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若者はもっと「自己中」になって社会を変えろ~「絶望の国の幸福な若者たち」著者インタビュー~

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古市憲寿氏(25日、東京大学本郷キャンパスにて。撮影:野原誠治)
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「草食系男子」「内向き志向」などの言葉に象徴されるように、「昨今の若者には元気がない」と論じるメディアや年配の識者は多い。また、現在世界各地で広がりつつある経済格差の解消などを求める抗議行動は、日本ではわずか100人ほどの参加者を集めただけだったという。「今の日本の若者は何故立ち上がらないのか」という疑問を「絶望の国の幸福な若者たち」を上梓したばかりの新進気鋭の社会学者、古市憲寿氏(26歳)にぶつけた。(取材・構成:大谷 広太、永田 正行【BLOGOS編集部】)

現代の若者の生活満足度は過去最高



―先日のデモ(「オキュパイ・トウキョウ」)も実際に行かれて、参加者の方にインタビューされたんですか?

古市憲寿氏(以下、古市):はい。「オキュパイ・トウキョウ」は、人が少なかったですね。報道陣の方が多いぐらいでした。

―アメリカの様子を見ていると、物凄いエネルギーを感じるのですが現代の日本で同じ状況は生まれにくいのでしょうか。

古市:「オキュパイ・トウキョウ」の問題はいくつかあったと思います。

まず情報強者しかデモの存在を知りえなかったという問題。告知期間が短かったこともあり、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアをよほど駆使している人じゃないと、デモにたどり着けなかったと思います。一週間前の段階では東京の「どこかでやる」ことだけが告知されていて、実際にどこでやるかがわかりませんでしたから。

そして、彼らが掲げているテーマである「反格差」にリアリティを感じられる人がほとんどいないということも言えると思います。

雨宮処凛さんとか松本哉さんたちが、反貧困運動をずっとやってきましたけど、あれに集まるのは結局、一部の人だけじゃないですか。実際、ほとんどの若者たちは格差社会の被害者だという意識はないし、今の生活に満足している。

『絶望の国の幸福な若者たち』でも強調して書いたことですが、政府の統計によれば20代の生活満足度は約7割。過去最高の水準です。他の統計を見ても、若者の幸福度はこの20年間右肩上がりです。若者自身に、自分たちが弱者であるという当事者意識はほとんどないと思います。

実際、今の日本は歴史上まれに見る「豊かさ」の中にあります。ユニクロやH&Mで服を買って、大戸屋でご飯食べて、夜はtwitterで呼びかけた友だちと鍋。あんまりお金をかけずに、そこそこ楽しい生活ができてしまいます。

つまり「日本ってなんて豊かで恵まれているんだろう」という意識の方が強いと思うんですよね。最近『僕たちは世界を変えることができない』という映画が公開されましたが、「カンボジアに学校を作る」みたいな活動をする若者の存在が象徴的だと思います。

そういう状況の中で「反格差」「反貧困」みたいなイベントは盛り上がらないですよね。そもそも「オキュパイ」って単語が難しいし(笑)。

―今、海外ボランティアに行く学生が増えていたりですとか、3.11以降ボランティアの意識がかつてないほど高まっているというのは、自分たちよりも周囲の方が大変だという意識が強いからなんでしょうか。

古市:「社会を変えよう」と思った時に、自分が今いる場所や自分を変えようという意識が薄い気がします。それよりも自分の外側にある世界を変える方がリアリティをもちやすい。

例えば、反原発デモの時に統一地方選挙があったんですけど、当日デモの参加者にインタビューして驚いたんですが、選挙に行ってないという人が結構な数いた。もちろんサンプル・バイアスの問題かも知れないので一概には言えないのですけど。

都知事選で石原慎太郎が選ばれるかどうかという事実が、今後の原発行政に及ぼす影響はそれなりに大きいと思うのですが、その選挙に行かないでデモに参加する。具体的に自分が権利を行使できるはずの選挙はつまらないから行かなくて、デモというお祭りには参加するというのは象徴的だと思います。

それと同じ文脈で「カンボジアに学校を建てる」というようなことも理解できます。途上国には、わかりやすい貧困あって、150万円出せば学校が作れるというわかりやすい目標がある。たった150万円で目に見えて救われる人がいる。そういうものの方がリアリティをもちやすいというのは、理解しやすい話だなと思います。

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