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若者はもっと「自己中」になって社会を変えろ~「絶望の国の幸福な若者たち」著者インタビュー~

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デモなんかしなくても社会は変えられる

―じゃあ例えば、家の不用品を持ち寄ってフリーマーケットしようみたいな方が、デモよりも盛り上がるということでしょうか。

古市:はい、実際アースデイなんかだと2日間で10万人ぐらい動員していますしね。これはディズニーランドの来場者数と比べてもそんなに遜色のない数字です。あれぐらいカジュアルで、「地球になんか良いことしようよ」みたいなふわっとした気持ちで参加できて、楽しいイベントだったら人は集まるんです。

「オキュパイ・トウキョウ」みたいに変に堅苦しい感じじゃなくて、もっとそれこそふわっとした内容のイベントの方が動員は出来ると思うんですね。

ただ、それが社会的なインパクトになるかは、また別の問題です。アースデイでも反原発デモも、そこに何人集まったかで社会が変わるかどうかが決まるわけではないですから。

しかも「反原発」とか「地球を守ろう」というシングル・イッシューで人を動員したところで、問題はその後です。本気で「反原発」や「地球を守る」ことを目指すなら、個別的で地味な努力をしていかないといけない。そこには当然利害の対立もある。運動は大抵、この段階でバラバラになります。

そもそも、デモって「力がないものに残された最後の手段」だと思うんです。だけど日本では「デモか革命か」みたいなイメージで、それが社会変革の唯一の手段だと思われている。

社会を変える方法というのはもっとたくさんあるはずなんです。

「オキュパイ・トウキョウ」の開催をtwitterで知るくらいの情報強者であるならば、つまらないかもしれないけど「この法律の第○条のこういう条文を変える」みたいなより具体的な目標を設定して、政治家や官僚とネゴシエーションするとか。もちろんそれってものすごく大変な上に、長い時間のかかる地道なつまらない作業だと思うんですけど、それくらい本気なのかって話ですよ。

40年間毎月デモに参加してます、みたいなおじいさんにも同じことが言えます。それだけ長く生きていれば政治家の知り合い、もしくは知り合いの知り合いくらいはいるだろうから、頭の一つや二つを下げて実際に「権力」と接触してみる。

そういうことの方が、実質的に「世の中を変える」ことになると思います。

それをしないで、デモにだけ参加しているのは、どうかなあと思います。もちろん、それが楽しいのであれば良いんでしょうけど、あんまり本気じゃないのかなという気がしてしまいます。

だったらはじめからデモじゃなくて、ちょうど「オキュパイ・トーキョー」と同じ日にオープンした阪急メンズ館に行くとか、もっと世の中には楽しいことがあるのに。いや、デモが阪急メンズ館より楽しいなら、全然いいんですけど。

―つまり、本気で若者が何らかの形で政治的なアクションを起こすほどに、日本の現状は切迫していないということなんでしょうか?

古市:そうなんですよ。逆に言えば、本当に危機感を感じた時には勝手に人々は動き出す。2010年に起きた東京都の非実在青少年問題に対する反対運動がわかりやすい例です。

東京都が、青少年健全育成条例の改正案に、マンガやアニメのキャラクターであっても年齢が18歳未満に見える場合、規制をかけるという条項を盛り込もうとしたんです。これに対して危機感を持った人々が、地元の議員に陳情に行ったりとか、反対の署名を集めたりとか結構、具体的な行動を起こしています。

特にデモが起こったりしたわけじゃないですけど、より実質的で具体的な行動を起こしているわけです。結果的に条例案は可決されてしまいましたが、「政治」や「権力」と具体的にどう関わったらいいかという教訓を多くの人に残したと思います。

だから、逆に「反格差」「反貧困」というのは、それほどまだ切迫感がないから具体的な行動に結びついていない、と僕は考えています。

―今、昨年の東京都の条例改正の例を挙げていただきましたが、他に若者が切迫感をもって具体的な行動に移すケースというのはあるのでしょうか?

古市:そもそも現在では、「若者が」という世代論でくくることが難しくなってきていると思います。例えば、「原発事故と放射能の影響」という問題に対しては、小さい子がいるお母さんは、色々な政治行動を起こすようになっていますよね。行政が放射性物質を測らない食品を、自分たちで独自に測定したりとか、積極的にネットワークを作ったりとか。

「お母さん」っていうと若者じゃないように聞こえるけど、実際に多くの「お母さん」は20代から30代で、年齢的には若者といえます。

つまり、無理して「若者」というカテゴリーを設定してしまって、「若者」に何かを期待するという眼差し自体が微妙だと思うんですよね。ひと口に「若者」と言っても、その中にはバリバリ働く正社員もいれば、フリーターもいる。お母さんもいれば、お父さんもいれば、引きこもりもいる。あまりにも茫漠としていて、掴みどころのない主体に対して何らかの活動を期待しているわけですから。

―かつての学生運動のようなわかりやすい形の運動が起きないから「若者は元気がない」と語られてしまうのでしょうか。

古市:そもそも学生運動が凄く美化されているように思います。僕がどうしてもわからないのが、なぜ自分の食い扶持さえも稼げないような学生が、社会とか国家とか語って、威張っていたのかということです。その方が逆に疑問ですよ。別に自分が稼げてなくて、自立もしていないなら、バーベーキューでもしてればいいじゃないですか。

政治とか社会というのは、向かってくるものだと思うんですよね。年齢的に成長して、家族を持つとか子どもが出来るとか、大切な人に出会うとか、そういう状況の中で具体的な問題となって立ち現れ、迫ってくるものだと思うんです。例えば、子どもが通っている学校が荒れているとか、そういう具体的な問題に巻き込まれた時に、それにどう対処していくかを考えることも政治ですよね。

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