど、僕自分に「不幸」だという実感はなくて、周りの友人を見てもわりと楽しそうに暮らしている。確かに大人がいうように社会的地位で見れば、フリーターで社会保険料も払っていないとか、きわどいことをしている人もたくさん居ますが、そんなに不幸そうではない。むしろ楽しそうに見える。大人たちのいう「不幸な若者像」とは多く乖離している実態があると思ったんです。そのギャップが何故生まれたのかという部分に疑問を持ったことも、この本を出した動機のひとつです。

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