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“かもしれない”自主規制が表現を滅ぼす

イオングループが、各地の条例の対象となる指定図書や表示図書の取扱いを、傘下の書店やネット通販サイトも含めて、グループ全体で取り止めることを決定したとの報道がありました。

ある県で有害図書類指定を受けた「指定図書類」を、全国のイオン・グループ店舗で販売中止にする。これは地域の独自性を無視した過剰な自主規制につながります。

東京都だけを考えれば「指定図書」の99%が性表現に対してですが、他府県では東京都では指定されていない図書類も多数指定されています。

福岡県では暴力団を題材にした実話誌やタトゥのムックが指定されており、買えなくなるのは「エロマンガだけ」では済まないということになりますし、過去の指定図書についてはどうするつもりなのでしょうか?

問題は、個別指定ばかりではなく、45道府県で導入されている“包括指定”です。これは青少年審議会に諮ることなく、雑誌、書籍であれば全体の何割、あるいは何ページ以上、ゲームや動画であれば何割あるいは何分以上性的あるいは暴力的な描写があれば指定という、45道府県条例のそれぞれの基準で自動的に判断されます。書店での判断を助けるために「例示通知」を行う県もありますが、告示されない方が多いわけです。つまり“包括指定”は各書店が自ら書籍のページ数をカウントして判断することになります。

また、店舗で「陳列販売」しないというのと、「取り寄せ」や「通販」をできないようにするというのとでは、質的な意味が違います。前者は売り手としての選択であっても、後者は買い手に対する道徳的な介入です。「陳列」と「取り扱い」とを分けて議論すべきです。

何を陳列するかは原則としてイオン自身の自由でしょうが、取り扱いの停止は巨大流通インフラとしての特権的な実態(巨大過ぎてその地域で他の選択肢が得られない)を使って、どの図書はいいもの悪いものといち企業が決めることになります。正に地域寡占状態にある流通会社が行う自主規制は、表現に対しても過剰な自主規制に繋がる懸念があります。

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