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個人がメディアを持てるようになったということ

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 私がここで書いていることも、個人がメディアを持てるようになったという時代を象徴していると思うし、言葉で伝えたい私にとっては、ブログがその中心的なツールになったし、映像で伝えたい人にとっては、YouTubeやニコニコ動画、USTREAMなのでしょう。

 個人がメディアを持てる、ということ自体は、インターネットができたときから実現していることであり、とりたてて今言うべきことではないかもしれないけれど、それでも、今なお言えることは、今も進行しつつあるメディア環境の変化は、やはり、個人がメディアを持てるようになった、という変化を中心にして起きているものである、ということだと思うのです。

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 広島市の秋葉忠利市長が、テレビでの退任会見ではなく、自らが語る14分50秒の動画をYouTubeに投稿しました。秋葉市長は、マスコミをすべて拒んだわけでなく、4日には地元民放の生放送に出演し、その後に複数の新聞社からの単独インタビューの申し入れに対して、「テレビの生放送ならば検討する」と言っていて、つまりは、自身の見解が編集されることに対してNOと言ったということになります(参照:asahi.com『秋葉・広島市長、退任の弁「ユーチューブで」 会見拒否』)。

 たぶん、秋葉市長にとって、編集されることがNOといっても、自身の見解が二次的に編集されることについてではなく、一次情報、つまり会見の内容の一部を切り取って、一次情報を非公開にされ、編集されたものがすべてであるかのように扱われることを拒んだ、ということではないかと思います。

 これこそが、個人がメディアを持てるという意味を最も象徴的に示した行為だったように思います。事実上、テレビはこの動画を部分的に選択して、そこに解釈を加えるしか編集の方法がなく、一次情報は、ネットにそのまま保持されることになります。この、多くの人が閲覧できる状態で一次情報が保持される、ということが、秋葉市長が欲したもののような気がします。秋葉市長は、この一連の行動を見るに、YouTubeの動画をすべて引用することも含めて、動画を引用しそこに論評を加えてテレビのニュースにすること自体は、なんら問題にしないのではないでしょうか。つまり、第三者の批判については、問題にしていないように思えます。

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 もう、この時点で、マスコミは「詰み」ですね。詰まれてしまっています。asahi.comの記事の中で識者が語っていましたが、マスコミは、この時点ですでに、市民の代理として自己規定し、それに答えるべきである、答える義務がある、という言い方しかなくなっています。そこには、少なからず欺瞞があるでしょう。

 それがいいことであるか、それとも困ったことであるかはわからないし、いろいろな意見があるでしょうが、少なくとも、そのことをブログに書いている私を含めて、今、メディアの状況が、このようににあるということは確実に言えることだと思います。

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 ちょっと暴論になるかもしれませんが、インターネットがもたらしたものの、もっとも大きな意味は、インタラクティブ性ではなく、個人がメディアを持つことができるということにあるのではないか、と思います。

 インターネットのインタラクティブ性は、既存メディアと補完的であるけれども、個人メディアの実現は補完的にはならないし、そもそも、インタラクティブ性やコミュニケーションは、例えば、従来からあるラジオとリスナーのインタラクティブな結びつきは、個人がハガキというメディアを持ったことで実現されているように、メディア同士の結びつきが実現するものであり、インタラクティブ性は、いつも個人がメディアを持つこと(あるいは使うこと)によって生まれるのもで、それはテクノロジーの進化であっても、本質的な変化ではないように思います。

 この変化は、1億総表現者時代、のようなことが重要なのではなく、個人がメディアを持つことができる、という可能性そのものが重要な気がします。ブログを書く人、YouTubeで表現する人は、これからもそれほど多くはならないでしょう。けれども、その可能性が開かれた、ということそのものは、ブログもYouTubeも使わない人を含めた世界を変える。そんなふうに思います。

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 インターネットがはじまったとき、マスコミ人や広告人は、インターネットのインタラクティブ性にばかり目を奪われがちだったし、新しい広告とは、インターネットのインタラクティブ性を活用したものとイコールだった気がします。

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