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韓国・仁川でのフォーラムなど

 石破 茂 です。

 今週衆参両院において開催された予算委員会は、野党側の質問内容の重複や論点の拡散などが目立ち、質問と答弁との擦れ違いもあって消化不良のままに終わってしまったように思われました。

 質問に臨むにあたっては、予め一貫したストーリーを組み立て、議論のあらゆる展開を想定して精密に構成と内容を練り上げておかなくてはならないのですが、どうにもそのような姿勢が多くの野党側の質問者に感じられず、これが通常国会でも延々と続くのかと思うと暗澹たる思いが致します。

 政府・与党側にせよ、野党側にせよ、有権者には政治家の真剣な姿勢の有無が見抜かれていることを思い、一層自重自戒しなければならないと痛感しています。

 27日に韓国・仁川で開催された「次世代のグローバルガバナンスと北東アジア協力」と題するフォーラムは、なかなか興味深いものでした。韓国からは国会議長をはじめとする国会議員、ロシアからは国会副議長、中国からは清華大学教授が参加し、それぞれの立場の違いが垣間見えたようにも思いました。

 私はスピーチの中で、「日韓は『対立の管理』から『協力の開拓』の関係を目指すべき」と述べたのですが、韓国側の虚を突かれたような反応が印象的でした。領土問題や歴史認識で両国の立場は大きく異なっており、譲れないものは決して妥協してはなりませんが、置かれた現状が相当に似通っている安全保障問題や人口急減、首都一極集中、外国人労働者問題など、互いに話し合い、解決を目指すべきテーマは多くあるのであって、文在寅大統領の提唱する「ツー・トラック方式」がそれを志向しているものであればいいと思います。国内世論に配意するあまりの日韓の冷えた関係が何処を利する結果となるのか、考えてみる必要があります。

 今回の北朝鮮によるミサイル発射についても、その意図を巡って様々な議論がありますが、ああまたか、と反応を鈍化させることは禁物で、ミサイルと核の小型化の技術が着実に進展しつつあることをよく認識しなくてはなりません。北朝鮮とアメリカがICBMの廃棄、核拡散の凍結、体制の保障などで合意し、現状が固定されるという状況を回避するために何をすべきなのか、まさしく時間との戦いです。

 その意味で「米中戦争前夜 新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ」(グレアム・アリソン著・ダイヤモンド社刊)は興味深い論考です。

 著者はレーガン政権からオバマ政権まで、40年近くにわたって米国国防長官の顧問を務めたハーバードケネディスクールの初代学長ですが、年末年始に精読してみたいと思います。

 毎年この時期に述べている気も致しますが、12月となりクリスマスも近づくと、いつも0・ヘンリーの不朽の名作「賢者の贈り物」を読み返したくなります。

 さる11月26日、立正大学熊谷キャンパスで講演をした際にお目にかかった斎藤昇学長はアメリカ文学の研究家なのですが、同学長からご著書「ユーモア・ウイット・ペーソス 短編小説の名手0・ヘンリー」〈NHK出版〉をご恵贈いただきました。文庫本末尾の解説とはまた違った深い味わいがあり、短編集や傑作選(いずれも新潮文庫)と併せて読んでごらんになることをお勧めいたします。

 週末は、3日日曜日に長野県佐久市における講演会「国政の動きと佐久市の将来展望」(午後3時・佐久平交流センター)、参加者の方々との懇談夕食会(午後5時半・佐久市内)という日程です。

 本年もあとひと月たらず、皆様ご多忙のことと存じますが、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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